食品安全情報blog過去記事

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評価等

  • 鳥および豚用飼料添加物としてのNatuphos® E (6-フィターゼ)の安全性と有効性

Safety and efficacy of Natuphos® E (6-phytase) as a feed additive for avian and porcine species
EFSA Journal 2017;15(11):5024 [3 pp.]. 14 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5024
Natuphos® Eは、鳥および豚向けの飼料添加物で、粉末、顆粒、液体の形で生産される6-フィターゼを含んでいる。この製品に含まれるフィターゼを産出する菌株は、クロコウジカビ(Aspergillus niger)の遺伝子組換え株である。EFSAのFEEDAPパネル(Panel on Additives and Products or Substances used in Animal Feed: 動物用飼料に使用する添加物および製剤あるいは物質に関するパネル)は、この菌株に施されている遺伝子組換えには安全上の懸念は生じないと結論した。この菌株とそのDNAは、この製品を調製するために使われる濃縮原料には検出されなかった。提出された耐容試験のデータに基づき、パネルは、この添加物が対象動物種に対し、提示された使用条件下において広範な安全マージンがあり、安全だと結論した。パネルはまた、飼料添加物としてのこの製品を使用しても、消費者に懸念を生じないと結論した。この添加物は、吸入毒性を示さず、皮膚と眼への刺激性もないことを示す証拠が提出されたが、皮膚感作性があり、呼吸器感作の可能性もあるとみなされる。飼料添加物としてこの添加物を使用しても、環境におけるリスクを引き起こすことはないない。提出された有効性試験のデータに基づき、パネルは、この添加物は鶏の肥育、七面鳥の肥育、子豚の飼育、豚の肥育、雌豚の飼育において有効性を持つ可能性があると結論した。これらの結論は、産卵鳥育成、交配用七面鳥育成にまで拡大され、マイナー鳥種や他の鳥種の肥育および産卵期までの飼育、ならびにマイナー豚種の飼育に外挿される。パネルは、産卵鶏における有効性については、情報が不十分で結論導き出せないと判断した。

  • 香料として使用されるベンゾフェノンの安全性

Safety of benzophenone to be used as flavouring
EFSA Journal 2017;15(11):5013 [33 pp.]. 14 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5013
ベンゾフェノン[FL-no: 07.032]は、EFSAの食品添加物、香料、加工助剤及び食品と接触する物質に関するパネルによって、2008年にFGE.69 (Flavouring Group Evaluation: 香料グループ評価)の中で香料物質として評価されている。ベンゾフェノンは、FGE.69におけるEFSAの見解では考慮に入れられていない試験に基づいて、JECFA(2011年)とIARC(2013年)でも評価が行われている。そのため、欧州委員会は、この香料物質の安全性に関する既存の文献のレビューを行うようCEFパネル(Panel on Food Contact Materials, Enzymes, Flavourings and Processing Aids: 食品接触物質、酵素、香料および加工助剤に関するパネル)に要請した。食品と接触する物質としてベンゾフェノンを評価する枠組みの中で、CEFパネルはTDI(tolerable daily intake: 許容一日摂取量)を0.03 mg/kg体重/日と設定した(2009年)。現行の見解において、CEFパネルはすでにEFSA、JECFA、IARCによる既存の評価結果とベンゾフェノンの毒性に関する入手可能な文献データを考慮に入れている。さらに、香料物質としてベンゾフェノンを使用する量に関する新データが提出されている。パネルは、遺伝毒性に関する懸念はないとみなしている。パネルはベンゾフェノンと代謝物質4-ヒドロキシベンゾフェノンの内分泌活性は弱く、齧歯類において観察された腫瘍性影響などの毒性影響には直接関係していないと判断した。EFSAは、安全側に考慮した手法によりベンゾフェノンのTDIとして0.03 mg/kg体重を導出したが、パネルはこの手法が、慢性毒性試験における非腫瘍性影響と、齧歯類の発がん性試験で誘発された腫瘍性影響を考慮した適切なものであることをパネルは確認した。このTDIは、添加される香料物質の量に基づくと、成人と子供における食事を介したベンゾフェノンへの慢性暴露用量(10〜20 µg/kg体重/日)と同桁である。パネルは算出したTDIと暴露推定量は、安全側に考慮した仮定に基づいていると考えている。パネルは、香料物質として現行の条件で使用される場合には、ベンゾフェノンが安全上の懸念を生じることはないと結論した。

Safety of ethyl acrylate to be used as flavouring
EFSA Journal 2017;15(11):5012 [29 pp.]. 14 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5012
EFSAのCEFパネル(Panel on Food Contact Materials, Enzymes, Flavourings and Processing Aids: 食品接触物質、酵素、香料および加工助剤に関するパネル)は、EC規則No 178/2002のArt. 29 1(a)に基づき、香料物質として使用される際のアクリル酸エチル[FL-no: 09.037]の安全性に関して既存文献のレビューを行うよう欧州委員会に要請された。アクリル酸エチルは、2006年のJECFAの評価に基づき、2010年に香料物質としてFGE.71 (Flavouring Group Evaluation: 香料グループ評価)の中でEFSAに評価された。MSDI (MaximisedSurvey-Derived Daily Intake)法による算出に基づき、アクリル酸エチルは香料物質としての推定摂取量において、安全上の懸念を生じないとCEFパネルは結論した。パネルは、新しく得られた文献と、JECFA (2006年)やEFSA (2010年)による以前の評価結果を精査した。さらに、香料物質としてのアクリル酸エチルの使用量に関する新データが提出された。香料物質としての使用を想定し、APET法(added portions exposure technique)を用いて推定された食事を介する慢性暴露用量は、体重60 kgの成人1人当たり、3,545 µg/日、体重15 kgの3歳児1人当たり2,233 µg/日と算出された。食品と接触する物質からの暴露は、1人当たり最大6,000 µg/日になると思われる。得られたデータは、遺伝子関連のエンドポイントで関係があると思われるもの全て(すなわち遺伝子変異、染色体の構造や数の異常)をカバーしており、それらのデータに基づくと、アクリル酸エチルには遺伝毒性に関する懸念はない。パネルは、ラットやマウスにおける発がん性試験の得られたデータを評価し、その上で、げっ歯類の前胃に観察された扁平上皮乳頭腫およびがん腫には、ヒトとの関連性はないと結論付けたNTPの評価(1998年)に同意した。さらに、短期および亜慢性毒性試験において、全身毒性の証拠は認められなかった。以上のことより、パネルは、指定の使用条件でで、香料物質としてアクリル酸エチルを使用した場合、安全上の懸念は生じないと結論した。