食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 大タバコ企業からの提供:研究費10億ドル。科学者は受け取るべき?

Scienceニュース
Big tobacco’s offer: $1 billion for research. Should scientists take it?
By Martin EnserinkFeb. 8, 2018 ,
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/big-tobacco-s-offer-1-billion-research-should-scientists-take-it
オランダユトレヒト大学が昨年9月にフィリップモリスインターナショナル(PMI)から36万ユーロの研究費をもらったとき、恥ずべきことはないと考えていた。タバコの密輸に関する研究に出資し、主任研究者の法学教授John Vervaeleは学問の自由を謳歌するつもりだった。しかしこのはっぴょうは肺疾患学者やがん研究者、オランダがん学会からの批判の嵐を呼んだ。そして1月17日、大学はPMIとの関係を断ち研究費は自前で出すと発表した。それからこの問題は大きな議論となりVervaeleは報道関係者に話すことを禁じられた。
(以下略)

  • 生命医学ベンチャー社長が自家製ヘルペスワクチンを自分に注射した−何故それが良い考えではないのか

Biomed CEO Injects Himself with DIY Herpes Vaccine — Why That's Not a Good Idea
By Stephanie Pappas, Live Science Contributor | February 6, 2018
https://www.livescience.com/61666-self-injected-diy-herpes-vaccine-bad-idea.html
2月4日、バイオベンチャーAaron TraywickがBdyHax会議の聴衆にライブ中継をしながら検査されていないヘルペス治療薬を自分に注射した。彼はそれを科学の透明性を増し科学を進歩させるためだと宣伝しているが、生命医学の専門家はそんなものにはならないという。
こういうイベント
https://bodyhackingcon.com/
改造人間とかサイボーグとか

  • ノー、アスパラガスはあなたをがんにしない

No, Asparagus Won't Give You Cancer
By Alex Berezow — February 8, 2018
https://www.acsh.org/news/2018/02/08/no-asparagus-wont-give-you-cancer-12546
この記事を書いているときのgoogleの検索ワードのトレンドの上位の一つが「アスパラギン」である。我々の身体や食品中のタンパク質を構成する約20のアミノ酸の一つである。
このどちらかというとつまらない分子が国際的に目立つ見出しになったのは、メディアによると、それががんの原因だからという。そしてアスパラギンがどこにあるかというと、タンパク質を含む食品にならどれにでも含まれる。その中にアスパラギンがちなんで名をつけられたアスパラガスがある(アスパラギンは1806年アスパラガスかの汁から単離されたとのこと)。だからアスパラガスはがんの原因。
冗談を言っていると思う?冗談ではない。これがロンドンのThe Timesの見出しである
スクリーンショット、アスパラガスを避けるとがんをやっつけるのに役立つかもしれない、のタイトルとアスパラガスの写真)
The Guardianはもっと良く説明しているがそれでも見出しはお粗末である
乳がんの広がりはアスパラガスやその他の食品に含まれる化合物に関連、アスパラガスの写真)
そしてEvening Standardはこうである
(科学者によりアスパラガスと乳がんの関連が発見された)
何故こんなにメディアはひどいのか?
何故これほど、文字通り世界レベルで、ひどいのか?人目を引きたい、事実を伝えるより広告収入が欲しいという欲求といいかげんさが組み合わさっている。
論文の要旨では
アスパラギン合成酵素のノックアウト、L-アスパラギナーゼ処理、あるいは食事由来アスパラギンを制限することでアスパラギンを減らすと、もとの腫瘍の増殖には影響しないまま転移を抑制する」
とある。この研究には可能性がある。しかし患者にアスパラギンの少ない食事をさせるのは現実的ではない。なぜならアスパラギンはどこにでもあるし人体でも作っている。そして血中アスパラギン濃度を下げる治療は既に使われている。急性リンパ芽球性白血病の治療薬混合物の中には血中アスパラギン濃度を下げるためのアスパラギナーゼが含まれている。
だからもしジャーナリストや編集者がやるべき調査をしたなら、ニュースの見出しは「子どもの白血病の治療方法が乳がんでも効果があるかもしれない」とか「研究者らは乳がんの治療法の標的になる可能性のある酵素を確認」といったものになるべきだ。
もと論文には「アスパラガス」という単語は出てこない。そして科学者はアスパラギンの少ない食事を勧めていない
(ここ見るとhttp://b.hatena.ne.jp/entry/www.bbc.com/japanese/42984975
アスパラギンアスパラギン酸もごっちゃにされているようだ。)

  • ジャーナリズムは科学を破壊する?

Will Journalism Destroy Science?
By Alex Berezow — February 8, 2018
https://www.acsh.org/news/2018/02/08/will-journalism-destroy-science-12550
科学の戦いには少なくとも三つの戦線がある。一つは政治的戦い、二つ目は法的戦い。三つ目が報道との戦いである。報道と科学の戦いには二種類のものがあり、「偶発戦争」と「イデオロギーによる戦い」がある。
「偶発戦争」は通常は善意であるが愚かなジャーナリストが科学や健康に役立つと考えて行うもので、その良い例が昨日のアスパラガスががんの原因というニュースである。健康ニュースにはこの手のニュースがあまりにも多いので、信頼できるものがわからなくなる。ある日は野菜ががんを治し次の日にはがんの原因になる。人々はジャーナリストを責めるが主犯の一つは大学の広報である。プレスリリースを書く担当者はジャーナリスト同様に目立ちたいので誇大宣伝をする。時間のないジャーナリストがもと論文を読むことなくそれをコピペする。
ジャーナリストによる科学への陰湿な戦い
こちらは悪人による。一部のジャーナリストは本を売ったりお金を儲けるために疑似科学を売る。あるいは単なる活動家がジャーナリストのふりをしている。
(実名いろいろ略)
抗戦法
今日のような党派性の高すぎる雰囲気では、泥沼を抜けるのは難しい。一つの事実に留意して前進できるかもしれない。あなたの好きな人が必ずしも正しいわけではなく、あなたの嫌いな人がいつも間違っているわけではない。事実だけを問題にしよう。もしそれを伝える人をあなたが大嫌いだったとしても、それでも事実は事実である。

  • マウスの食事を操作することでがんが広がるのを止めることができる

Cancer research uk
Manipulating a mouse’s diet can stop breast cancer spreading
February 7, 2018
http://scienceblog.cancerresearchuk.org/2018/02/07/manipulating-a-mouses-diet-can-stop-breast-cancer-spreading/
(Natureのアスパラギンの研究について。Cancer research UKが研究資金を出しているので)
この研究は新しいがん治療法の可能性を開拓するものだが、患者にとってどういう意味があるだろうか?
アスパラギンは乳腺に多く血中には少ない、とかいろいろ)
この研究はまだ初期の段階であり、自宅での自己流食事療法の根拠にはならない。著者は可能性はあると信じている。

  • 外来ミツバチが植物を絶滅させる可能性

Alien honeybees could cause plant extinction
8-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/aru-ahc020818.php
新しい研究:必須の専門的役割を担っているその地域の授粉媒介者をミツバチが競合して打ち負かす
Diversity and Distributionsに発表されたエジプトでの研究。

  • フランスは代用品がなければグリホサート禁止から農家は免除されるという

France says farmers exempt from glyphosate ban when no alternative
January 26, 2018  Reuters Staff
https://www.reuters.com/article/us-eu-health-glyphosate/france-says-farmers-exempt-from-glyphosate-ban-when-no-alternative-idUSKBN1FE2C6
Emmanuel Macron大統領が語った。
大統領は11月にグリホサートを3年以内に禁止すると言ったが、この発表が農家の怒りをかっていた。マクロン大統領は、免除は全体の10%だろうと言った

  • ドイツ連立政権の合意:いまだ欧州に打開策無し

German coalition agreement: No breakthrough for Europe yet
‎2018‎年‎2‎月‎5‎日
https://www.euractiv.com/section/elections/news/german-coalition-agreement-no-breakthrough-for-europe-yet/
グリホサートについては「可能な限り早く」使用しないようにする、とのこと