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FSAI、食事を介したフッ化物への暴露に関するトータルダイエットスタディーの結果を発表

FSAI Publishes Total Diet Study on Dietary Exposure to Fluoride
https://www.fsai.ie/news_centre/tds_fluoride_30042018.html
30 April 2018
アイルランド食品安全局(FSAI)の科学委員会の報告に基づき、「トータルダイエットスタディ2014〜2016: アイルランドの成人と子供における食事を介したフッ化物への暴露評価」が発表された。その科学的根拠に基づくと、食品や飲料を介したフッ化物への暴露に関して、子供でも大人でも安全上の懸念は認められなかった。
今回のトータルダイエットスタディは、今までアイルランドで実施された食事中のフッ化物の調査の中で、最も包括的な科学的調査である。2002年に実施された最初の調査を追尾しており、アイルランドにおける最新の食品消費パターンおよび食品や飲料中のフッ化物濃度を考慮に入れている。アイルランドの食事を介したフッ化物への暴露に関して、独自のかつ偏りのない情報が提示されている。
食品消費量データは、18歳以上(n = 1,500)については国家成人栄養調査(NANS: 2008〜2010年)のものが、5〜12歳の子供(n = 594)については国家子供食品調査(NCFS: 2003〜2004年)のものが、1〜4歳の子供(n = 500)については国家未就学児栄養調査(NPNS: 2008〜2011年)のものがそれぞれ用いられた。
群を抜いて最もフッ化物の濃度が高かったのは紅茶で、茶葉浸出液中に1.7〜8.3 mg/kg含まれていた。魚介類および1種類のナッツを除き、他の全ての食品ではフッ化物濃度は1 mg/kg未満であった。(魚介類では0.04〜5.8 mg/kg、ナッツや種では0.05〜1.3 mg/kg。) 公共用水における平均濃度は0.65 mg/Lであった。
平均暴露量は、未就学児(1〜4歳)では0.023mg/kg体重/日、子供(5〜12歳)では0.017 mg/kg体重/日で、成人の0.040 mg/kg体重/日と比べ、はるかに少なかった。成人で紅茶の消費が多いためと思われる。成人のフッ化物への暴露の76%は紅茶を介したものであり、12%は水道水を介したものである。子供では、フッ化物への主要な暴露源は水道水であり(未就学児では49%、5〜12歳児では33%)、5〜12歳児ではお茶もかなりの暴露源(29%)となっている。
EFSAが虫歯予防のために設定している適性摂取量(AI)は0.05 mg/kg体重/日で、アイルランドの平均暴露量は、これを下回っている。
EFSAが設定しているフッ化物の許容上限摂取量(UL)は、1~8歳児については0.10 mg/kg体重/日、9歳以上の子供や成人では0.12 mg/kg体重/日である。
アイルランドの1〜8歳児がULを超過する可能性は非常に低い。この年齢層の95および97.5パーセンタイルの摂取量は、それぞれ0.047および0.057 mg/kg体重/日である。1〜4歳児では、それぞれ0.038および0.046 mg/kg体重/日である。食事以外のフッ化物源については、公表されている推定値を算入している(1.5〜3.5歳児で0.01〜0.02 mg/kg体重/日)。したがって、練り歯磨きの誤用が無ければ、1〜8歳児が食品や飲料からフッ素中毒になるリスクはほとんど無い。
9〜12歳児についても、ULを超過する可能性は非常に低い。この年齢層の95および97.5パーセンタイルの摂取量は、それぞれ0.042および0.056 mg/kg体重/日である。したがって、食品や飲料からフッ化物を摂取することにより骨に有害影響が及ぶリスクはほとんど無い。
成人がULを超過する可能性は低い。成人の95および97.5パーセンタイルの摂取量は、それぞれ0.094および0.11 mg/kg体重/日である。成人のごく一部(1.6%)でUL超過が生じている。したがって、食品や飲料からフッ化物を摂取することにより骨に有害影響が及ぶリスクはほとんど無い。13〜19歳の若年者は、成人よりも紅茶の消費がはるかに少ないため、ULを超過する可能性も非常に少ないとみられる。