食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ウガンダでは、反GMO恐怖戦略は通常のハイブリッド作物まで傷つける

In Uganda, anti-GMO scare tactics even taint conventional hybrid crops
Lominda Afedraru | Genetic Literacy Project | January 15, 2018
https://geneticliteracyproject.org/2018/01/15/uganda-anti-gmo-scare-tactics-even-taint-conventional-hybrid-crops/
料理用バナナを売っているNakawaの市場で、Nalongo Nakissekaという女性が「GMOバナナを売っている」と業者を批判していた。根拠は?「房が大きすぎる」と彼女は怒る。別の女性が加わって「この市場で売られているものは全てGMOだ。トマトもタマネギもキャベツもオレンジもポテトも大きい」ウガンダではGMO作物は販売できないし、販売されているバナナは普通のものかハイブリッドである。このやりとりがウガンダGMO作物栽培認可の直面する問題を描き出す。ウガンダの人々の間には相当な混乱がある。多くの人がGMOは既に栽培・販売されていてそれが有害だと信じている。
もしウガンダGMOバナナやその他のGM作物を栽培したらどうなるかはわからない。
混乱の原因はコミュニケーションの失敗である。ウガンダの科学者が研究所で交配したハイブリッドの種子を農家に渡すときに十分な情報がなく理解が不足していた。GMOとハイブリッドの違いが理解されず、反GMOキャンペーンの存在が混乱を加速した。

  • 欧州議会は「グリホサート戦争」後、農薬委員会を設定する予定

European Parliament to set up pesticides committee after ‘glyphosate wars’
January 18, 2018
https://www.neweurope.eu/article/european-parliament-set-pesticides-committee-glyphosate-wars/
植物保護製品特別委員会はEUにおける農薬認可方法、物質の科学的評価と認可のしかたの欠点、グリホサートの更新における欧州委員会の役割、認可の際の利益相反EU各機関の役割、などを評価する。任期は最初の会合から9か月。第一回会合は3月を予定。

  • 血中アルコール規制値が引き下げられたらどのくらい飲める?

How Many Drinks Could You Have If the Blood Alcohol Limit Is Lowered?
By Rachael Rettner, Senior Writer | January 18, 2018
https://www.livescience.com/61469-blood-alcohol-limit-new-recommendations.html
新しい助言で飲酒運転の規制値を0.08から0.05%に引き下げることが提案されている。欧州のいくつかの国では合法的な血中アルコール濃度を0.08から0.05%に引き下げたところ交通事故死が減った。
では血中アルコール濃度0.05%になるのはどのくらいのアルコールなのか?正確にはいろいろな要因が関係するがおおよその目安として73kgの男性なら1時間で12オンスのビールを2杯、54kgの女性ならその半分。

  • マルチグレイン、ホールグレイン、ホールミール:違いは何、そしてどのパンがベスト?

Multigrain, wholegrain, wholemeal: what’s the difference and which bread is best?
January 19, 2018
https://theconversation.com/multigrain-wholegrain-wholemeal-whats-the-difference-and-which-bread-is-best-89538
ホールミール、全粒穀物、複数穀物、サワードウ、ライ麦、ホワイト、高繊維ホワイト、低GI、低FODMAP、グルテンフリー。こんなにたくさんのパンの選択肢があって、どうしたらどれが健康にとってベストなのかわかる?
パンはオーストラリアの家庭の主食である。
以下説明
ホールミール:全粒穀物を細かく挽いた粉から作った
マルチグレイン:白い小麦粉にいくつかの穀物を加えた
ホールグレイン:全粒を使った
ライ麦グルテン含量が少ない
サワードウ:酸性度が高いのでGIが低い
高繊維ホワイト:白パンに食物繊維が添加してある
グルテンフリー:小麦ではない穀物で作られている
低FODMAP:最近流行

  • トランプの最初の一年、科学助言は著しく減少

Scienceニュース
In Trump’s first year, science advice sees a marked decline
By Jeffrey BrainardJan. 18, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/01/trump-s-first-year-science-advice-sees-marked-decline
新しい解析によると、Donald Trump大統領が事務所を構えてから、重要な連邦機関への科学的助言を提供する専門家委員会はメンバーが少なくなり会合も減った。政府が追跡を開始した1997年以降裁定だった。メンバーは2016年から14%減、会合は20%減。

  • 100人近くの科学者がp値の再定義のためにGoogle Docsに2か月費やした。その結果は

Nearly 100 scientists spent 2 months on Google Docs to redefine the p-value. Here’s what they came up with
By Jop de VriezeJan. 18, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/01/nearly-100-scientists-spent-2-months-google-docs-redefine-p-value-here-s-what-they-came
2017年7月22日にp値を0.05から0.005に引き下げるべきと主張する論文を読んだオランダの心理学者Daniël Lakensは、別の方法を提案する論文を間もなく発表する。方法はユニークで、世界中の100人の科学者、有名人から博士課程の学生まで、が2か月に渡りGoogleドキュメントを書き、編集した。
p値はその概念を把握するのが困難であることで悪名高く、しばしば間違って解釈される。しかしもと論文のメッセージは明確で、0.05より小さいp値あるいはαが根拠としては弱く、それを小さくすることがより強い根拠になる、ということである。Lakensはその論文発表後「あなたのαを正当化して:「統計学的有意の再定義」への反応」というGoogleドキュメントをつくり、12の論点を提示した。約150人の科学者が反応し文書は100ページにも膨らんだ。参加者の多様性は驚くべきものだったとLakensは言う。しかし多くの人が合意した主な主張は、0.005であっても0.05と同様に恣意的なもので、閾値はそのトピックスについてどれだけのことがわかっているかや間違った答えを得るリスクなどによる。予備的研究では偽陽性の可能性が高くても許容できるが医薬品の試験ではもっと低いp値が必要かもしれない。
LakensはGoogleドキュメントの議論の要点を抽出して論文のもととした。
この論文の提案は「統計的有意」というレッテルを一切無くすことである。その代わり、研究者は研究デザインとデータの解釈を統計的閾値を含めて正当性を説明すべきである。
議論は続くだろう。

  • 法律は予防接種を増やすための唯一の方法ではない

Natureエディトリアル
Laws are not the only way to boost immunization
17 January 2018
https://www.nature.com/articles/d41586-018-00660-y
フランス政府は、より一貫した積極的な予防接種政策をすすめることで法的強制リスクを緩和すべきである
子どもの予防接種を義務化する新しいフランスの法律には意見が分かれる
広範な予防接種が公衆衛生にとって必須なツールであることは確実である。しかし文化や倫理の多様性により集団への予防接種については議論がある。その多様性を反映して欧州各国は予防接種を義務としていたり(主に旧ソ連)していなかったりする。フランスが現在これらの議論のケーススタディになっている。
新しいフランスの法律は1月1日以降に生まれた赤ちゃんに11の病気の予防接種を要求する。これまではジフテリア破傷風、ポリオの3つのみだった。追加接種を含む全ての予防接種を受けていない子どもは保育園や学校やキャンプに参加できないだろう。
この政策がフランスの公衆衛生科学者を分断している