食品安全情報blog過去記事

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任意適格輸入事業者プログラムはどのように機能するか

Explaining How the Voluntary Qualified Importer Program Will Work
January 2, 2018
https://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm590803.htm
VQIP (Voluntary Qualified Importer Program: 任意適格輸入事業者プログラム)は、有料で実施される輸入事業者向けの任意のプログラムであり、食品供給チェーンの安全および保証に関して高い管理水準を達成・維持することができる認可された事業者に対し、米国向けのヒト用食品および動物用飼料の迅速な検査と輸入手続が提供されることが期待される。FDA (Food and Drug Administration)のFSMA (Food Safety Modernization Act: 食品安全近代化法)は、FDAがVQIPを確立することを規定しており、FDAは、2018年の早期に輸入事業者から申請が行われ始めることを期待している。
輸入事業者はなぜVQIPに参加した方が良いのか?VQIPは、輸入事業者、FDAおよび公衆衛生に対し、どのような恩恵をもたらすのであろうか?Food Adulteration Assessment BranchFDAのCFSAN (Center for Food Safety and Applied Nutrition: 米国食品安全・応用栄養センター)に設けられた食品不正評価室(Food Adulteration Assessment Branch)の消費者安全担当官であるDoriliz De Leon氏、ならびにFDAの規制業務部(Office of Regulatory Affairs)に設けられた輸入プログラムの開発および実行担当室(Import Program Development and Implementation Branch)の消費者安全担当官であるAmelia Tetterton氏が、輸入食品の安全と保証を確保する上でVQIPが果たす役割について語っている。(二者に対するQ&Aの内容は以下のリンクで参照できる)
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/FSMA/ucm590801.htm
Q&A抄訳
Q: VQIPとFDAの公衆衛生保護の任務とはどのようにかみ合うのか?
VQIPへの参加の許可を受けるためには、輸入事業者は消費者に安全な食品を届けるため厳しい基準に適合しなくてはならない。食品供給チェーンの安全管理を堅牢にすることに対しては、迅速な荷受けが行われるという優遇策がとられる。
FDAはnon-VQIP輸入事業者に対して人員を割く余力が生まれる。よりリスクの高い食品に目が向けられるわけで、公衆衛生に資する。
Q: VQIPに参加する輸入事業者にとっての恩恵は?
FDAは、PREDICT (Predictive Risk- based Evaluation for Dynamic Import Compliance Targeting)と呼ばれるスクリーニングツールを用いるなどにより、輸入手続きを迅速化する。通常検査や試料採取が必要とされないVQIP参加事業者の食品はすぐに陸揚げされるようになる。
VQIP参加事業者の食品が検査や試料採取を必要とする場合でも、できる限り食品の送達先か当該事業者の指定場所で行えるようにする。
Q: VQIPの対象となる食品は?
VQIPの対象となる食品は、FDAの公認第三者機関認定プログラムに合格した査察官によって認定された外国の施設や農場で生産されたものであり、品目はFDAが規制する全てのヒト用食品ならびに動物用飼料である。
Q: VQIP参加輸入事業者となるための要件は?
少なくとも3年間の輸入実績があること。FSVP (Foreign Supplier Verification Program: 外国供給業者検証プログラム)に基づいて外国供給元を検証していること。必要に応じHACCP (Hazard Analysis and Critical Control Points: 危害分析に基づく重要管理点監視方式)や海産食品HACCPに取り組んでいること。また、QAP (Quality Assurance Program: 品質保証プログラム)を設定し実施していることも重要である。このことなどについてはガイダンス文書が発行されているので参照されたい。
Q: FSVPに適合した輸入事業者はVQIPの要件の多くを満たしていることになるのか?
米国安全基準を満たした食品を扱っていることにはなるが、VQIPではFSVPやHACCPの要件以上のものが求められる。例えば、VQIP輸入事業者は、公認第三者機関認定規則に基づいて認定された査察官から外国供給元の施設認定を受けなければならない。QAPにも輸送や食品防御に関連した基準の順守が示されていなければならない。
Q: VQIP参加申込みはどうしたら良いのか?費用はどの位か?
2018年の早期にウェブサイトからの受付が開始される。申請に先立ってVQIP参加意思通知書を提出してもらう。これは毎年提出してもらう。VQIP年度は10月1日に始まる。年額は16,400ドルを予定している。
Q: FDAはオンライン受付が2018年1月開始と言っていたがなぜ延期になったのか?
VQIPで必要となる公認査察官の確保に時間がかかっているため。
Q: 1つの輸入食品事業者の全ての輸入食品品目について1つの申請で良いのか?
そのとおりだ。
Q: 申請書を書くのに支援を得られるか?
もちろん。FDAにVQIP輸入事業者ヘルプデスクが設けられている。
Q: 申請には多くの情報が必要であるが、そうした情報を提出するのに特定の書式はあるか?
申請者が既に有している文書の形で良い。
Q: FDAは申請をどのように評価するのか?
FDAは検査を実施し、VQIP適格性基準に照らした判断を行い、QAPの中に規定されている食品安全および食品防御条項が完全に実施されているかどうかを確認する。
発足から1年目以降、FDAは毎年輸入事業者の適格性を再審査し、少なくとも3年に1度VQIP検査を実施する。食中毒、リコール、新規災害等の場合には、検査の頻度が多くなることも予想される。
Q: どのくらいの数の輸入事業者をVQIPに受け入れるつもりか?
初年度は200件の申請者を見込んでいる。先着順に審査する予定だ。
Q: 輸入事業者にはVQIPの何を知ってもらいたいか?
VQIPに適合するには多くのリソースを必要とするが、輸入手続きの迅速化と予見性向上は本当に有益なものとなるであろう。腐りやすい製品やきっちり時間を合わせて食品原料必要とする場合には特に役立つ。
VQIPは、迅速な輸入手続きという恩恵を業界もたらすとともに、公衆衛生の確保というFDAの任務を支えるものであることを理解してほしい。