食品安全情報blog過去記事

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酵素評価

  • 遺伝子組換え枯草菌(MAM株)で生産した食品酵素グルカン1,4-α-マルトヒドロラーゼの安全性評価

Safety evaluation of food enzyme glucan 1,4-α-maltohydrolase produced with a genetically modified Bacillus subtilis (strain MAM)
EFSA Journal 2018;16(5):5168 [20 pp.]. 2 May 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5168
この科学的意見で検討される食品酵素は、DSM Food Specialties B. V社が遺伝子組換え枯草菌MAM株で生産したグルカン1,4-α-マルトヒドロラーゼ(マルトース生成α-アミラーゼ; EC 3.2.1.133)である。この食品酵素は生産微生物も組換えDNAも含まないため、環境リスク評価は必要とされない。だがこの結論は、加圧ろ過によって回収された食品酵素だけを対象としていることに留意が必要である。推奨される最大使用量とEFSAの包括的欧州食品摂取データベースから得られた1人当たりの摂取データに基づき、この食品酵素への食事を介した暴露量は、食品酵素量を総固形有機物量(TOS)で示した場合、欧州人では最大0.175 mg TOS/kg体重/日と推定された。全身毒性は齧歯類の90日間反復経口投与毒性試験で評価されている。無毒性量(NOAEL)が導出され(雄雌共に986 mg TOS/kg体重/日)、これは食事を介した暴露量と比較すると十分高い暴露マージンをもたらしている。アレルギー誘発性は既知のアレルゲンとアミノ酸配列を比較して評価され、1種類のアレルゲンが適合した。だが、CEFパネルは食事を介した暴露では、このグルカン1,4-α-マルトヒドロラーゼに対する食品アレルギー反応は認められていないと判断した。遺伝子修飾、製造工程、提供された組成データに関して、および暴露評価、アレルギー性評価、全身毒性評価において、安全上の懸念は確認されなかった。しかし、遺伝毒性データが不完全だったため、この食品酵素の安全性に関する結論は導出できなかった。

  • 遺伝子組換え枯草菌(LMG S-27588株)由来食品酵素キシラナーゼの安全性評価

Safety evaluation of food enzyme xylanase from a genetically modified Bacillus subtilis (strain LMG S‐27588)
EFSA Journal 2018;16(5):5169 [19 pp.]. 2 May 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5169
この科学的意見で検討される食品酵素は、Puratos N. V社が遺伝子組換え枯草菌LMG S-27588株から生産したエンド-1,4-β-キシラナーゼ (4-β-d-キシラン キシラノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.8)である。この生産株は食品酵素には検出されなかった。このエンド-1,4-β-キシラナーゼは、焼き調理工程での使用が企図されている。推奨される最大使用量とEFSAの包括的欧州食品摂取データベースから得られた1人当たりの摂取データに基づき、この食品酵素への食事を介した暴露量は、食品酵素量を総固形有機物量(TOS)で示した場合、欧州人では最大0.325 mg TOS/kg体重/日と推定された。この食品酵素を用いた遺伝毒性試験では、遺伝毒性の懸念は示されなかった。齧歯類の90日間反復経口投与毒性試験で全身毒性が評価されている。無毒性量(NOAEL)が導出され(443 mg TOS/kg体重/日)、これは食事を介した暴露量と比較すると十分高い暴露マージンをもたらしている。アレルギー誘発性は既知のアレルゲンとアミノ酸配列を比較して評価されたが、適合するアレルゲンは見つからなかった。CEFパネルは、食事を介した暴露では、このエンド-1,4-β-キシラナーに対するに対する食品アレルギー反応は認められていないと判断した。遺伝子修飾の内容、製造工程、組成および生化学データ、食事暴露評価、毒性試験の知見、アレルギー誘発性評価に基づき、パネルはこの酵素は意図した使用状況下で安全上の懸念を生じないと結論付けた。なお、パネルは、この食品酵素の検査した全てのロットで組換えDNAが存在していたことを指摘している。

  • 遺伝子組換え枯草菌(LMGS 25520株)由来食品酵素アクアライシン 1の安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme aqualysin 1 from a genetically modified Bacillus subtilis (strain LMGS 25520)
EFSA Journal 2018;16(5):5170 [20 pp.]. 2 May 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5170
この意見で検討される食品酵素は、Puratos NV社が遺伝子組換え枯草菌LMGS 25520株から生産したアクアライシン 1 (EC 3.4.21.111)である。この生産株は食品酵素に検出されなかった。アクアライシン1は焼き調理工程での使用が企図されている。推奨される最大使用量とEFSAの包括的欧州食品摂取データベースから得られた1人当たりの摂取データに基づき、この食品酵素への食事を介した暴露量は、食品酵素量を総固形有機物量(TOS)で示した場合、欧州人では最大2.13 mg TOS/kg体重/日と推定された。遺伝毒性試験では遺伝毒性の懸念は示されなかった。アレルギー誘発性は既知のアレルゲンとアミノ酸配列の類似性を探索することで評価され、23件の適合が見つかった(呼吸器アレルゲン20種と皮膚アレルゲン3種)。だが、CEFパネルは、この食品酵素に対する食品アレルギー反応は認められていないと判断した。加えられた遺伝子修飾、製造工程、組成および生化学データ、アレルギー誘発性と遺伝毒性の評価に鑑みて、安全上の懸念は生じなかった。90日間反復経口投与毒性試験から無毒性量(NOAEL)が算出され、これと推定食事暴露量から暴露マージン(MOE)が求められたが、意図した使用状況下でこの食品酵素に安全上の懸念はないと結論するのに不十分な値であった。なお、パネルは、この食品酵素の検査した全てのロットで組換えDNAが存在していたことを指摘している。

  • 遺伝子組換え枯草菌(NZYM-SM株)由来食品酵素マルトース生成アミラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme maltogenic amylase from a genetically modified Bacillus subtilis (strain NZYM-SM)
EFSA Journal 2018;16(5):5171 [20 pp.]. 2 May 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5171
検討された食品酵素は、Novozymes A/S社が遺伝子組換え枯草菌NZYM‐SM株で生産したマルトース生成アミラーゼ(グルカン 1,4-α-マルトヒドロラーゼ; EC 3.2.1.133)である。この食品酵素は生産菌株も組換えDNAも含まない。マルトース生成アミラーゼは焼き調理工程やブドウ糖シロップ製造の澱粉加工での使用することが企図されている。食品調理・加工工程に推奨される最大使用量とEFSAの包括的欧州食品摂取データベースで得られた1に当たりの摂取データに基づき、この食品酵素への食事を介した暴露量は、食品酵素量を総固形有機物量(TOS)で示した場合、欧州人では最大0.168 mg TOS/kg体重/日と推定された。この食品酵素は細菌の遺伝子変異やヒトのリンパ球の染色体異常を誘発しない。亜慢性毒性は齧歯類の90日間反復経口投与毒性試験で評価された。無毒性量(NOAEL)が導出され(320 mg TOS/kg体重/日)、これは食事を介した暴露量と比較すると十分高い暴露マージンをもたらしている。既知のアレルゲンとのアミノ酸配列の類似性を探索することでアレルギー誘発性が評価された。職業性の呼吸器アレルゲン3種類との適合が確認されたが、CEFパネルは、この食品酵素に対する食品アレルギー反応は認められていないと判断した。加えられた遺伝子修飾、製造工程、提示された組成および生化学データ、食事暴露評価、毒性試験の知見、アレルギー誘発性評価に鑑み、パネルは、この食品酵素枯草菌NZYM‐SM株由来マルトース生成アミラーゼは意図した使用状況下で安全上の懸念を生じないと結論付けた。

  • 遺伝子組換えクロコウジカビ(XEA株)由来食品酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme endo-1,4-β-xylanase from a genetically modified Aspergillus niger (strain XEA)
EFSA Journal 2018;16(4):5228 [20 pp.]. 27 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5228
この食品酵素DSM Food Specialities B.V.社が遺伝子組換えクロコウジカビ(XEA株)で製造したエンド-1,4-β-キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)である。この食品酵素は、焼き加工工程や醸造工程での使用が企図されている。食品加工工程に推奨される最大使用量とEFSAの包括的欧州食品摂取データベースから得られた1人当たりの摂取データに基づき、この食品酵素への食事を介した暴露量は、食品酵素量を総固形有機物量(TOS)で示した場合、欧州人では最大0.310 mg TOS/kg体重/日と推定された。この食品酵素の遺伝毒性試験では、遺伝毒性の懸念は示されなかった。このエンド-1,4-β-キシラナーゼで実施した、齧歯類の90日間反復経口投与毒性試験では、全身毒性に関する懸念は示されなかった。既知のアレルゲンのアミノ酸配列との類似性を探索ことでアレルギー誘発性が評価されたが、一致するものは見つからなかった。CEFパネルは、食品酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼには、食事を介した暴露の場合、アレルギー感作性やアレルギー反応惹起性を示さないと判断した。使用される微生物の起源、加えられた遺伝子修飾、製造工程、提示された組成および生化学データ、食事暴露評価、毒性試験の知見、アレルギー誘発性評価に鑑み、パネルは、この酵素は意図した使用状況下で安全上の懸念を生じないと結論付けた。