食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

意見

  • 遺伝毒性評価に関するいくつかの事柄の明確化

Clarification of some aspects related to genotoxicity assessment
EFSA-Q-2017-00112 [25 pp.]. 18 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5113
欧州委員会はEFSAに次の事柄に関して助言を求めた。
(1) in vitro遺伝子突然変異試験で陽性結果が得られた件を継続調査するにあたりin vivo不定期DNA合成(UDS)試験を用いることの適否;
(2) in vivo試験、特に哺乳類の赤血球を用いた小核試験において、標的組織の暴露量を示すことの妥当性;
(3) 化学物質の遺伝毒性について証拠の重み付けアプローチのデータを用いて結論を導出すること、およびその結果を受けて健康を重視したガイドライン値を設定すること。
EFSAの科学委員会は、最初の質問について、後ろむき手法と前向き手法の両方で取り組むべきだと結論付けた。今後の評価では、UDS試験は推奨しないと助言した。再評価におけるUDS試験で陰性結果が得られた場合、その結果の信頼性と有意性を、トランスジェニック動物試験やin vivoコメットアッセイ法などのさらに鋭敏な試験がこの再評価を完了するのに必要かどうかを判断する前に、証拠の重み付けアプローチにより慎重に評価すべきである。
2番目の質問に関し、科学委員会は、骨髄暴露の実証に従って取り組むべきだと結論付けた。骨髄毒性の有無は、それ自体が、試験で陰性結果が得られた場合にその結果の妥当性を判定できるようにする十分な証拠能力を持つ。標的組織の暴露量に関する証拠などの他の情報はいずれも、証拠の重み付けアプローチの枠組みで取り扱うべきである。
3番目の質問に関しては、科学委員会は、化学物質の遺伝毒性の評価における不確実性を低減するのに役立つあらゆる入手可能なデータを考慮に入れるべきだと結論付けた。全体的な評価から遺伝毒性の懸念が残らなければ、健康を重視したガイドライン値が設定される。だが、遺伝毒性の懸念が残れば、健康を重視したガイドライン値の設定は適切とはみなされない。

  • オレガノの変種Origanum vulgare subsp. hirtum (Link) letsw. var. Vulkanから得られるエッセンシャルオイルを全ての動物種を対象とした飼料に官能的添加物として使用する際の安全性と有効性

Safety and efficacy of an essential oil from Origanum vulgare subsp. hirtum (Link) letsw. var. Vulkan when used as a sensory additive in feed for all animal species
EFSA Journal 2017;15(12):5095 [16 pp.]. 18 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5095
動物用飼料に使用する添加物および製剤または物質に関するパネル(FEEDAP)は、Origanum vulgare subsp. hirtum var Vulkan (DOS 00001)から得られるエッセンシャルオイルについて、全ての動物種を対象とした官能的飼料添加物として使用する場合の科学的意見を提示するよう欧州委員会から要請を受けた。このオイルの分析により、34の構成成分が同定された。これらはこのオイルの99%以上の割合を占め、その中でカルバクロールが最も優勢であった(60%以上)。対象動物種における安全性を評価するために、3動物種(肥育鶏、離乳子豚、乳牛)で5件の許容試験が行われた。鶏肥育用と離乳子豚用には、推奨使用量である飼料1 kg当たり150 mgで安全であることが示され、この結論が食肉用に育てられる家禽および豚の全ての種類に拡大して当てはめられる。1頭当たり1日に500 mgの用量(完全飼料1 kg当たり25 mgに相当)が乳牛に安全だということも示された。パネルは、試験された乳牛と反芻動物以外の動物では推奨使用量が異なるので、低い方の使用量である飼料1 kg当たり25 mgという用量が、上記に含まれていない全ての対象動物に当てはめられると結論付けた。残留検査(肉、肝臓、脂肪、牛乳、卵)では、推奨使用量でこの添加物を与えられた動物に由来する製品による消費者の暴露量は、安全上の懸念を生じるものではないことが示された。この添加物は、皮膚と眼に刺激性があり、また感受性の高いヒトでは感作を生じる可能性があると考えるべきである。オレガノから抽出されたエッセンシャルオイルを動物生産に使用することにより、環境におけるリスクが引き起こされることはないと考えられる。オレガノとその抽出物は香料食品として認められていて、飼料における機能は実質的に食品におけるものと同じであるため、これ以上の有効性の論証は必要ないと考えられる。

  • 全ての動物種を対象とした飼料添加物としてのベントナイトの安全性と有効性

Safety and efficacy of bentonite as a feed additive for all animal species
EFSA Journal 2017;15(12):5096 [13 pp.]. 18 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5096
動物用飼料に使用する添加物及び製剤又は物質に関するEFSAのパネル(FEEDAP)は、ベントナイトを全ての動物種を対象とした産業用飼料添加物(マイコトキシンによる飼料汚染を低減する物質)として使用する際の安全性と有効性を評価するよう欧州委員会から要請を受けた。EUBA aisbl (欧州ベントナイト協会)は、6企業を代表した申請者として、この申請の根拠となる技術的文書をEFSAに提出した。申請者は、完全飼料1 kg当たり最大20,000 mgの用量でベントナイトを使用する案を提示した。この添加物は、飼料中のアフラトキシンB1の分析を妨げると思われる。この添加物の安全性は、2012年に発表された意見において既にFEEDAPパネルにより評価されている。ベントナイトは、完全飼料1 kg当たり最大20,000 mgの用量で使用した場合、全ての動物種、消費者、環境において安全である。新規の遺伝毒性試験の結果は、スメクタイトが遺伝毒性を持たないという以前の結論を支持するものであった。ベントナイトは皮膚刺激性物質ではないが、眼に対しては軽度の刺激性を示す恐れがある。提出された新しい試験の結果に基づくと、この添加物は皮膚感作性物質ではない。二酸化ケイ素を含有しているため、この添加物は、使用者が吸入すると危険である。In vitro試験では、被験物質とされた2八面体および3八面体スメクタイトが、pH 5において、様々な濃度でアフラトキシンB1を吸着する可能性があることが示された。しかしながら、適切に実施されたin vivo試験の情報は得られていない。そのため、パネルはこの添加物の有効性に関する結論を導き出せなかった。パネルは、評価対象の2八面体および3八面体スメクタイトに同様に当てはまる安全性と有効性の結論をさらに検討する。FEEDAPパネルは、この添加物中に許される他のミネラルの最大含量や、他の薬物(抗コクシジウム剤など)とこの添加物との配合禁忌に関し、助言を提示した。さらにパネルは、この添加物の呼称や現在の規制によるベントナイトの定義に関しても意見を提示した。

  • 有効成分Ampelomyces quisqualis AQ10株についての農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance Ampelomyces quisqualis strain AQ10
EFSA Journal 2017;15(12):5078 [17 pp.]. 15 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5078
露地栽培のブドウ、温室栽培あるいは露地栽培のトマト、ピーマンおよびナスのうどん粉病対策のために使用する噴霧防カビ剤としての認可更新のためのピアレビュー。有効性は確認された。同定、物理化学的性質、分析法についてはデータの欠落が認められた。評価対象菌株の生きた細胞がヒトの健康に懸念を生じることは無いが、ヒトに対して有害である可能性が排除できない二次代謝産物の同定・定量データが無い。そのため、そうした二次代謝産物について、非食事暴露量の確定、消費者におけるリスク評価、抗生剤である可能性の審査などが実施できない。環境毒性のデータも不足している。現行ではEC規則No 396/2005のAnnex IVに収載されているが、リスク管理者による再考が必要であるかも知れない。