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グリホサートに関するQ&A

Questions and Answers on Glyphosate
(農薬モニタリング報告の一部)
Last Updated: 11/06/2017
https://www.fda.gov/Food/FoodborneIllnessContaminants/Pesticides/ucm583713.htm
グリホサートは特定の雑草や草を除去できる除草剤で、広範に使用されている。グリホサートは、植物の生長のために不可欠な酵素を遮断することで効果を表す。グリホサートを含む製品は、主に農業で使われているが、森林管理にも、芝生や庭の手入れにも使われる。
◇グリホサートや一般的な農薬を規制するFDAの役割は何か?
微量の農薬や農薬化学物質残留物は、収穫後に穀物の中や表面上に残っている可能性がある。FDAの役割は、国内産および輸入食品の中や表面上の農薬化学物質残留が米国環境保護庁(EPA)によって設定された基準を超えていないことを保証することである。
◇一般的な農薬や特にグリホサートを規制する上で、米国環境保護庁(EPA)の役割は何か?
EPAは、農薬が表示に指示された使用方法に従って使用された場合において、ヒトの健康や環境にとって安全であることを保証するために評価を行う。EPAは食品に許容される農薬化学物質残留量であるトレランスを設定、改正、保留または取消する規則を発する責任を負う。トレランスは有害でないという合理的な確実性が示される量に設定されている。詳しくはグリホサートに関するEPAの規則*1で閲覧できる。
*1: https://www.epa.gov/ingredients-used-pesticide-products/glyphosate
EPAはグリホサートを安全に使用するためのトレランスを設定してあるのか?
EPAは、とうもろこし、大豆、油糧種子、穀物および果物や野菜を含むさまざまな作物について、0.1から310 ppmの範囲でグリホサートのトレランスを設定した。
◇グリホサートへの暴露に関して安全上の懸念はあるか?
EPAは、グリホサートのような農薬の安全性評価を実施している。EPAによれば、グリホサートはヒトにとって毒性が低い。ペットでは、散布されたばかりの植物に触れたりまたはそれを食べたりすると、消化や腸管に異常を起こしかねないというリスクがある。グリホサートは現在EPAにて通常の登録審査を受けているが、EPAは2015年にグリホサートはヒトに対する発がん性はありそうにないと表明している。
WHO(World Health Organization: 世界保健機構)に属するある国際組織(IARC: International Agency for Research on Cancer: 国際がん研究機関)が、グリホサートは発がん性物質である可能性があると結論付けているが、一方、EFSA (European Food Safety Authority: 欧州食品安全機関)、JMPR (Joint FAO/WHO Meeting on Pesticide Residues: FAO/WHO合同残留農薬専門会議)、WHOのもう1つの部門を含めた他の組織は、グリホサートが発がん性物質でありそうにないと結論を出している。
FDAは食品の中や表面上のグリホサート残留物を監視するために何をしているのか?
近年FDAは、グリホサート残留の検査のための最新の選択的分析方法を開発し、さらに2016から2017年にかけて、大豆、とうもろこし、牛乳および卵の試料におけるグリホサート残留を調べるための予備検査を開始した。FDAは、2017事業年度において、これら4種の農産物の予備検査を完了し、2018事業年度においてその他の食品に対する検査に拡大した。
◇なぜFDAはグリホサートを特異的に検査する方法の開発に焦点をあてたのか?
FDAは常に、国内産および輸入食品の中や表面上の残留農薬EPAのトレランスを超えないことを保証する義務を果たすため、監視能力を高める方法を模索している。
◇なぜFDAは今までグリホサートの検査を行わなかったのか?
限られたリソースを最も効率的かつ効果的に使用するために、多くのFDA農薬検査手順では、1回の分析で何百もの農薬を検出することができる残留農薬一斉分析法が採用されている。グリホサートの化学的な性質のため、FDA残留農薬一斉分析法はグリホサートには有効でなかった。その代わりに、FDAは、グリホサートやその分解産物を検出することに特化した特別な方法を開発したが、この開発とその有効性を確認するためにかなりのリソースを投資した。
◇これまで結果はどうなのか?
グリホサートの予備的な検査の結果によると、検査した4種すべての農産物(大豆、とうもろこし、牛乳および卵)において、グリホサートの残留農薬違反は認められなかった。
FDAは今後の検査結果をどのように公表するつもりか?
FDAは、例えば残留農薬モニタリングプログラムの年次報告のような今後公表される報告書において、グリホサート検査の結果を含めるつもりである。