食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 薬物過剰使用は臓器移植の増加に関連

Drug overdoses tied to 24-fold rise in organ transplants
https://edition.cnn.com/2018/04/16/health/drug-overdoses-organ-transplants-study/index.html
米国における薬物過剰使用の流行と死体臓器移植:全国登録研究
The Drug Overdose Epidemic and Deceased-Donor Transplantation in the United States: A National Registry Study
17 April 2018
http://annals.org/aim/article-abstract/2678899/drug-overdose-epidemic-deceased-donor-transplantation-united-states-national-registry
2000年1月から2017年9月までの297の移植センターの138565人の死んだドナーと337934人のレシピエントのデータを解析
薬物過剰使用で死亡したドナーは合計7313人、2000年は全体ドナーの1.1%だったのに2017年は13.4%になった。レシピエントの生存に特に問題はない(もっと利用すべきと)

  • 1日に最大3杯のコーヒーは安全で保護的であるかもしれない

Drinking up to 3 cups of coffee per day may be safe, protective
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/acoc-dut041218.php
多くの医師は心房性あるいは心室不整脈患者にカフェイン入り飲料を避けるように助言するが、JACC: Clinical Electrophysiologyに発表されたレビューによるとコーヒーやお茶は安全で不整脈の頻度を下げるかもしれない。
不整脈患者にとって300mg/dのカフェインは安全である可能性があるが、カフェインの影響については個人差があり、患者の最大25%はコーヒーが心房細動の引き金になると報告する。従って明確に関連する患者は飲まない方が良い。
(この、一部過敏な人がいる場合に、あるものは全面禁止を要求されあるものは許容される、という社会現象を社会学のほうできっちり記述して欲しいんだけど。科学だけでは決められない、と言って恣意的に「社会要因」を使うのはダメだと思う)

Huge variation in prescribing practice for gluten-free foods in England
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/b-hvi041318.php
最も貧しい地域は最も処方されていない
BMJ Openに発表された研究によるとイングランドグルテンフリー食品の処方はばらばらで、明確な医学的要因によって処方されているわけではないようだ。
グルテンフリー食はセリアック病の唯一の有効な治療法であるが、処方のコストとスーパーで簡単に入手できるようになったことから処方から除外する要請があった。しかしパブコメ募集の結果、完全廃止ではなく一部残すことになった。
グルテンフリー食処方の要因を探るため、1998-2017年の、1000人以上の患者をみている7627人の医者の処方状況を調べた。その結果1998-2010年の間は処方は一貫して増加し、近年低下傾向であった。処方パターンは大きく違っていた。そしてこの多様性には正当な(医学的)理由はなさそうだ。

  • 意見表明:睡眠時無呼吸治療に医療用大麻を使わないように

Position statement: Avoid using medical marijuana to treat sleep apnea
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/aaos-psa041318.php
Journal of Clinical Sleep Medicineに発表された米国睡眠医学会からの声明
2017年11月にミネソタ州保健省が州の医療用大麻計画使用可能疾患に閉塞性睡眠時無呼吸を加えたため。安全性有効性に関する根拠は十分ではなく投与法も信頼できない
大麻推進派は根拠軽視だから)

  • 化学探索で環境中にあまりよく知られていない難燃剤が検出された

Chemical sleuthing leads to detection of little-known flame retardant in the environment
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/iu-csl041318.php
より初期の難燃剤が環境や健康への懸念により禁止された後に代用品として導入されたTTBP-TAX (2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン)が環境から検出された。Environmental Science & Technology
製造業者は安全だというが有毒な可能性がある、と著者。
(何かを禁止したら代わりのものが使われるだろう)

  • 収入ではなく教育が長寿の最良の予測因子

Education, not income, the best predictor of a long life
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/iifa-eni041618.php
Population and Development Reviewに発表された応用統計解析国際研究所の研究。
1970-2015年の174ヶ国のデータを用いて寿命の予測因子として収入(GDP)と教育のどちらが重要かを検討した。病気の原因が感染症から慢性疾患に移行すると、生活習慣がますます重要になり教育の影響がさらに明確になる傾向がある。

People with Type 2 diabetes who eat breakfast later, more likely to have a higher BMI
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/uoia-pwt041618.php
Diabetic Medicine。タイでシフト労働をしていない2型糖尿病の210人をリクルートし、質問票で朝が好きか夜が好きか、起きる時間、寝る時間等を調べた。インタビューによる思い出し法で一日の食事を調べている。自己申告による睡眠時間は1日5.5時間、平均摂取カロリーは1日1103kcal/dでBMIは28.4。朝ご飯を7時から8:30の間に食べる人の方が7:30から9時の間に食べる人よりBMIが0.37低かった。
(タイの名門マヒドン大学の研究費によりイリノイ大学に留学?している著者らの研究。BMI 28超の人の1日の摂取カロリーが1103kcalなはずはなく、太っている人ほど過少申告するとはいえいくら何でも信頼できない、にもかかわらず全く無視して僅かな関連を議論している。アメリカの常識的研究手法がタイにあてはまらない可能性とか考えないのだろうか?途上国が欧米の真似をして砂糖税とか主張するんだけど、自国にとって何が最も大切かちゃんと検討しているのか不安。)

  • 飲料水からヒ素を除去できる苔発見

Moss capable of removing arsenic from drinking water discovered
16-Apr-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/su-mco041618.php
スウェーデン北部に育つ水苔Warnstofia fluitansが水のヒ素を吸収する
Environmental Pollutionに発表。

  • マラリア感染は人を蚊にとってさらに魅力的にする「ヒトの臭い」を作る

Scienceニュース
Malaria infection creates a ‘human perfume’ that makes us more attractive to mosquitoes
By Warren CornwallApr. 16, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/04/malaria-infection-creates-human-perfume-makes-us-more-attractive-mosquitoes
PNAS。先の研究でマラリアを引き起こすPlasmodium寄生虫は動物の臭いに影響してヒトがより多くの蚊を寄せ付けることを示していたが、今回はそれを実験室の外で多数のヒトに拡大した。そして蚊にとってどの化合物が魅力なのか検討した。