食品安全情報blog過去記事

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  • トルコの正義を取り戻せ

Natureエディトリアル
Restore justice in Turkey
06 February 2018
https://www.nature.com/articles/d41586-018-01677-z
数百人の学者や科学者が平和への願いの結果政治的取り締まりにより捕まった
トルコでは現在平和のために戦うのは危険である。先週トルコ医師会の会長を含む11人が逮捕された。何の罪で?戦争は公衆衛生の問題だというスローガンを用いて、医師会がトルコ軍のシリアのクルド人の殺害を止めるよう求めた。これは2016年1月に平和を求めて署名した千人以上の学者を逮捕したことに続く。おおくが刑事犯罪に問われ数百人が失業した。

  • 赤道近くのオゾン層の気がかりな消失は寿命の短い化合物に関連するかもしれない

Scienceニュース
Disturbing losses of protective ozone near Earth’s equator may be tied to short-lived chemicals
By April ReeseFeb. 6, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/ozone-hole-s-repair-belies-thinning-planet-s-ultraviolet-shield-closer-equator
各国がオゾン層を破壊する化合物を禁止して30年、南極のオゾンホールは縮小した。しかし新しい知見は中緯度でオゾン層が薄くなっていることを示す−科学者は原因を究明するのに苦闘している。スイスの大気物理学者William Ballは「過剰に心配させたくはないが、理解する必要のある何かがおこっている」という。Ballらはジクロロメタンのようなこれまで成層圏には到達しないと考えられてきた極めて寿命の短い化合物(VSLSs)を疑っている。気候変動も関与するかもしれない。

  • 世界が温暖化するに連れ何百万トンもの捕獲されている水銀が放出されるかもしれない

Millions of tons of trapped mercury could be released as world warms
By Katie LanginFeb. 6, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/large-amount-trapped-mercury-could-be-released-world-warms
世界最大の水銀貯蔵庫が北極の永久凍土にあるが、気温が上昇すると溶けるリスクがある、とワシントンポストが報道。Geophysical Research Lettersの論文をうけたもの。この水銀は天然のもの。

  • フィプロニルの余波:卵の価格はまだ高い

Fipronil fallout: Egg prices still high
Monday, 29 January 2018
http://www.brusselstimes.com/business/10178/fipronil-fallout-egg-prices-still-high
ベルギー
卵価格は一年前より約50%高い

  • IARCサポーターが「モンサントペーパー」逸話を推すためグリホサートのがんの科学について支持者の分裂が噴出

Partisan divide erupts on glyphosate-cancer science as IARC supporters push ‘Monsanto Papers’ narrative
Jon Entine, Cameron English | February 7, 2018
https://geneticliteracyproject.org/2018/02/07/partisan-divide-erupts-glyphosate-cancer-science-iarc-supporters-monsanto-papers-narrative/
下院委員会についての長い記事
共和党議員のほぼ全員、科学者は一人を除いて全員がIARCに批判的な証言をした。IARCを擁護したのはNRDCの上級科学者のJennifer Sassと民主党の議員。
話題になったのはリスクかハザードか、企業が試験をすること、IARCモノグラフに参加した疫学者Dr. Aaron Blairがグリホサートに発がん性はないというデータはモノグラフから外したことを認めたこと、モンサントの陰謀、という主張等。ところが実際に陰謀を働いたのはIARCとDr. Christopher Portierのほうである。

GOP lawmakers take aim at WHO agency over Roundup ingredient
https://www.apnews.com/716e2a6e6ff14f1b8920c17e61c64353/GOP-lawmakers-take-aim-at-WHO-agency-over-Roundup-ingredient
下院科学委員会議長のLamar Smithが火曜日にIARCの2015年の結論は基本的に欠陥があると行った。テキサスの議員はIARCの反企業バイアスと透明性の欠如に重大な懸念をもつという。

  • WHOがグリホサートのがん警告に関する下院委員会の批判に反論

Scienceニュース
WHO rebuts House committee criticisms about glyphosate cancer warning
By Corbin Hiar, E&E NewsFeb. 7, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/who-rebuts-house-committee-criticisms-about-glyphosate-cancer-warning
Originally published by E&E News.
下院議員に引用された報告にもかかわらず、WHOのがん機関はグリホサートが「おそらく発がん性」だという自身の知見を固く擁護した。IARCのかたくななスタンスは、米国下院科学航空技術委員会の環境小委員会長である民主党議員Suzanne Bonamici(オレゴン州)により、昨日、委員会の公聴会で公式に発表された。BonamiciはIARCのChristopher Wild長官がここ数ヶ月の間に委員会に送ってきた一連の回答の記録から始めた。
(文書へのリンク有り、いろいろ略)
EPAの農薬プログラム事務所の上級科学アドバイザーAnna Lowitも証言し、EPAのグリホサートに発がん性はないと結論した評価案を擁護した。
(WHOではなくてIARC。JMPRとかWHO本部は一緒にされると怒るよ。この件に関してはIARCは完全に孤立しているので)

Diphtheria death shows Queensland is failing to properly vaccinate, AMA warns
By Mark Rigby
http://www.abc.net.au/news/2018-02-08/diptheria-death-shows-vaccination-failure-ama-says/9407920
20代のジフテリアの予防接種をしていない男性が1月24日に重体、水曜日に当局によりその後死亡したことが確認された。2011年以降初めて。
クイーンズランドでは過去数年反ワクチン活動が盛んで一部の地域では間違った情報により予防接種率が低下している。

  • 2018 ILSI年次会合のプレゼン

ILSI
2018 ILSI Annual Meeting
http://ilsi.org/event/2018-ilsi-annual-meeting/
世界の食糧供給への脅威
Threats to the Global Food Supply
http://ilsi.org/event/ilsiam2018_foodsupply/
一部だけプレゼン資料が掲載されている
Gogochickenは中国で鶏一羽一羽が何を食べどう動いたかを追跡してデータをオンラインで提供するという 
ブロックチェーンとかIoTとか
(この中国のIT技術の進歩はほんとうに驚く。慎重さに欠けるきらいはあるが何かを生み出すのはそういうエネルギーに満ちたところなのかなと思う。)

  • 実験動物が幸せになるのは科学にとってより良いか?

Scienceニュース
Are happy lab animals better for science?
By David GrimmFeb. 7, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/are-happy-lab-animals-better-science
何十年もの間、齧歯類や魚などの実験動物は刺激の少ない小さなプラスチックの箱に閉じこめられてきた。変数が少なければ少ないほど実験の正確さが増すと考えられた。しかしこのアプローチは裏目に出ているという研究が増えている。動物で効果があった医薬品のうちヒトでも成功するのは9つのうち1つだけである。そして別の実験室では結果が再現できない。こうした問題の一部は動物の住む環境にもあるのでは?これが新しい主張である。「動物を管理しすぎるともはや役にたたない」、とJoseph Garnerは言う。
しかし他の研究者は動物の飼育環境のエンリッチメントは実験結果をわかりにくくし再現性の危機を悪化させる可能性があると恐れる。
(以下歴史や法律等含め長い記事)