食品安全情報blog過去記事

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大豆(Glycine max)の外皮から得られる食品酵素ペルオキシダーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme peroxidase obtained from soybean (Glycine max) hulls
EFSA Journal 2017;15(12):5119 [21 pp.]. 21 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5119
Kerry Ingredients & Flavours社の食品酵素の安全性評価を行った。この食品酵素は、大豆(Glycine max)の外皮から得られるペルオキシダーゼ(過酸化水素酸化還元酵素; EC 1.11.1.7)である。組成に関するデータは、提出されたもので十分と判断した。製造工程は安全上の懸念を生じさせるものではなかった。この酵素は焼く工程での使用が企図されている。最大推奨使用量に基づき、この食品酵素製品の総固形有機物(TOS, すなわち酵素本体)への食事を介した暴露量を、EFSAの包括的欧州食品摂取データベースの個別データを用いて推定した。この推定暴露量は、大豆の外皮画分を摂取した場合の食品酵素TOSへの暴露量よりもおよそ1桁小さい。なお、大豆の外皮画分を摂取した場合の暴露量は、丸ごとの大豆から作られた食品を摂取した場合に生じる暴露量と同等である。食品接触物質、酵素、香料及び加工助剤に関するパネル(CEFパネル)は、この食品酵素は大豆の可食部に由来するため、食品酵素評価に関するガイダンス文書の要件に従い、毒性学的データの必要はないと結論付けた。アレルギー誘発性は、データベースUniprotから検索した大豆ペルオキシダーゼのアミノ酸配列と既知の食品アレルゲンの配列との類似点を検索する手法でで評価したが、合致するものは見つからなかった。大豆の外皮由来ペルオキシダーゼは、アレルゲンデータベースにアレルゲンとして収載されていない。しかし、いくつかの大豆および大豆の外皮タンパク質は、呼吸器アレルゲンないしは食物アレルゲンとして知られている。大豆の可食部分がこの食品酵素の起源であること、酵素製造工程、提出された組成及び生物学的データ、そして食事を介した暴露量の評価に基づき、CEFパネルは、この食品酵素は意図した使用条件において安全上の懸念を生じないと結論付けた。ただしCEFパネルは、この食品酵素はアレルゲン性のある大豆タンパク質を含んでいる可能性があり、そのため、大豆アレルギーに感受性のある人における有害反応を除外できないことを指摘している。