食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 痩せたモデルを見ると気分が悪くなる?科学はあなただけではないという。

Does looking at skinny models make you feel bad? Science says you’re not alone
By Roni DenglerMay. 8, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/05/does-looking-skinny-models-make-you-feel-bad-science-says-you-re-not-alone
Glamour やElleの表紙を飾るガリガリのモデルの写真を見ただけで、多くの女性は自分の体重について不快に感じる。それを科学的に示した。この種の研究では過去最大のものが、痩せた女性の画像は健康体重の女性にとってすら自分の体重に不満を感じさせるが重い女性を見ると気分が良くなることを発見した。Royal Society Open Scienceに発表された18-25才の女性約200人での研究。過去の研究で自分の体重に不満を持っている女性は摂食障害リスクが高いことが示されている。従って研究者らは健康的な、あるいは過体重のモデルがメディアにでることが役立つという。

  • USPSTFの前立腺がんスクリーニングに関する助言

USPSTF recommendation statement on screening for prostate cancer
8-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/jn-urs050418.php
JAMA。USPSTFは55-69才の検診に関心のある男性は、定期的PSA検査をする前に医師と検査の利益と害について話し合うこと。70才以上の男性にはPSA検査は勧めない。
2012年の助言の更新。多くの前立腺がんは症状を発現せず、検診しなければ病気があることがわからないままだろう。検診は害の方が大きい場合が多い。検査を受けるかどうかは個人の家族歴などのリスクや価値観などの個別状況による
(2012年に全く薦めない、にしていたのをほんの少しメリットがある可能性があるのでリスクに応じて、に更新)

Crowdfunding campaigns for unproven stem cell-based interventions
8-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/jn-ccf050418.php
JAMA。患者が保険のカバーしない根拠のない幹細胞治療の費用をクラウドファンディング集めている。彼らはしばしば有効性を誇大宣伝しリスクを過小評価する。
二つのクラウドファンディングプラットフォームに2017年12月時点で幹細胞治療のための資金募集が408あった。要求額は合計740万ドルで、集まったのは13050人から140万ドル。その408人のうち、44%はその幹細胞治療に効果があると確信していて30%は期待し36%はその治療法はリスクが低いと主張していた。
結論:クラウドファンディングを呼びかける人たちは幹細胞治療に関する間違ったメッセージを広めている

  • 水を多く飲むことは腎疾患患者の腎機能低下を遅くしない

Drinking more water does not slow decline of kidney function for kidney disease patients
8-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/lhri-dmw050818.php
JAMAに発表された新しい研究によると、慢性腎疾患(CDK)患者にもっと水を飲むように指導しても腎機能低下を遅くしない。
広く信じられているにも関わらず、どのくらいの水を飲むのが最適なのかについては科学的データはほとんどない。水を多く飲むことの利益についての主張の多くが調べられないままであるが、抗利尿ホルモン抑制による腎機能改善を示唆する根拠は増えていた。そこで進行性の腎機能障害を遅らせることができるかどうかを調べた。ステージ3 CDKの630人以上で、約1年にわたって、水を多く飲むように指導した群とこれまでどおりの群との腎機能低下を比較した。水の摂取量増加は、特にそれまで水をあまり摂っていない人たちで、抗利尿ホルモン放出を抑制したが腎機能低下を遅くすることはなかった。

  • HPVワクチンは子宮頸がん発生を予防するか?

Does HPV vaccination prevent the development of cervical cancer?
8-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/w-dhv050818.php
コクランライブラリーの新しいレビュー
過去8年全ての大陸で行われた73428人の女性の26の研究結果をまとめた。二つのワクチン、2価ワクチンと4価ワクチンについての根拠を評価した。新しい9価ワクチンについては含まない。子宮頸がんまで追跡できるほど十分長い研究はないので前がん病変を調べた。HPV保有者ではない若い女性がHPVワクチンを受けた場合、前がん病変の発症リスクを減らした。1万人あたりプラセボ群が約164なのに対してワクチン群は2だった。またワクチン接種時の感染状況に関わりなく全ての若い女性のデータを見てもHPVワクチンは前がん病変リスクを減らした。25-45才の高齢女性ではそれほど効果的ではなかった。
また予防接種が重大な副作用のリスクを増やすこともなさそうだった。対照群も接種群も約7%副作用が報告されている
主著者のMarc Arbyn博士は、予防目的のHPVワクチンのリスクベネフィットプロファイルは好ましいままで、生物学的疫学的根拠を欠くワクチンが有害だという正当化されない主張は人々の信頼に影響し懸念されると言う。

関連
SMC UK
少女や女性の子宮頸がん予防のためのHPVワクチンのコクランレビューへの専門家の反応
expert reaction to Cochrane review on the HPV vaccine for cervical cancer prevention in girls and women
May 9, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-cochrane-review-on-the-hpv-vaccine-for-cervical-cancer-prevention-in-girls-and-women/
(レビューの内容紹介は別に出している)
ケンブリッジ大学上皮生物学名誉教授で病理学客員研究員Margaret Stanley教授
これらの結果は現在英国のような全国予防接種計画を実施している国で現実世界で再現されつつある−12-15才の時に学校でワクチン接種した20-25才の女性の前がん病変が劇的に減っている
子どもの健康コミュニティ相談医でRCPCH小児科医David Elliman博士
UCL子どもの健康Great Ormond Street研究所子どもの健康教授Helen Bedford教授
この研究はこのがん予防ワクチンの画期的価値を確認する

SMC NZ
HPVワクチンが安全で有効であることをレビューが発見−専門家の反応
Review finds HPV vaccine safe, effective – Expert Reaction
May 9th, 2018.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/05/09/review-finds-hpv-vaccine-safe-effective-expert-reaction/
コクランレビューがHPVワクチンは若い女性を子宮頸部の病変から効果的に守ることを発見した。SMCは専門家のコメントを求めた
オークランド大学一般診療とプライマリーヘルスケア学部;予防接種助言センター長Nikki Turner准教授
このレビューは現在の世界の根拠を評価し、HPVワクチンは有効で安全であると結論している。驚きはなく、無数の研究がこのワクチンの有効性を示している。ここでの言葉は極めて確実な根拠である。
今年国際科学コミュニティは子宮頸がんの根絶について議論している。そして安全性についても申し分ない。このワクチンは信じられないほどの可能性をもち、WHOは全ての国に強く勧めている。世界中の若い女性にこのワクチンが届くように。
(ここまで明確な根拠があってもネガティブキャンペーンに負ける。「若い女性」の代弁者が権力者にはいないこともある
BBCはこんなふうに報道しているけれど恐怖を煽ったメディアは報道するだろうか?
HPV jab safe and effective, study finds
http://www.bbc.com/news/health-44037863