食品安全情報blog過去記事

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サプリメントは運動やダイエットの習慣付けに役立つか?

NIH発の新情報源でダイエタリーサプリメントにまつわる混乱を整理する
Will supplements help your workout or diet routine?
New resources from NIH cut the confusion on dietary supplements.
24 January 2018
https://www.nih.gov/news-events/news-releases/will-supplements-help-your-workout-or-diet-routine
新年は新たな目標を設定する時節であり、多くの人にとってそれは減量や体調の改善であったりする。こうした目標には、栄養のある食事や規則的な運動が最もふさわしいのであるが、多くの人はそうした習慣の効果を引き上げるためにダイエタリーサプリメントに目が行ってしまいがちである。
Dietary Supplements for Exercise and Athletic Performance*1(運動能力向上のためのダイエタリーサプリメント: 食品安全情報(化学物質)No.2/ 2018(2018. 01.17)別添に消費者向けファクトシートの和訳有り)の記事では、エルゴジェニック・エイドと呼ばれるものも含め、体力や持久力を改善し、運動効率を高め、目標により早く到達させ、より負荷のかかるトレーニングへの耐性を高めると言われる製品を扱っている。
米国国立衛生研究所(NIH)ダイエタリーサプリメント局(ODS)の責任者であるPaul M. Coates医学博士は以下のように述べている。「運動能力向上を企図したダイエタリーサプリメントは、健康的な食事の代わりにはならない。ただし、運動の種類によっては役立つものもあるかも知れない。だがそうした少数のもの以外には効き目は無く、それらの中には有害なものさえある。」
ODSが作成したファクトシートには、フィットネスサプリメントにみられる20を超える成分が収載されている。それらは例えば、抗酸化物質、ビートの根、タルトチェリー、分岐鎖アミノ酸、カフェイン、クレアチンプロテインなどである。クレアチンを例にとると、この物質は、短距離走や重量挙げのような瞬時に強い力を必要とする運動には役立つかもしれないが、長距離走や水泳などの持久力が求められる運動には役立たない。一方、ビタミンCやEといった抗酸化物質は、体全般の健康には微量が必要であるが、どのような身体運動能力をも向上させることはないと考えられる。
米国に成人の3分の2以上が太り過ぎや肥満であり、多くの人がその過剰な分を無くそうと試みている。Dietary Supplements for Weight Loss*2(減量用ダイエタリーサプリメント: 食品安全情報(化学物質)No.3/ 2018(2018. 01.31)別添に消費者向けファクトシートの和訳有り)の記事は、市場に入り乱れる製品の山から抜け出すための手引きである。
ODSの情報伝達プログラムの責任者である Anne L. Thurn医学博士は次のように述べている。「米国人は減量を促すとされるダイエタリーサプリメントに年間20億米ドル以上を費やしているが、それらが実際に効果があるという根拠はほとんど無い。また、減量サプリメントの製造業者の多くがその製品が有効で安全であるかどうかを見極める試験をヒトで行ってはいないことは知られていないであろう。」
このファクトシートには、アフリカンマンゴー、β-グルカン類、クロム、ガルシニア、緑茶、フーディア、ラズベリーケトンなど、減量用製品にみられる24の成分が収載されている。例えば、クロムは安全であり、非常に少量の体重や体脂肪の減少に役立つかもしれないが、ラズベリーケトンは安全性や有効性についてまだ十分な検討が行われていない。また、緑茶を飲むのは安全であるが、緑茶抽出物の錠剤を摂取すると、ヒトによっては肝臓障害が起きることが分かっている。
上述の2つのファクトシートは、医療関係者向けのバージョンもあり、参照文献も含めて詳述されている。また、消費者向けバージョンは英語版とスペイン語版が用意されている。ODSのファクトシート*3は、ほとんどがこのような複数のフォーマットで提供されている。
Paul M. Coates医学博士はまた、次のように述べている。「ODSは、皆さんに、皆さんを担当する医療関係者と話し合って、ダイエタリーサプリメントについての助言を受け、またODSのウェブサイト*4を訪れてこうした製品についての価値ある情報を取得することをお薦めする。皆さんはODSのリストサーブに登録して、ODSが新しい情報をウェブサイトに提示した場合に通知をうけることもできる。」
ODSは、NIHの所長直轄部門の一つであり、ダイエタリーサプリメントについての知識と理解を深めることを目的とし、米国民の生活や健康の質を高めるため、科学的な情報評価、研究の振興と支援、研究結果の発進、一般市民の啓蒙などを行っている。ODSとODSのプログラムについてのさらに詳しい情報は、ODSのウェブサイト*4で参照できる。
*1: https://ods.od.nih.gov/factsheets/list-all/ExerciseAndAthleticPerformance/
*2: https://ods.od.nih.gov/factsheets/list-all/WeightLoss/
*3: https://ods.od.nih.gov/factsheets/list-all/
*4: https://ods.od.nih.gov/