- 2017年の微生物学リスク評価に関する科学ネットワークの年次報告書
Annual report of the Scientific Network on Microbiological Risk Assessment 2017
28 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1340e
EFSA (European Food Safety Authority: 欧州食品安全機関)の設立規則(EC規則 No 178/2002)によると、EFSAの任務の中には、その任務の分野で活動する組織におけるネットワークシステムの構築があり、その目的は、活動の調整、情報交換、共同計画の発意と実現、専門技術や最良な実践例の相互提示により、科学的な協力の枠組みを促進することである。さらに、EFSAの科学的戦略2012〜2016は、加盟国の管轄機関と共に、データのギャップを埋めデータ収集の優先順位を設定することに焦点を置いた、複数年次の行動計画を立ち上げることを目的としている。上記の施策を実現するため、様々なネットワークが設定された。微生物学的リスク評価に関する科学的ネットワーク(MRAネットワーク)は、2007年に最初の会議を開き、それ以来年に1、2回会議を開いている。現在、EU25加盟国とオブザーバー2ヵ国(スイスとノルウェー)が、MRAネットワークのメンバーである。 2017年には、MRAネットワークは4月4〜5日と10月10〜11日に、パルマで会議を開催した。この2回の会議では、微生物のリスク評価に関する広範な話題が議論された。
- 防虫剤として農薬に使用するタマネギ油の基本物質申請についての加盟国とEFSAのパブリックコメント募集結果
Outcome of the consultation with Member States and EFSA on the basic substance application for onion oil for use in plant protection as repellent
23 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1315e
タマネギ油をニンジンの防虫剤として使用するための基本物質申請に関し、EFSA (European Food Safety Authority: 欧州食品安全機関)は、欧州委員会の要請を受けて、その審査において科学的支援を行ってきた。ここでは、この審査がパブリックコメント募集段階で受け取った指摘事項に関するEFSAの科学的見解を示す。
EFSAのCEFパネル(Panel on Food Contact Materials, Enzymes, Flavourings and Processing Aids: 食品接触物質、酵素、香料及び加工助剤に関するパネル)は、タマネギ油の主要な揮発成分であるアリルプロピルジスルフィドについては、その構造類縁体であるジアリルトリスルフィドのNOELである4.6 mg/kg体重/日(ラットの90日試験より)を用いて、食事による暴露におけるマージンを推算できると結論付けた。非経口暴露については、職業暴露限界値を用いることができ、STEL (Short Term Exposure Limit: 15分の短時間暴露限界値)は18 mg/m3であり、8時間TWA (Time Weighted Average: 時間加重平均値)は12 mg/m3である。スペインでは8時間TWAは3 mg/m3、ドイツでは15分STELは12 mg/m3であるなど、低い値を設定している国もある。申請者が示した非経口暴露算出値は、これらの値を下回っていた。
タマネギ油残留物への消費者の暴露については、その量を算出することができていない。タマネギが発育したときに畑で自然に生じるスルフィド化合物のレベルより、このタマネギ油を提案通りの方法で使用した場合に生じる当該化合物のレベルがはるかに低いことを示す必要がある。
- 簡単なリスク評価をモンテカルロシミュレーションで行うためのソフトウェア
Software for Monte Carlo simulation of a simple risk assessment
22 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1316e
EFSA (European Food Safety Authority: 欧州食品安全機関)は、簡単なリスク評価をモンテカルロシミュレーションで行うためのソフトウェアを実現する公開の分析技術の開発を外部委託した。このソフトウェアはR言語で開発されたいくつかのモジュールから成り、それらのモジュールは組み合わさって一つのワークフローで確立論的リスク評価が行えるようにする。
Setting of maximum residue levels for cyantraniliprole in raspberries and blackberries
EFSA Journal 2017;15(11):5061 [24 pp.]. 22 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5061
英国はラズベリーとブラックベリーにシアントラニリプロールを使用する120日間の緊急認可を承諾した。残留試験のデータが十分に得られ、室内や温室の条件下で栽培されるラズベリーとブラックベリーについて、0.9 mg/kgというMRL (Maximum Residue Limit: 許容残留基準値)案を導出することができた。しかし得られたデータでは、欧州北部の屋外で使用する場合のMRL案を導出するには不十分だった。EFSAは、報告されている農業慣習(室内/温室での使用)に基づいてシアントラニリプロールが使用されるのであれば、残留物の摂取で消費者の健康へのリスクを生じることは無いであろうと結論付けた。
Outcome of the pesticides peer review meeting on the OECD 106 evaluators checklist
20 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1326e
この技術報告書は、農薬の環境における運命と挙動に関する農薬ピアレビュー152会議中に行われた、OECDガイドライン106による評価試験のためのチェックリストについての最終協議の結果を提示するものである。協議の結果、OECDガイドライン106に基づくバッチ平衡法による土壌吸着評価試験のための評価者用チェックリスト文書と、チェックリストに記載された推奨事項の実行を支援するエクセルシートとが作成された。
- 新規食品としてのピロロキノリンキノン二ナトリウム塩の安全性
Safety of pyrroloquinoline quinone disodium salt as a novel food pursuant to Regulation (EC) No 258/97
EFSA Journal 2017;15(11):5058 [19 pp.]. 20 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5058
欧州委員会の要請に基づき、EFSAのNDAパネル(Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies: 食品・栄養・アレルギーに関するパネル)は、新規食品としてのPQQ(pyrroloquinoline quinone disodium: ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩)、商品名BioPQQ™について見解を導出するよう求められた。PQQは、資化性脱窒菌Hyphomicrobium denitrificans CK-275株を用いた発酵と、精製工程により生産される。PQQの最低純度は99.0%である。PQQの組成、規格、ロットごとのばらつき、安定性、生産工程については十分な情報が提示されており、安全上の懸念を生じることはない。申請者は、PQQを妊婦と授乳中の女性を除く健康な成人向けの食品サプリメントのかたちで販売する予定であり、最大摂取量として20 mg/日(体重70 kgのヒトでは1日当たり0.29 mg/kg体重に相当)を提案している。提案された摂取量は、天然に食品に生じるPQQの推定バックグラウンド摂取量より少なくとも250倍多い。動物やヒトにおけるPQQの吸収、分配、代謝、排泄に関する情報は少ない。BioPQQ™を用いた90日間反復経口投与試験で導出された無毒性量(NOAEL) 100 mg/kg体重/日と提案された最大摂取量とを考慮して、NDAパネルは暴露マージン(344)は十分にあると結論した。また、NDAパネルは、新規食品ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩(BioPQQ™)が、申請者が企図する使用条件において安全だと結論した。