食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 更新:議会の苦情後、USDAは動物福祉報告を復活

Scienceニュース
Update: After Congress complains, USDA restores animal welfare reports
By Meredith WadmanApr. 9, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/03/congress-orders-usda-restore-transparency-completeness-animal-welfare-reports
動物愛護団体動物実験擁護者の両方から批判されていたUSDAの動物福祉査察報告書のデータベース削除から13か月、USDAが再び報告をポストし始めた。ただし以前とは異なった編集をされている。

Scienceニュース
European Union debates controversial plans to limit cadmium in fertilizer
By Natasha Gilbert Apr. 10, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/04/european-union-debates-controversial-plans-limit-cadmium-fertilizer
リン酸肥料中の有害重金属であるカドミウムの量を減らす計画が明日ブリュッセルで議題になる。欧州委員会は、腎臓と骨の病気に関連するカドミウムの暴露量を減らす方法を探っている。新しい規制値案に、低カドミウム肥料を作っている企業や国は賛成しているが他は厳しく反対している。そしてこの論争からは科学はとうに失われている:どちらの陣営も彼らの主張を裏付ける研究があると主張しているが、その研究は似たような結論になっている。
「企業が自分たちに都合の良いように科学のチェリーピッキングをしている」、と提案されている基準値のもとになった白書を書いたベルギーのCatholic University of Leuvenの土壌科学者Erik Smoldersは言う。
リン鉱石から作った肥料は天然にカドミウムを含み、それが一部の農業用土壌中重金属の半分以上の原因であるとされる。現在欧州全体平均で、肥料はリン1kgに対して約32mgのカドミウムを含むが、リン鉱石採取地域によっては高いものでは200mg Cd/kgになる。アフリカ北部の堆積リン鉱石は天然にカドミウム濃度が高く、ロシアのリン鉱山の火成岩は低い。ヒトは土壌からカドミウムを取り込んだ作物を食べることでカドミウムに暴露される。欧州ではそれは大きな問題になっていないように見える;例えば2015年に発表された欧州全域での調査では非喫煙女性1271人中「無影響量」を超える暴露があったのはわずか0.6%だった(喫煙者はタバコがカドミウムを含むため暴露量が多い)。喫煙者を含めても、この研究の1632人の女性のうち腎障害のリスクがあがる量以上暴露されていた人はいなかった。1689人の子どもにもいない。
それでも委員会はさらにリスクを減らしたい。2016年に最初60 mg Cd/kgに、3年後に40 mg/kgに、そして12年後には20 mg/kgに減らすことを提案した。この計画は大騒動と強力な企業のロビー活動を引き起こした。国有企業OCPが欧州最大の肥料供給会社であるモロッコは厳しい規制で打撃を受け、ロシアが利益を得るだろう。
議論の中心にあるのは一見矛盾する二つの研究である。2016年に発表されたSmoldersの白書では、カドミウムの規制値が60 mg Cd/kgになれば今後100年で欧州の土壌中カドミウム濃度が5%減るだろう、20 mg/kgなら21%減るだろうと予想する。一方2017年に発表されたオランダWageningen大学の土壌と食品安全科学者Paul Römkensらの研究では、最も厳しい制限でも次の世紀までに約1%増加し、60mg/kgだと10%増加すると予想する。Smoldersらの研究はOCPやカドミウムの多い肥料を生産するスペインやポーランドのような国の目にとまり、ロシアの肥料会社PhosAgroは、一部研究資金を提供したRömkensらの研究を強力に推進している。
しかし研究者らは彼らの予想はそれほど違わない、という。主な差はカドミウムが土壌の深層に浸透したり作物に吸収されたりする率についての想定であり、どちらの研究でも欧州全体で浸透率は大きく異なることを注記している。Smoldersらの研究では60 mg Cd/kgシナリオで浸透率の想定次第で60%の減少から50%の増加まで幅があり、OCPの宣伝している5%低下という数値は単なる平均シナリオである。Römkensの研究では予想値は11%の低下から25%の増加までのどこかである。どちらのグループも提案されている規制値は、最良に見積もっても長期にわたる土壌中のカドミウム濃度に対してはほんのわずかな低下しかもたらさないだろうと言っている。
そして肥料の使用が減っていることから、新しい規制が必要かどうかすら疑わしいという研究者もいる。「カドミウムの暴露量は既に減りつつある」と、欧州議会向けにこの規制の経済影響についての白書を書いたWageninge大学の農業経済学者Justus Wesselerはいう。「問題があるという根拠が十分でないようだ」。
昨年10月に欧州議会はこの規制値に賛成の投票をしたが、もっと長い期間で実施するよう勧めた:40mg/kgは6年後、20 mg/kgは10年後でもし肥料の供給が不足するようならさらに遅らせる、と。加盟国は、一部の国は国の業界のために、賛否が分かれた。
今週欧州委員会、加盟国、欧州議会が議論を行う;6月末の法案通過期限までに合意を目指す。

  • ニセ医者と、彼らがどうやって逃げ切ったかの短い話

A brief history of fake doctors, and how they get away with it
April 10, 2018
https://theconversation.com/a-brief-history-of-fake-doctors-and-how-they-get-away-with-it-94572
メルボルンの男Raffaele Di Paoloに先週、医師免許がないのに医師として治療をしていたことに関連して有罪判決が出た。この事例の前にニューサウスウェールズで別のニセ医者事件があった。Sarang Chitaleが2003年から2014年まで州の公立病院で医師として働いていたのだ。2016年になってはじめて資格に疑問が提示された。“Dr” Chitaleは実はShyam Acharyaという人物で実在のDr Chitaleになりすましていた。
医者を騙るのは現代的現象である。詐欺師が入り込む隙として、現代医療には4つの要素がある。
1.見当はずれの信頼
2.外国の資格
3.遠隔地
4.通報は簡単ではない
何故彼らは騙すのか?
どうすれば防げるのか?

  • 食べものに困らないあなたの友人にGMOの利益について納得させる方法

How to convince your “Well Fed” friends about GMO benefits
Mary Mangan PhD  Apr
https://medium.com/@mem_somerville/how-to-convince-your-well-fed-friends-about-gmo-benefits-e22629067b8b
「Well Fed」という無料で見られる映画の紹介
ゴールデンライスや遺伝子組換えナスの話から、裕福な食べものに困らない人たちがGMOに反対していることがどれだけバイテクの恩恵を受けられたであろう人々を苦しめているのかを描き出す

  • タルクからグリホサートまで:「リスク」の定義を巡る数百万ドルの戦い

From talcum to glyphosate: the multi-billion dollar battle to define ‘risk’
Global Business Briefing, April 2018
https://chemicalwatch.com/65832/from-talcum-to-glyphosate-the-multi-billion-dollar-battle-to-define-risk
活動家によるリスクの計算し直しは産業にダメージを与えるだけ
昨年8月Eva EcheverriaはJohnson & Johnsonを訴えて補償金$417mを得た。卵巣がんとタルクに決定的ではない関連があることを示した研究について警告しなかったという理由で。この判決は最近覆されたがJ & Jはまだ4800人の訴える関連裁判に直面している。J & Jはタルクと卵巣がんリスク増加に関連はないことがわかっていると主張しているが、カリフォルニアの判事は、たとえ証明されていなくてもリスクの可能性があるなら消費者に警告すべきだという。
このバトルは科学的事実を巡るものではない。リスクの定義と誰がリスクだと決めるのかをめぐるものである。
(以下LNTモデルとブラックスワンについて)

Fake Pot Plagues Illinois
By Joseph P. Williams, April 10, 2018
https://www.usnews.com/news/healthiest-communities/articles/2018-04-10/fake-pot-plagues-illinois-with-outbreak-of-bleeding-deaths
合成大麻使用後、少なくとも3人死亡、数十人が重症出血、当局が言う
今週三人目が死亡、火曜日までに保健省に報告された症例は114に増加

Synthetic Cannabinoids
http://www.dph.illinois.gov/topics-services/prevention-wellness/medical-cannabis/synthetic-cannabinoids

  • 如何にして砂糖税が人々を罰するか

How sugar taxes punish the people
Sarah Fessenden(ブリティッシュコロンビア大学人類学講師)
April 11, 2018
https://theconversation.com/how-sugar-taxes-punish-the-people-94014
砂糖入り飲料への課税は肥満の根本問題の解決にならない(ふむふむ)
生産者に課税せよ(え?)

  • オーストラリア人ががん詐欺で投獄

Australian jailed for 'despicable' fake cancer scam
http://www.bbc.com/news/world-australia-43720875
24才のHanna Dickensonは末期がんだと偽って42,000オーストラリアドル(31,000米ドル)を集めた。裁判官はこの詐欺を「卑劣」と呼んだ。
昨年のブロガー詐欺師Belle Gibsonは41万豪ドルの罰金だったが、弁護人はDickensonの犯罪はGibsonより軽いと弁護した

  • Cal-Ban 3000の浮き沈み

Diet Scam Watch
The Rise and Fall of Cal-Ban 3000
Stephen Barrett, M.D. March 22, 2018.
https://www.dietscam.org/reports/cal-ban/cal-ban.shtml
1980年代、多くの企業がグアガム錠剤あるいはカプセルを減量用と宣伝して販売した。最も盛んに販売していたのがフロリダのHealth Care Products社別名Anderson Pharmacals社で、その製品はCal-Ban 3000といい、3週間用で19.95ドルだった。
グアガムは増粘剤(食品添加物)で便の増量やコレステロールや血糖に幾分かの影響があるが減量に効果的だという根拠はない。一部に効果があったという報告はあるが一貫していない。
以下1980年代の広告や宣伝内容、FDAが有害ではないとして何もしなかったこと、1990年に有害事象が報告され(錠剤を4錠飲んで腸閉塞)メディアで騒がれて規制当局が動き販売されなくなった
(今の日本は米国の1990年頃に相当するわけね。食品だからたいして危険ではないだろうという、FDAの当時の危機感の無さが一年前の厚生労働省に相当)

  • 赤ちゃんが飢え死にしそうになってナチュロパスが投獄された

Naturopath jailed after baby nearly starved to death
5 April 2018
https://www.smh.com.au/national/nsw/dodgy-nsw-naturopath-jailed-after-baby-nearly-starved-to-death-20180405-p4z7we.html
シドニーのナチュロパスが、3年前、母乳を与えている母親に液体のみの食事療法をさせて8か月の赤ちゃんを餓死させるところだったが、最低7か月の拘留判決を受けた。
赤ちゃんの湿疹に悩んだ母親が相談したところ、普通の医療処置を止めてローフード(生食)にするよう指示し、最終的には母親の食事は水だけになった。赤ちゃんは母乳しか与えられていなかった。赤ちゃんの体重が減るという警告信号に対しても代替医療イデオロギーへの盲目的忠誠により無視した。