食品安全情報blog過去記事

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牛乳や牛肉中の細菌がリウマチ性関節炎と関連している

Bacteria found in milk and beef linked to rheumatoid arthritis
February 1 2018
https://www.nhs.uk/news/food-and-diet/bacteria-found-milk-and-beef-linked-rheumatoid-arthritis/
「牛乳を飲んだり牛肉を食べたりすることでリウマチ性関節炎が引き起こされる場合があると科学者が警告」とMail Onlineが報じている。しかし、この話はその見出しで示唆されることよりももっと複雑である。
研究者たちは、リウマチ性関節炎の患者の赤血球における遺伝子突然変異を調査した。彼らは、免疫系を調整する遺伝子に突然変異が起こると免疫系の’ブレーキが外れ’てしまう可能性があり、そのため免疫反応が過度なものとなり、関節や組織に炎症や損傷が引き起こされると言う。
彼らはまた、ヒトの血液でヨーネ菌(Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis: MAP)のDNAの検出を試みた。彼らは既に、MAPがクローン病などの免疫機能疾患(自己免疫疾患)と関連があることを示している。MAPは米国の牛によく見られ、感染した牛に由来する乳製品や肉製品がMAPで汚染されていることがある。
研究者たちは、リウマチ性関節炎の患者で特定の遺伝子の突然変異が健康な人たちよりも多く認められ、その変異がMAPのDNAの痕跡を有している場合が多いことを見出した。免疫細胞の試験では、MAP感染に対して’過敏性’反応が認められた。このようなことは、遺伝子突然変異の無い細胞では起こらなかった。
研究者たちは、MAPが引き金となり、遺伝子突然変異を有する人にリウマチ性関節炎が生じる可能性があると理論立てている。ただし、MAPがその疾患を引き起こしているということではない。現段階では、さらに研究する価値がある関連性が示されたに過ぎない。
リウマチ性関節炎を引き起こす原因は明確ではないが、先天性の遺伝や喫煙がこの疾患と最も強い関連性を持つ。
牛乳や牛肉を摂取しない理由を個人的に持っている人もいるかも知れない。しかしこの研究は、牛乳や牛肉を避けることでリウマチ性関節炎を防ぐことができるという根拠は全く示していない。