食品安全情報blog過去記事

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Requiem for Neonicotinoids: A Failure in European Leadership
Posted by riskmonger on May 1, 2018
https://risk-monger.com/2018/05/01/requiem-for-neonicotinoids-a-failure-in-european-leadership/
先週金曜日、EU植物動物食品飼料常設委員会(PAFF)が欧州委員会による三つのネオニコチノイドの戸外での使用禁止案を投票で認めた。Vytenis Adriukaitis健康コミッショナーはこの投票をEU政策における科学の一貫した使用の根拠であると祝福したがそんなものではない。そしてコミッショナーもそのことを知っている。
それは科学の問題ではない
Adriukaitisコミッショナーはミツバチの問題は複雑であることを知っている。最初にネオニコチノドが禁止されたとき、殺虫剤が主要リスク因子ではないという根拠が提示されていた。コミッショナーがお金を出した欧州全体の授粉媒介者調査で、全体としてミツバチの巣の数は減っておらず、減ったところは主に冬が寒かったからであると報告されている。また2014年の部分禁止後の影響を調べたJRCの知見を待っていると公言していた。そのJRCの報告書は昨年リークされ、その結果はひどいものだった。農家は古い毒性の高い殺虫剤をより頻繁に使うことを余儀なくされていた。農家のコストと時間は増え害虫被害が増えていた。JRCのレビューが終わる前に研究継続とされこの素晴らしい重要な研究は無視された。(The impact of restrictions on neonicotinoid and fipronil insecticides on pest management in maize, oilseed rape and sunflower in eight European Union regions
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ps.4715
何故AdriukaitisコミッショナーJRCの明確な根拠を持っていながらネオニコチノド禁止に態度を変えたのか?多分彼の言う科学というのはEFSAのことだ。
政治に誘導される科学:如何にしてEFSAを悪用したのか
EFSAの三つのネオニコ評価は政治に誘導される科学の良い例である:望ましい立場を正当化することを科学に強いる条件を作る。約10年前、DG Sancoの部長で反企業のアマチュア養蜂家であるEric PoudeletがEFSAにデータの集め方のガイダンス文書を作るミツバチリスク評価ワーキンググループを作る機会を得た。今となってその小さな外部ワーキンググループに三人の反農薬活動家がいたことを我々は知っている。彼らの作ったミツバチガイダンス文書(BGD)が馬鹿馬鹿しいほど厳格で、ほとんどの実態を反映した野外試験は基準を満たせなかった。例えば試験期間中のミツバチの死亡率は7%を要求(通常15%)し追跡範囲は168km2(欧州にそれだけ広い一続きの畑がどれほどあるだろうか)など。結果的に全ての野外試験は不適切として却下された。それがBGDの狙いだったから。EFSAが検討できたのは実験室での試験だけである。
状況はさらに悪い。恐ろしくできが悪いBGDはどこの国も認めていない。つまり法的根拠のある文書ではない。EFSAのBernhard Url長官は欧州議会でこの利用できないBGDを使うよう言われたと認めている。
かつてミツバチの健康の責任者だったDG Santé のMichael Flüh部長は、ネオニコ禁止はミツバチの健康に何の役にもたたないだろうと認めている。しかし気候変動や生物多様性やVarroaダニのような、他のストレッサーへの対応があまりにも難しいので、ネオニコを禁止することによって一生懸命対策をしているように見せかけたかった。
コミッショナーが本当に科学にコミットしていたら、ダニ対策などにお金を出しただろう。Adriukaitisはミツバチの健康のためではなく政治的動きをした。反農薬活動家がミツバチを救うことを目的としているのではないことはみんな知っている。Adriukaitisコミッショナーですら欧州議会でネオニコ禁止がミツバチを救わないだろうことを認めている。
決してミツバチのためではない
活動家が恐怖を煽りお金を集めキャンペーンをするために危機を偽装するのはいつものことでミツバチはその一例に過ぎない。ネオニコの種子処理が殺虫剤の葉面散布を劇的に減らしたことは有機農業団体にとって都合が悪かった。オーガニック団体は反ネオニコキャンペーンに数百万をつぎ込んでいる。
活動家にとって幸運なことも重なった。(略)
委員会の中での相談がない
ここで特徴的なのは欧州委員会の農業コミッショナーへの相談がなかったことである。DG Santé’はミツバチの健康を守ることだけが担当である。農業コミッショナーPhil Hoganは何度かネオニコを擁護している。農家の声はこの議論では抑制された。
誰が誰に負けたのか?
リーダーシップの失敗である。根拠に基づかない政策が活動家によって推し進められ農家や消費者は代表を出せず科学者の意見は聞かれなかった。EFSAは両手を縛られて強制された。部門間の相談はなく関係者の声は反映されなかった。そしてミツバチは繁栄するだろうか?多分しない。
がっかりしたのは農家の苦闘に食品製造業者が何もしなかったことだ。彼らは農作物に依存しているのに。多分欧州の農家は重要ではないのだろう。欧州の農家が最早農業ができなくなっても、ネスレやダノンは他の大陸から輸入すればいい?
(いろいろ略。欧州の状況は欧州在住の人の方が詳しい)

Homeopathy product containing rabid dog saliva is unauthorized for sale, Health Canada says
http://nationalpost.com/health/health-and-wellness/health-canada-says-sale-of-rabid-dog-saliva-homeopathic-remedy-unauthorized
苦情を寄せられて調査していたヘルスカナダが英国Helious Homeopathy 社のlyssinについて月曜日に声明を発表した。
ヘルスカナダによると問題のナチュロパスが入手したという会社はその成分を販売する許可をもっていなかったという。
しかし別の会社の似たような製品は許可されている

  • 犬は「自閉症」にならない、「反ワクチン」ムーブメントがペットに拡大して英国獣医師会が警告

Dogs cannot get ‘autism’, British Veterinary Association warns after ‘anti-vaxx’ movement spread to pets
By Alastair Choy 25 April 2018
https://www.telegraph.co.uk/news/2018/04/25/dogs-cannot-get-autism-british-veterinary-association-warns/
「反ワクチン」は予防接種で自閉症になるという医学の世界では否定された説を信じているがそれがペットにまで拡大している。特に米国で顕著だが英国でも見られ、既に低い予防接種率がさらに下がることが恐れられている
ITVの朝のテレビ番組Good Morning Britainの公式ツイートが「副作用が心配だからペットの予防接種をしない、あるいは予防接種のせいでペットが犬自閉症になったというオーナーと話をしている」とツイートしたことから獣医師会がコメントすることになった

  • ブラジルの議論はスマートなGMO表示計画の必要性を強調する

Brazilian debate highlights need for smart GMO labeling regime
By Mark Lynas April 30, 2018
https://allianceforscience.cornell.edu/blog/2018/04/brazilian-debate-highlights-need-smart-gmo-labeling-regime/
ブラジル上院議会がGMO表示法改定に関する議論を続けている最中、表示について再考してみようと思った。
2003年からブラジルでは遺伝子組換え成分を含む製品に恐ろしげな表示(バイオハザードマークに似た黄色の三角に黒のTの文字)を義務づけている。髑髏マークでこそないものの、GMOは警戒すべきものだということを示唆する。GMOは他のものと安全性に差はないというのが世界的コンセンサスで、そのことがAAASによる義務表示反対声明などになっている。実際GMOを含む食品のほとんどは化学的にはGMOでないものと区別できない。作物が組換え遺伝子を持っていてもいなくても砂糖はただの砂糖である。
ブラジルの制度は全てのGMOが同じであると想定しているがそれは違う。遺伝子組換えは方法のことで、製品にとって問題になるのは性質である。ラウンドアップレディ大豆はウイルス耐性パパイヤとは違うし褐色にならないリンゴとも違う。これらに全部警告信号のようなTをつけるのは間違った情報提供である。それらに共通点はない。
それでもGMO表示を私が支持するのは透明性のためである。倫理と現実的立場である。倫理的には、食べるものについて人々には広い意味での「知る権利」はある。そして現実的にはヒトは自分が管理できるほうが恐怖心が薄れる傾向があるからである。しかし表示の問題を避けようとして企業が非GMOに代えると食品の値段があがるという問題がある。このことは食品を恐怖から避けようとするエリート消費者のために、関係のない収入の少ない消費者が負担を負うという倫理的問題である。
そこで遺伝子組換え技術の使用を誇りをもって宣言したらどうだろうか。殺虫剤の使用が少ないトウモロコシ、ハワイの家族経営農家を助けるレインボーパパイヤ!(ラベルの例示)
ブラジルでTマークの改訂に反対しているのはいつものセレブシェフや嘘つきNGO、企業活動全般に反対している左翼活動家の面々である。スマートラベルは消費者に有用な情報提供になるかもしれない。

  • テキサスの家族が自宅の水槽の珊瑚の毒で死にそうになった

Texas family nearly killed by toxic airborne poison from home aquarium coral
May 1, 2018
https://www.daytondailynews.com/news/national/texas-family-nearly-killed-toxic-airborne-poison-from-home-aquarium-coral/XNWaLoz9ALqah4gCCAOZDN/
木曜日に水槽の掃除をしていて、歯ブラシで珊瑚の苔を落とした。やがて自分と家族が異変を感じインフルエンザより重症の症状に悪化した。
パリトキシンのせいだと考えられる

  • バイオハッカーAaron Traywickがワシントンのフロートスパで死んでいるのが発見された

Biohacker Aaron Traywick Found Dead in DC Float Spa
By Ashley Yeager | May 1, 2018
https://www.the-scientist.com/?articles.view/articleNo/52471/title/Biohacker-Aaron-Traywick-Found-Dead-in-DC-Float-Spa/
生命医学ベンチャーAscendanceのCEOで今年公衆の面前で試験されていないヘルペスワクチンを注射して話題になった。28才。
発見されたのはスパにある、人体の温度にした塩水を満たして騒音を遮断するため貝殻のようにふたができるフロートタンクに、うつぶせの状態で。警察によると検視中。
過去一ヶ月会社の同僚と連絡はとっていなかったようだ。会社の方向性や遺伝子治療の広げ方で意見の食い違いがあったという。

  • ロンドン人は注意:この有毒芋虫は発疹や喘息を引き起こす

Londoners Beware: These Toxic Caterpillars Cause Rashes and Asthma
https://www.smithsonianmag.com/smart-news/officials-warn-londoners-caterpillars-cause-asthma-attacks-vomiting-180968919/
英国に2005年に導入された芋虫が4月半ば頃からロンドンで発見されている
詳細は以下から
Oak processionary moth (Thaumetopoea processionea)
https://www.forestry.gov.uk/oakprocessionarymoth

Death cap mushrooms spotted in Canberra
http://www.news.com.au/national/breaking-news/death-cap-mushrooms-spotted-in-canberra/news-story/86e92665d01b2fc3896a2067cac9d324
野生のキノコを食べないように警告

  • コンシューマーラボ

製品レビュー:アップルサイダービネガー ボトル入り液体と錠剤
Product Review: Apple Cider Vinegar -- Bottled Liquids and Pills
Initial Posting: 1/20/18 Last Update: 4/30/18
https://www.consumerlab.com/reviews/apple-cider-vinegars-review/apple-cider-vinegar/

  • レアトリル、アミグダリン、ビタミンB17−名前は違うが同じ毒

Laetrile, Amygdalin, Vitamin B17 - Different Names. Same Poison.
By Josh Bloom — May 1, 2018
https://www.acsh.org/news/2018/04/17/why-laetrile-kills-you-12853
Chad Greenの事例ほど「代替医療」の仮面を被ったインチキによる被害を良く示す例はないだろう。1977年に2才で、Greenは急性リンパ球性白血病(ALL)と診断された。当時の小児ALLの化学療法による治癒率は約50%で現在は約90%である。Chad Greenは1979年に死亡した。情報を持たない親とそれを悪用した詐欺師の犠牲になって。この痛ましい話の全体についてはPaul Offit博士の「魔法を信じるかい?」の最初の章を勧める。
簡単に説明するとGreenは最初は標準化学寮法を受けて反応は良かったが両親がレアトリルというがんの「自然」療法のほうが良いと決めた。この「薬」は米国で認可されていなかったのでメキシコのクリニックで入手した。
レアトリルとアミグダリンは同一化合物ではないが実質的には同じ「有効成分」でシアン化水素を生じる
(以下コクランレビューやナチュラルニュースの引用含む解説。いまだにアプリコットカーネルでがんを治すといった宣伝がみられる。日本だと枇杷も人気。)

  • 朝鮮半島の雪解けが科学的協力の期待を生む

Scienceニュース
Korean thaw raises hopes for scientific cooperation
By Dennis NormileMay. 1, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/05/korean-thaw-raises-hopes-scientific-cooperation
韓国の科学者が先週の北朝鮮との歴史的会合結果を歓迎している。共同宣言には科学への言及はないが研究者らは研究協力を確信している。協力の可能性のある分野の一つは公衆衛生で、北朝鮮は多剤耐性結核や韓国ではほとんど見られない寄生虫病に苦しんでいる。もう一つは北朝鮮と中国の国境付近にある活火山Mount Paektu(白頭山)の研究である。そして生物多様性ホットスポットとなった軍事境界線付近の生態系の研究がある。