食品安全情報blog過去記事

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FDA長官の声明: タバコ製品においてメントールなどの香料を代替することにより、特に若者の喫煙を減少させる取り組みについて

Statement from FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D., on efforts to reduce tobacco use, especially among youth, by exploring options to address the role of flavors ‒ including menthol ‒ in tobacco products
March 20, 2018
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm601690.htm
FDAは、若者や子供が喫煙習慣を持つことを防ぐ一環として、タバコ製品中の香料に着目している。、香料が若年者の喫煙開始に大きく影響していることを深く理解しようとする一方で、香料が、現在喫煙に依存している成人を、非燃焼型のタバコ製品に切り替えさせるのに役立つかどうかも検討している。
FDAは、タバコ製品における香料の規制に関し、規制案制定事前通知(ANPRM)を発行した*1。そして、あらゆる利害関係者に対し、メントールなどの香料がタバコ製品の使用開始、継続的使用および使用中止に果たす役割に関してFDAが行ってきた検討過程を伝えるため、データ、調査結果および情報を共有するよう呼び掛けている。
FDAは、タバコ製品の香りが子供たちを引き付け、若年期に喫煙を開始するのを助長していることを認識していた。データ的にも裏付けられており、そのため議会はタバコ中の最も特徴的な香料の使用を禁止した。米国では毎日、2,300人以上の18歳未満の若者がタバコを吸い始め、約1,900人の若者が葉巻を吸い始めている。
今日発行したANPRMに書かれている通り、若者は一貫して、喫煙を始めた主原因としてタバコ製品の香りを挙げている。香料はタバコの味を覆い隠す。しかし香り付けされたタバコや小ぶりの葉巻は、他のタバコ製品と全く同様に依存性があり、健康に有害な影響を及ぼし、また、香料は喫煙を止めにくくする場合もある。香り付けされたタバコから喫煙を始めた若者では、そうでないタバコから喫煙を始めた若者と比べ、現在もタバコ製品を使っている割合が高いという証拠もある。また、かつて喫煙を試したことのある若者においては、65%以上が最初に香り付きを吸っていた。さらに、若年層や青年層の喫煙者は、メントールが入っていないタバコよりもメントール入りタバコをことさら好んで吸っている。また、メントールタバコで喫煙を始めた若者は、試し喫煙者から確固とした喫煙者になり、ニコチン依存症になるリスクも高い可能性が示唆されている。
成人の喫煙者の90%が18歳までに喫煙を始めていることから、子供達を試し喫煙者から常時喫煙者にしないようにする新たな方策が必須である。
しかし、電子タバコなどの香料については、別の問題が関係してくる。香料は害にもなり利益にもなるのである。中学生や高校生が最も一般的に使用しているタバコ製品は電子タバコであり、その香りは使用を始める三大理由の1つになっている。同時に、特定の香料は、すでに依存症になっている成人が、より害が少ない可能性があるニコチン含有タバコ製品に切り替えるのに役立っているのである。
これらのことから、タバコの香料の問題を再検討することが重要であると考えられた。
まず、子供の喫煙については、FDAは、法律の強化などを通じて電子タバコを含むタバコ製品が未成年者に販売されないようにし、科学に基づいた若年者向け教育キャンペーンを実施し、電子タバコを含むタバコ製品の危険性を伝える努力を続けていく。
香料については、今日付けで発行されたANPRMを介して、助言、データ、調査結果、他の話題についての情報を得ようと努めている。例えば以下のようなものに関してである。
● 香料が、特に若年層や青年層の喫煙開始や喫煙の習慣化に果たす役割について
● 成人喫煙者がタバコを減らしたりより害が少ない可能性があるタバコ製品に切り替えたりするのに役立つと考えられる香料の役割について
● 非燃焼型タバコ製品中の香料が、燃焼型タバコの使用中止、あらゆる種類のタバコの使用中止、ないしは複数の種類のタバコ製品の使用開始において果たすと考えられる役割について
● 香り付きタバコ製品が有する健康へのリスクと依存性についての消費者の認知度について
● タバコ製品に使用されている特定に香料が、喫煙者や他者の健康に有害影響を及ぼす可能性があるかどうか
● 香り付きタバコ製品の販売や市場開拓を制限するための地域的、国家的、および国際的努力の影響力について
この活動は、複数年にわたるFDAのロードマップの次の段階に進むために重要である。ロードマップが目指すところは、燃焼型タバコがもやは依存を生んだり維持したりすることがない世界であり、それでもなおニコチンを求める成人が代替品やより害の少ないものからニコチンを得られる世界である。
先週、FDAは別のANPRM*2も発行している。これは、タバコ中のニコチンを最小限もしくは依存を引き起こさないレベルにまで引き下げる製品基準を模索するためのものである。この活動は、米国内で何百万人ものたばこ関連死亡を防ぐ一環となる包括的計画の重要なステップである。
FDAは、正確な、科学に基づいた規制の根拠を持ち続け、タバコの使用による国民の健康への負荷を低減するために、若者を保護し、消費者に有益な改革を届ける道筋を提供するために、議会によってFDAに与えられた強力なツールを行使する。
*1: https://www.federalregister.gov/documents/2018/03/21/2018-05655/regulation-of-flavors-in-tobacco-products
*2: https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm601039.htm