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問題解決

Ironed Out
Posted on April 12, 2018 by FDA Voice
By: Vanessa Burrows
https://blogs.fda.gov/fdavoice/index.php/2018/04/ironed-out/
20世紀の初めの頃、科学的知見が増えてある種の病気はビタミンやミネラルの欠乏により引き起こされるということが、これらの物質を謳う製品への人々の関心を集めた。しかし一般の人にはこの新しい医療分野の理解が十分ではなく、結果として簡単にインチキの治療効果を宣伝する疑わしい業者の餌食になった。
そのようなペテン師の一人にE. Virgil Nealという男がいる。彼の宣伝したものには手相占い、Xenophon LaMotte Sageという催眠術、通販による健康や自己啓発プログラム、虚偽の毛髪再生および豊胸製品を売るフランスの化粧品会社などがある。
現代の広告時代の黎明期に、NealはNuxated 鉄錠剤を売るために洗練された誤解を招く宣伝キャンペーンを行った。その製品は鉄とストリキニーネの木に由来するnux vomicaを含み、ヒトと動物に対して非常に毒性が高い。1917年から、Nealの広告はこの製品で元気になり強くなる、疲れが吹き飛ぶことを約束する、というセレブによる保証を用いた。しかしこの製品に含まれる鉄はごく僅かで、健康への影響は疑わしく、そしてストリキニーネの量が多すぎて、少なくとも一例、若い少年の致死的中毒をおこしている。
Nealの詐欺は1920年代初めに米国医師会とジャーナリズムが暴露したが、FDAは彼を起訴できなかった。なぜなら1906年純粋食品医薬品法の虚偽表示条項ではNealが行っていたようなタイプの誤解を招く宣伝は禁止されていなかったからである。Nealの製品には実際僅かながら鉄が入っていて、ほぼ無視できるような量ではあったが、宣伝には(鉄の)治療効果しか謳っていなかった。1938年に連邦食品に薬品化粧品法が成立してFDAが新しいタイプの虚偽表示に対応できるようになったのは1944年になってからである。そこで製品に含まれる成分の量について虚偽表示をすることが禁止された。
今日FDAはNuxated Ironのような詐欺的、異物混入および不正表示製品から消費者を守るために重要な役割を果たし続けている。
歴史室を訪問してみて下さい
(動画あり、当時の白黒の写真とか新聞とか。公文書ではなくともこういう歴史をちゃんと保管して整理・公開しておくのは大事だと思うんだけど専門の職員や予算、ないよね)