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スピルリナを含む食品サプリメント:信頼できる供給元を選ぶことの重要性

Food supplements containing spirulina: the importance of choosing trustworthy supply channels
30/11/2017
https://www.anses.fr/en/content/food-supplements-containing-spirulina-importance-choosing-trustworthy-supply-channels
全国ニュートリビジランス計画のもと、スピルリナを含む食品サプリメントの摂取に関連する可能性の高い有害影響についての報告がANSESの目にとまった。これらの報告からANSESはこの種の食品サプリメントの摂取に関連するリスクについて評価した。本日発表した意見で、ANSESはスピルリナを含む製品にはシアノトキシン、細菌、あるいは微量金属元素が含まれる可能性があることを強調した。この文脈で、ANSESは消費者に信頼できる供給元を選ぶべきであると助言する。汚染リスク以外には、スピルリナは低用量では健康リスクになりそうには見えない。しかしながら、スピルリナの特徴と報告された有害影響から、ANSESはこれらの食品サプリメントフェニルケトン尿症やアレルギー体質の人は摂取しないように助言する。最後に、ANSESはスピルリナが完全菜食主義者にとってビタミンB12の信頼できる摂取源になるとは考えない。
スピルリナ(一般的に粉末で販売されているシアノバクテリア)はいくつかの国で長く伝統的食品として摂取されてきた。フランスでは普通の食品として単独または成分として、あるいは食品サプリメントとして健康に有用と宣伝されて販売されている。
スピルリナを含む食品サプリメントの摂取の後で有害影響がおこったといういくつかの報告がANSESニュートリビジランス計画あるいは学術雑誌に報告され、目にとまった。これらの事例で摂取されている用量は正確にはわからず、報告されている影響は相当多様である:消化器系、アレルギー、筋あるいは肝障害。
入手可能な研究によると、スピルリナは低用量では(成人で最大1日数グラム)健康リスクとはならないように見える。しかしながら入手可能な疫学研究は対象者があまりにも少なく個人の過敏症のような影響は検出できない。
スピルリナを含む製品はシアノトキシン(特にミクロシスチン)、細菌、金属(鉛、水銀、ヒ素)に汚染される可能性がある。
ANSESの消費者助言
スピルリナがシアノトキシン、細菌、微量金属に汚染されるリスクを鑑み、ANSESはスピルリナを含む食品サプリメントの消費者は、公的機関に管理されている信頼できる供給元を選ぶべきであると助言する(フランスの規制に従う、トレーサビリティ、製造業者の同定など)。
さらにスピルリナの特徴と報告された有害影響から、ANSESはこれらの食品サプリメントフェニルケトン尿症アミノ酸フェニルアラニンを蓄積する希な遺伝的疾患)やアレルギー体質の人は摂取しないように助言する。
最後に、ANSESはスピルリナが完全菜食主義者(動物由来製品摂取を避けている人たち)にとってビタミンB12の信頼できる摂取源にはならないことを強調する。含まれるのは主に不活性な類似体の形態だからである。さらにスピルリナを1日5g摂取すると(ある種の食品サプリメントに薦められている最大量)、7-8.5mgのβカロテンを摂取することになる。食品サプリメント由来のβカロテンの最大一日摂取量は7mgでありそれがさらに摂取量に加わることになる。
その他の助言
スピルリナがシアノトキシン(特にミクロシスチン)、細菌、微量金属に汚染されるリスクを考えると、ANSESはスピルリナの生産に用いる水の質とそれぞれの背三段階の生産者の管理の重要性を強調する。
ANSESは、他の食事からの摂取とWHOが慢性暴露について設定しているTDI 0.04 µg/kg/dも考慮したスピルリナを含む食品サプリメント中のミクロシスチンの基準を決めるための専門家による評価が必要であると考える。さらにこのTDIを考えると、Klamath藻を含む食品サプリメントのミクロシスチン基準1 µg/gを再評価することが必要だと考える。
ANSESは医療専門家に対して、ANSESニュートリビジランス計画に、食品サプリメントの摂取に関連する可能性のある全ての有害事象を報告することの重要性を再確認し、こうした影響を監視する共同国際プロジェクトを設立することの価値を強調する。
意見
ANSES OPINION on the risks of food supplements containing spirulina (soon in English)
https://www.anses.fr/en/system/files/NUT2014SA0096.pdf
(現時点ではフランス語)
学術名Spirulina major、Spirulina maxima、Spirulina platensis 、全て属はPseudanabaenaceae
ミクロシスチン以外にアナトキシン(ジヒドロホモアナトキシン)などが検出されている文献がある
2017年2月までにANSESがニュートリビジランスで受けとったスピルリナとの関連が疑われる報告は49件。十分な情報がある10例について解析している
引用文献は英語がほとんどなのでまあ読める
(この海藻のビタミンB12ってマクロビ信者が栄養不良になりがちな理由でもあったと思う。
参考
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20170605#p7

Detection of microcystin synthetase genes in health food supplements containing the freshwater cyanobacterium Aphanizomenon flos-aquae
Toxicon Volume 46, Issue 5, October 2005, Pages 555–562
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S004101010500231X

Contamination Remains a Problem With Greens and Whole Food Powders
https://www.consumerlab.com/reviews/Greens_Whole_Foods_Powders_Supplements/greens/

そもそも根拠のない効果を謳っている時点で健康食品で信頼できるものなどないよ。)