食品安全情報blog過去記事

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科学的評価における不確実性の分析に関するガイダンス

Guidance on Uncertainty Analysis in Scientific Assessments
EFSA Journal 2018;16(1):5123 [39 pp.]. 24 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5123
不確実性の分析は、科学的知見の限界を認識し、その限界が科学的結論にもたらす影響を評価する工程である。したがって、不確実性の分析は、EFSAの科学的評価全てに関連しており、評価の結論が信頼できる情報を提供するために、そしてそうした情報に基づいて方針決定が為されるようにするために、必須の工程である。不確実性分析をどのようにどの程度まで行い、そして結論をどのように報告すべきかは、それぞれの評価の性質や内容、および存在する不確実度により大きく影響を受ける。この文書では、それぞれの評価において不確実性分析のどの選択肢を取ることが適当であるかを確認する方法や、その適用方法についての簡潔なガイダンスを提供している。また、このガイダンスには、独立した補足意見が添えられており、それにより、このガイダンスの背景にある重要な概念や原則が解説されており、方法もより詳しく述べられている。

  • 科学的評価における不確実性の分析に関するEFSAのガイダンスの背景にある原則と方法

The principles and methods behind EFSA’s Guidance on Uncertainty Analysis in Scientific Assessment
EFSA Journal 2018;16(1):5122 [235 pp.]. 24 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5122
EFSAの業務の透明性に係る一般要件を満たすために、EFSAの全ての科学的評価は、不確実性を考慮に入れなければならない。評価においては、どのような事が不確実性の要因として確認されたかを明確に示し、また、それらの要因が評価の結論に対してどのような影響を及ぼしたかを明瞭に示さなければならない。このことは、EFSAの全ての分野、科学的評価の全ての種類、および評価に影響を与え得る不確実性の全ての種類に当てはまる。 この意見書では、別途公表されたガイダンス文書、すなわち、EFSAの科学的評価における不確実性に関する簡潔ガイダンス文書、を支える原則と方法を説明する。これらの文書では、不確実性を分析するための特定の方法を選定するのではなく、むしろそれぞれの評価での必要性に基づいて、様々な方法のどれを選んだらよいかという柔軟性のある枠組みを提供している。評価者は、評価の各部分をチェックして、重要な不確実性を見落とすリスクを最小限にしながら、体系的に不確実性の要因を特定する必要がある。不確実性は、質的に表現される場合もあるし、量的に表現される場合もある。評価に影響を与える不確実性の全ての要因を個別に定量する必要はなく、またそれは不可能である。ただし評価者は、確認された不確実性の要因のできるだけ多くについて、組み合わせ効果を量的な言い回しで表現すべきである。ガイダンス文書では、実用的なアプローチが説明されている。不確実性の分析は、柔軟性のある反復的な手法で実施されるべきであり、評価に適切な水準で開始され、必要性がある限りまたは可能な限り、時間の許す範囲内で精度を上げていくべきである。不確実性の分析方法と結果は、十分にかつ透明性をもって報告されなければならない。全てのEFSAのパネルとユニットは、1年間の試行期間中に、彼らの業務分野の少なくとも1件の評価において、ガイダンス案を適用した。この間に得た経験によりガイダンスを改訂することとなった。EFSAの科学委員会は、不確実性の分析が、EFSAの諸パネルと職員に無条件に備わり、EFSAの全ての業務分野における科学的評価に組み込まれるはずであると考えている。