食品安全情報blog過去記事

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農薬

  • 有効成分メチニコビア・フルクチコラ(Metschnikowia fructicola)についての農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance Metschnikowia fructicola NRRL Y-27328
EFSA Journal 2017;15(12):5084 [17 pp.]. 12 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5084
有効成分Metschnikowia fructicola NRRL Y-27328株について、報告担当加盟国であるフランスの管轄機関が実施した最初のリスク評価を、欧州食品安全機関(EFSA)がピアレビューした。
同株を抗真菌剤として、核果、イチゴおよびブドウに典型的な手法で用いることについて結論が導かれた。
提出されたデータからは、同株の有効性が低く、ばらつきがあることが示された。
この株を同定するために使用されるマーカーの特異性を確認するためのデータが欠けていた。
著しい毒性、感染性、病原性は認められなかった。
同株は、生産過程でプルケリミンを産生するが、この物質は毒性学的に未知であり、量的なリスク評価を行うことができないため、懸念を生ずる。この物質を含め、二次代謝産物や毒素の評価は完了していない。
Metschnikowia fructicolaの野生株が自然界にどれほどいるのか、また環境における生存期間や増殖性、移動性についてもデータが欠けていた。野生株がプルケリミンなどの二次代謝産物を環境においてどの程度生産するのかも示されていない。
NRRL Y-27328株が魚、ミツバチ、節足動物、ミミズ、土壌微生物に及ぼすリスクのデータも欠けている。プルケリミンやキチナーゼなどの二次代謝産物が対象外の生物に及ぼす毒性のデータもさらに必要である。
全体として、リスク評価に適切で信頼性のあるエンドポイントが提示されているが、規制の枠組みの中で求められる情報が欠落している(本文に列挙)など、懸念が確認された。

  • 既存MRLsのレビューを必要としない農薬有効成分

Pesticide active substances that do not require a review of the existing maximum residue levels under Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2017;15(12):5080 [8 pp.]. 12 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5080
EC規則No 396/2005条項12(1)に基づき、EFSAは、有効成分をEC指令91/414/EECの附属書Iに収載したあるいは非収載とした日付から12ヵ月以内に、その有効成分の既存の最大残留基準(MRLs)のレビューについて、理由を伴った意見を提出することになっている。EFSAは、EC規則No 396/2005条項12(1)に基づいてレビューにかける必要がある有効成分の中で、MRLsのレビューはもはや必要ないと考えられる8つの有効成分を選定した。EFSAは、それらのMRLsのレビューを廃止する理由を説明する文書を作成した。それぞれのMRL設定に関連する各問合せ(EFSAの整理番号が付与されている)については、この文書が対処しているとみなされる。
◇MRLの廃止が提案される有効成分
1) トリシクラゾール
・ 不認可
・ 2015年のEFSAの結論に基づいて不認可となっている(遺伝毒性や発がん性の懸念などのため)。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2009-00021
2) ハロウキシフェンメチル
・ 認可されている
EUにおける典型的な農法での使用に関してMRLsが設定されており、他の使用は考えられない。Codex委員会はMRLs (codex maximum residue limits: CXLs)を設定していない。検出限界も適切である。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2015-00476
3) スルホキサフロル
・ 認可されている
EUにおける典型的な農法での使用に関して、また輸入品に関してMRLsが設定されており、他の使用は考えられない。CXLsも考慮に入れられている。検出限界も適切である。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2015-00485
4) フルメトラリン
・ 認可されている
EUにおける典型的な農法での使用に関してMRLsが設定されており、他の使用は考えられない。CXLsも設定されていない。検出限界も適切である。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2015-00740
5) 3-デセン-2-オン
・ 不認可
・ 2015年のEFSAの結論に基づいて不認可となっている(遺伝毒性の懸念などのため)。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2016-00116
6) シアントラニリプロール
・ 認可されている
EUにおける典型的な農法により食用ブドウなどの作物への使用に関してMRLsが設定されている。CXLsも考慮に入れられている。検出限界も適切である。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2016-00549
7) カッシア
・ 不認可
認可申請が申請者により取り下げられている。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2009-00094
8) メチルノニルケトン
・ 不認可
・ 暫定的にEC規則396/2005の附属書IV (基準設定対象外物質)のリストに含められているが、EFSAの結論*3などに基づいて認可取り消しとなっている(哺乳類における毒性試験で用いられた被験物質が実際の規格と整合した者かどうかが分からない)。
・ 関連する問合せの番号: EFSA-Q-2009-00175

  • 酸化フェンブタスズの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for fenbutatin oxide according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2017;15(12):5091 [14 pp.]. 12 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5091
EC規則No 396/2005j第12条に基づいて、EFSAは、農薬有効成分酸化フェンブタンスズについて欧州レベルで設定されている現行の最大残留基準値(MRLs)をレビューした。EUでは、酸化フェンタスズの認可は既に取り消されている。これは、代謝試験で検出され、工業用製品の中に不純物として存在する酸化ジヒドロキシフェンブタスズの毒性データが無いためである。にもかかわらず、コーデックス委員会が設定したMRLs (CXLs: codex maximum residue limits)はまだ堅持されている。この化合物は完全な毒性学的特徴付けが為されていないため、EFSAはCXLsの評価を行えておらず、その値を欧州規則に組み込むことは推奨できない。しかしEFSAは、違法使用の取り締まりのために利用できるマーカー残留化合物や定量限界値(LOQ)を、現在まで得られているデータから提示することができた。

  • キザロホップ-P-エチル、キザロホップ-P-テフリル、プロパキザホップの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for quizalofop-P-ethyl, quizalofop-P-tefuryl and propaquizafop according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2017;15(12):5050 [119 pp.]. 12 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5050
さらなる検討が必要。