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ANSES、特定の集団に属する人はメラトニンを含むフードサプリメントを摂取しないように呼び掛け

ANSES recommends that certain populations avoid the consumption of food supplements containing melatonin
11/04/2018
https://www.anses.fr/en/content/anses-recommends-certain-populations-avoid-consumption-food-supplements-containing-melatonin
フードサプリメントからメラトニンを摂取しない方が良い人、あるいは医師から助言を求めた方が良い人は、妊婦、授乳中の女性、子供、若年者、炎症性疾患または自己免疫疾患がある人、てんかんまたは喘息のある人、気分障害、行動障害あるいは人格障害のある人、および医学的治療を受けている全ての人である。眠気が安全上の問題を生じることがあるため、意識の集中を持続して活動することが求められる人も、メラトニンの摂取を避けるべきである。
メラトニンは、睡眠を促進するという体内時計への影響を示すほかに、気分や免疫系の調子を整え、体温や腸管の運動を制御する性質があり、さらに、血管を拡張・収縮させたり炎症反応を促進する作用を有する。そのため、特定の条件下や他の化学物質との相互作用が生じた場合には、これらの生理学的作用は有害影響を生じる可能性がある。
有害影響の事例が9件、ANSESの栄養管理事業組織に報告されている。様々な影響が報告されており、一般症状としては頭痛、めまい、眠気、悪夢、いらいらなど、神経学的症状としては振戦や片頭痛が、消化器系の障害としては、悪心、嘔吐、腹痛などが含まれている。各事例の分析結果は、事例を報告してきた団体やメラトニンを含む製品の製造業者に伝達されている。
これらの事例の後向き分析の結果を受けて、ANSESはこれらのフードサプリメントの摂取で生じるリスクの評価を始めるに至った。
ANSESは、上述した集団に属する人にメラトニンを含有するサプリメントを摂取しないように助言するとともに、より一般的なこととして、フードサプリメントを摂取する前に医学的アドバイスを求め、また現在摂取しているフードサプリメントについて医師に知らせるように助言する。
フランスでは、1日2 mg未満のメラトニンを与えるフードサプリメントの市販が認められている。市販のフードサプリメントに含まれるメラトニンの状態にばらつきがあり、メラトニンの1日の許容摂取量が2 mgであることを支持する十分なデータがないことなどを考慮すると、ANSESは、フードサプリメントの形で医薬品製品と同等の推奨用量でメラトニンが市販されていることに疑問を抱かざるを得ない。欧州レベルで調和のとれた規制の枠組みが確立され、2 mg未満という用量について実施された安全性試験に基づいた評価が実施される必要があると考えられる。