食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 米国FDAのナトリウム組成変更目標は命を救い費用を節約するだろう

US FDA sodium reformulation targets projected to save lives and costs
10-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/p-ufs040318.php
2016年にFDAが提案したナトリウム削減のための目標値を企業が守れば、費用対効果高く心血管系疾患を減らすだろう、PLOS Medicineに発表されたモデル研究によれば。

  • 有機農業、食糧安全保障、環境

Organic Agriculture, Food Security, and the Environment
Eva-Marie Meemken and Matin Qaim
Annual Review of Resource Economics
Vol. 10:- (Volume publication date October 2018)
Review in Advance first posted online on March 29, 2018. (Changes may still occur before final publication.)
https://www.annualreviews.org/doi/10.1146/annurev-resource-100517-023252
有機農業はしばしば慣行農業より持続可能だとみなされる。世界的展望でこの問題について文献レビューを行った。環境や気候変動への影響については、有機農業は土地面積あたりでは汚染が少ないが生産量あたりではそうではない。現在世界の農業用地のたった1%にしかならない有機農業は、平均すると収量が少ない。要求される知識などの多さから、有機農業を行う農家が増えるとこの収量ギャップはさらに拡大するだろう。有機農業の拡大は自然環境の消失と農産物価格の上昇につながり、途上国の貧しい人の食糧入手が困難になるだろう。有機農業は持続可能な農業と食糧安全保障の枠組みにはならないが、有機と慣行農業を賢く組み合わせることで世界の農業の持続可能な生産性の向上に寄与できるだろう。
(著者がドイツGoettingen大学)

  • Long-Evans Hoodedラットにおける妊娠期から成獣までのフッ素暴露による神経毒性の評価

An Evaluation of Neurotoxicity Following Fluoride Exposure from Gestational Through Adult Ages in Long-Evans Hooded Rats
McPherson, C.A., Zhang, G., Gilliam, R. et al. Neurotox Res (2018).
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12640-018-9870-x
NTP

Determination of gluten consumption in celiac disease patients on a gluten-free diet.
Syage JA et al. The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 107, Issue 2, 1 February 2018, Pages 201–207
https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/107/2/201/4911450?redirectedFrom=fulltext
セリアック病患者は便検査では平均∼150–400、中央値で∼100–150 mg/d、尿検査では∼300–400 (平均) および ∼150 (中央値) mg/dグルテンを摂取している。症状の出る可能性のある>200 mg/d以上を摂っている患者がいる
グルテンフリーと表示してそうではないものがあるのではないかと)

  • 世界で最も辛い唐辛子を食べた男性が「雷鳴のような」重症頭痛になった

Man develops severe 'thunderclap' headaches after eating world's hottest chili pepper
9-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/b-mds040518.php
あまりにもひどい痛みで救急医療を必要とした。BMJ Case Reports。
'Carolina Reaper'という唐辛子を食べた若い男性の症例。唐辛子を食べてすぐに空吐き(吐き気はあるが何も出ない)の症状が出始めた。それからひどい頸部の痛みと激しい頭痛になった。それぞれ数秒持続するが数日間。あまりにもひどい痛みだったので救急に行って各種神経疾患検査をしたが全てネガティブであった。CTスキャンで脳のいくつかの動脈が狭窄していたため、医師は可逆性脳血管収縮症候群により発症した二次性雷鳴頭痛と診断した。

  • 予防接種への無関心は何十年にもわたる間違った情報で強化されている

Vaccination apathy fueled by decades of misinformation
9-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/uow-vaf040518.php
Canadian Medical Association Journalに発表された研究によると、子どもに予防接種をしないという決定は親の育て方が悪いというより社会的政治的過去の影響。1960年代に始まった予防接種無関心(ワクチン躊躇)の原因は、医薬品のスキャンダルの歴史、医者の訓練の実態、病気の予防を優先しなかった政治、による。
共著者のWaterloo大学の歴史の教授Heather MacDougallは「親だけのせいではない」という。彼らは1962年のサリドマイドの惨劇、新しい子育てスタイルの勃興、第二派フェミニズム代替医療の流行といった状況を調べ、1970年代と1980年代のはしかのアウトブレイクは個人の健康や健康増進が集団の責任から個人の責任にシフトしたことに関連するという。1990年代までには国および国際機関は子どもの権利と健康を重視するようになり若い親たちは予防接種が子どもの利益になるかどうかを質問するようになった。免疫学の急速な変化について継続的に医師を訓練していないことが、不安な親に適切に回答するための知識の欠乏をもたらした

  • 科学者は「法医学」の科学の欠如を非難する

Scientists decry lack of science in 'forensic science'
9-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/jhub-sdl040918.php
多くの法医学の方法は科学的に妥当性を評価されたことがない
PNASのエディトリアル。科学的根拠を欠いたまま人々に有罪判決を下している状況を改善することを呼びかけ。根本原因はほぼ全ての公的法医学のラボは法の執行機関と深く関連していること。つまり容疑者を犯罪者だと断定するために使われ、客観的に妥当性を評価されない。
(テレビドラマのようには断定できない)

  • 研究:中国では約1億人の成人がCOPD

Study: Almost 100 million adults have COPD in China
9-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/tu-sa1040918.php
The Lancet。50,990人以上の肺機能検査から推定。全年代で男性の方が多く、喫煙と大気汚染が大きなリスク要因。

  • 遺伝子編集規制は世界の食用動物供給の持続可能性を脅かす

Gene editing regulations threaten sustainability of global food animal supply
9-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/mali-ger040918.php
2017年にFDAが発表した遺伝子編集動物の厳しい規制ガイドライン案は将来の食用動物生産に影響する。The CRISPR Journalに発表。
(そんな雑誌ができたんだ)

  • 食品の包装が人体の栄養吸収に悪影響を与えるかもしれない

Food packaging could be negatively affecting nutrient absorption in your body
9-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/bu-fpc040918.php
缶詰食品の内側のコートにある酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子が食品に移行すること、ZnOが培養腸細胞の微絨毛を減らすこと、をFood and Functionに発表