食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 高齢男性は筋肉を維持するためにより多くのタンパク質を必要とする−専門家の反応

SMC NZ
Older men need more protein to maintain muscles – Expert Reaction
November 21st, 2017.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2017/11/21/older-men-need-protein-maintain-muscles-expert-reaction/
ニュージーランドの研究者らが高齢男性は筋肉の大きさと強さを維持するために推奨摂取量以上を必要とする、という。
オークランド大学Liggins研究所のCameron Mitchell博士らの研究では70才以上の30人の男性を10週間追跡した。彼らはタンパク質の摂取量を最小推奨1日摂取量の群とその2倍の群に無作為に割り付けた。食事は提供された。10週間後、推奨摂取量群の男性の筋肉のサイズと強さが減少し、摂取量の多かった群ではサイズは変わらなかったが力は増加した。研究者らは現在のWHOタンパク質所要量は70才以上の男性の筋肉のサイズと強さを維持するのには不十分であると示唆する。
Massey大学運動と栄養学部Carol Wham准教授
ここ数年専門家集団は健康な高齢者の筋量維持のためには≥1.0-1.2 g/kg/dのタンパク質摂取を薦めている。この研究はタンパク質の摂取量を1.2 g/kg/dからWHOのRDAである0.8 g/kg/dに減らすと体肢筋量が減ることを明確にした。1.6 g/kg/d摂取群は筋量と足の力が増えている。
この研究の強みは参加者を無作為に割り振って管理した食事(30%脂肪)を10週にわたって摂っていることである。タンパク質は均等に分布した。高齢者での長期研究が必要だろう。

  • PLoS Biologyの上級編集者Liza Gross:生物学の教育を受けていない活動家

PLoS Biology Senior Editor Liza Gross: An Activist with No Biology Education
By Alex Berezow — November 21, 2017
https://www.acsh.org/news/2017/11/21/plos-biology-senior-editor-liza-gross-activist-no-biology-education-12175
PLoS Biologyの編集スタッフのなかに一人だけ学位のない環境活動家が入っているという指摘。
(生物の研究者ってわりと活動家に親和的。大学の教養生物(必修)の先生二人とも活動家ぽかった。化繊は悪いから天然繊維しか着ないとか言っててタバコは天然物だからいいらしい)

  • 如何にして1959年の感謝祭のクランベリー騒動がケモフォビア(化学物質忌避)ムーブメントを創ったか

How The Thanksgiving Cranberry Scare Of '59 Created The Chemophobia Movement
By Hank Campbell — November 21, 2017
https://www.acsh.org/news/2017/11/21/how-thanksgiving-cranberry-scare-59-created-chemophobia-movement-12160
約60年前、食品を安全にしようとした政府の規制が反対の結果になった:思わぬパニックを引き起こした。そのためたくさんの人の感謝祭がダメになった。政府が天然と合成の間に意味のない区別をしたせいである。その規制はデラニー条項という。簡単に言うと、もし合成化合物が動物実験でがんを引き起こすことがわかったらそれは禁止されなければならない、ということである。
発がん物質などだれも欲しくないのだから、何か問題があるだろうか?二つある。最初に、1950年代の政治家はパラケルススの時代に農民が知っていたことを忘れてしまっていた、つまり毒かどうかは量による。天然かどうかは関係ない。二つ目はラットは小さい人間ではない、ということである。
しかしデラニー条項は、技術的には1938年食品医薬品化粧品法の1958年食品添加物改訂であるが、これらの概念を考慮しなかった。現実世界では天然だろうと人工だろうと構造が同じなら影響も同じである。しかしこの改訂では天然にあるものはラットにがんを作っても安全であるが合成化合物は禁止されなければならない、たとえ現実世界で誰にも害を与えていなくても。
この法律で「安全な量はない」発がん物質として放射線やタバコの煙、βナフチルアミン、煤と一緒に初めてリストに入った食品がクランベリーである。丁度1959年の感謝祭の直前にHHSの前身である保健教育福祉省長官のArthur Flemingが、FDAクランベリー製品から除草剤のアミノトリアゾールを痕跡程度検出したと発表した。学校はクランベリー製品を捨て、レストランはメニューから取り下げた。アミノトリアゾールは確かにラットでがんの原因となる甲状腺の問題をおこす−ただしその用量はラットに毎日15000ポンドのクランベリーに相当する量でそれを2年間である、人ですら不可能である。
ラニー条項は1996年に撤回され、もうなくなったがその遺産は残っている。1959年のクランベリー騒動の3年後Rachel Carsonが「沈黙の春」で農薬への懸念をかき立て、現在彼女の遺志を継ぐ環境活動家達は食品に関するがんの恐怖を作ることで毎年10億ドルを稼いでいる。「安全な量は存在しない」という概念は今日でもホメオパシーや内分泌撹乱化学物質に関する主張に見られる。分析技術が高感度になったため恐怖を煽るのは簡単になった−あらゆるものから有害物質が検出できる。感謝祭のご馳走のどの一つの食品からも、オーガニックだろうと慣行栽培だろうと、ラットに発がん性のある何かを検出できる。
でも絶望すべきではない。感謝祭は希望のシーズンでもあり我々は希望を持つことができる。

  • オンラインソフトウェアががん論文の遺伝子の間違いを検出

Natureニュース
Online software spots genetic errors in cancer papers
Nicky Phillips 20 November 2017
https://www.nature.com/news/online-software-spots-genetic-errors-in-cancer-papers-1.23003
二人の科学者が遺伝子配列の間違いを検出するプログラムSeek & Blastnを使って60以上の論文の間違いを発見した、その多くががんの研究だった。そしてその多くは画像やグラフの質が悪い、テキストの大きな塊が重複する、他の論文と非常に良く似ている、など他にも問題があった。

  • ネガティブな結果に報いることが科学を正しい方向に維持する

Natureエディトリアル
Rewarding negative results keeps science on track
21 November 2017
https://www.nature.com/articles/d41586-017-07325-2
再現性で受賞や資金獲得ができる文化を作ろう
ふたつの研究賞が文化が変わりつつあることを示す。一つは欧州神経心理薬学会の前臨床神経科学のネガティブ結果:これまでの結果あるいは受け容れられてきた仮説を確認しなかった注意深い実験に対する1万ユーロの賞。もうひとつはヒト脳マッピング国際機関によるヒトのニューロイメージングに関係するベストな再現性研究に、成功だろうと失敗だろうと2000ドル。
(それでも昔よりはましになっているんだよ。なにしろ安全性試験のネガティブな結果(つまり安全であるという喜ばしいデータ)が学術的価値がないと言われて発表されなかったんだから。アカデミアでは有害だという論文が望まれる。そしてIARCのように学術雑誌以外は受け付けないと決めたらどうなるかは明らか。)

  • 寿司について賢くなろう

Be Smart About Sushi
by Berkeley Wellness
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food-safety/article/be-smart-about-sushi
FDAは寿司用の魚の多くは寄生虫を殺すため冷凍することを要求している(例えば-4°Fで7日間)。良く訓練された寿司職人は寄生虫感染や病気のリスクを最小限にするためのノウハウをもっているが、日本で資格を得ているのでこの国では評価は難しい。
マグロには寄生虫のリスクはほとんどないが、最も安全なのは加熱調理した魚を選ぶことである。妊娠女性や小さい子ども、免疫系の弱っている人は生のシーフードは避けるべきである。
寿司は清潔で評判の高い施設からのみ買うこと。新鮮で冷蔵されていることを確認する。
寿司には健康的なオメガ3脂肪酸やタンパク質などが含まれる。一般的にはカロリーは少ないが、米国の日本レストランの多くは西洋化した握りや盛り合わせを提供していてカロリーは高い可能性がある。そして寿司成分や調味料の多くはナトリウムが多い

  • リコリス:あるかもしれないベネフィット、わかっているリスク

Licorice: Potential Benefits, Known Risks
by Berkeley Wellness
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/licorice-potential-benefits-known-risks
ニンニク同様リコリスは古代から伝統ハーブとして風邪の治療や消化を助けるなど無数の使い方がされてきた。しかし科学者はリコリスには良い可能性と悪いことを発見した。
我々は甘草の根から抽出される本物のリコリスの話をしている。キャンディしか知らないかもしれないが、香料や甘味料などとしても使われている。しかし米国で販売されているリコリスの中には合成香料のみ、あるいは別のものを使ったものがある。レッドリコリスリコリスとは全く関係ない。
欧州から輸入された本物のリコリスキャンディには「リコリス抽出物」「リコリスの根の粉末」が成分として記載されているだろう。またダイエタリーサプリメントにも含まれる
リコリスのあるかもしれないベネフィット
役にたつ可能性のある化合物はフラボノイドやトリテルペノイドである。実験室では多くの研究がある。そのような研究は臨床上の効果とはほど遠い。全てのハーブ同様、問題を複雑にするのはいろいろな種の植物の化合物の組成と濃度が違うことである。ナチュラルメディシンデータベースではリコリスには信頼できる根拠は不十分と結論している
リコリスのあるかもしれないリスク
リコリスはグリチルリチンを含み、定期的に摂取するとナトリウムと水を蓄えカリウム濃度を下げ血圧を上げる。大体数週間1日2オンス以上のリコリスを食べるとそうなるが、心血管や腎臓に病気があるともっと少なくても問題になることが報告されている。
さらに薬物代謝酵素を阻害して医薬品と相互作用する。さらに2017年のフィンランドの研究では妊娠中に大量にリコリスを食べた母親の子どもの認知機能検査の点数が悪くADHDの可能性が高いという。動物実験でも母親のグリチルリチン摂取は胎児の発達に負の影響が示唆されている。このためナチュラルメディシンデータベースではリコリスは妊娠中の摂取は、特に大量は、「安全でない」としている。
基本
キャンディとしてのリコリスは砂糖が多くカロリーが高いのであまり食べないように。特に本物のリコリスは。高血圧や心疾患、血液凝固抑制剤を使用している場合には避けた方が良い。ダイエタリーサプリメントは使用しないこと。
(この黒い電線や石炭のようなキャンディが好きだという日本人は知らないのだが)

  • 獣医師会は補完医療について声明を発表

RCVS (The Royal College of Veterinary Surgeons王立獣医師会)
College publishes complementary medicines statement
3 November 2017
https://www.rcvs.org.uk/news-and-views/news/college-publishes-complementary-medicines-statement/
補完代替医療、特にホメオパシーについて尋ねられている。しっかりした科学的根拠に基づく獣医学の進歩と発展のために、獣医師は根拠のない治療法を提唱すべきではない。
11月14日にFAQセクション追加

  • 反ワクチンの父親が法廷で、恐ろしいはしかより鮫に襲われて死ぬ方が可能性が高いという

Fatal shark attack more likely than deadly measles, anti-vax dad tells judge
November 22 2017
http://www.theage.com.au/victoria/fatal-shark-attack-more-likely-than-deadly-measles-antivax-dad-tells-judge-20171122-gzqnzh.html
3人子どもに予防接種をするようにという裁判所の命令に反論して、父親ははしかで死ぬよりサメに襲われて死ぬ可能性のほうが高いと主張した

  • 砂糖の量を表示して、と主張者が政府に言う

Put sugar levels on the label, advocates tell Government
22 Nov, 2017
http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=11946810
ニュージーランド消費者団体とニュージーランド歯科医師会が政府に、今週開催されるオーストラリア乳0ジーランド食品規制閣僚会議で食品に添加された糖を表示するよう求めた。消費者調査では80%以上が明確に添加された砂糖の量を表示して欲しい。