食品安全情報blog過去記事

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食品や飼料中に存在するモリニホルミンに関連してヒトや動物の健康に生じ得るリスク

Risks to human and animal health related to the presence of moniliformin in food and feed
EFSA Journal 2018;16(3):5082 [95 pp.]. 2 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5082
モリニホルミン(MON)は、主としてフザリウム菌が生成する低分子量のマイコトキシンで、主に穀物に認められる。欧州委員会の要請を受けて、CONTAMパネルは、食品や飼料に存在するMONがヒトや動物の健康に生じるリスクを評価した。実験動物や家畜での毒性やトキシコキネティクスに関して入手された数少ない情報からは、MONによる主な健康への有害影響として、血液毒性と発がん性が示されている。MONはin vitroで染色体異常を引き起こすことがわかっているが、in vivoの遺伝毒性データおよび発がん性データは確認されていない。得られている毒性データが少ないため、健康影響に基づく指標値(HBGV)は、ヒトの急性あるいは慢性の場合について設定することはできなかった。ラットの亜急性試験で得られた心毒性に関する無毒性量(NOAEL)である6.0 mg/kg体重と、上限(UB)シナリオでの急性食事暴露推定量とに基づくと、暴露マージン(MOE)は4,000〜73,000であった。ブタの28日間試験では、血液学的有害性に関してベンチマーク用量信頼下限値(5%の被検動物に影響がみられる濃度: BMDL05)の最低値として0.20 mg/kg体重/日が得られ、これとヒトの慢性食事暴露推定量に基づくと、慢性食事暴露の場合のMOEは、370〜5,000,000であった。これらのMOEsは、ヒトの健康におけるリスクの低さを示しているが、不確実性は高い。家禽、ブタ類、ミンクで得られている毒性データから、現行の飼育実態による暴露量が推定されるが、それによると、飼料を介したMONへの暴露により生じるリスクは、これらの動物において低いないしは無視できるほどであることが示唆される。CONTAMパネルは、ハザードの特徴付けに適した毒性データが得られていない他の動物種に関しては、ブタ類と同等あるいは低い感受性を想定して、それらの動物におけるリスクは、低いあるいは無視できるほどであるとみなした。ヒトにおける包括的なリスク評価ができるようにするためには、追加の毒性試験が必要であり、それらの結果によっては、食品と飼料中のMONについてより多くの汚染実態データを収集することが推奨されることになる。