食品安全情報blog過去記事

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FDA、未承認のクラトム製品をオピオイド休薬用、鎮痛用および他の医療用として違法に販売していた会社に警告を発した

FDA warns companies selling illegal, unapproved kratom products marketed for opioid cessation, pain treatment and other medical uses
May 22, 2018
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm608447.htm
警告が発せられたのは、Front Range Kratom社、Kratom Spot社およびRevibe社の3社に対してで、違反が認められた製品は65製品以上。以下のような根拠のない効能を謳っていた。
・脱薬物依存に役立つのと併せ、クラトムの葉により血圧低下、痛みの緩和、代謝の亢進、性的活力の増強、免疫系の増強、糖尿病防止、不安除去、ストレス除去、健康的な誘眠といった健康効果が得られる。
・クラトムの気分高揚性により、オピオイド離脱症状が低減する。
・クラトムは、他の鎮痛剤と同様に、一時的な痛みも慢性的な痛みさえも緩和する。
・この植物は、とりわけ頭痛、血管痛、関節痛、筋肉痛を緩和することができる
・クラトムは、強力な抗酸化剤で神経の損傷を低減するため、脳卒中関連疾患の治療に使うことができる。
・血圧を下げるのに役立つ。
・クラトムは、糖尿病患者の血糖値を調節する成分を含んでいるとも言われている。
・クラトムはがんに非常に効果があると言われている。
クラトムは、Mitragyna speciosaという植物であり、タイ、マレーシア、インドネシアおよびパプアニューギニアで天然に生息する。向精神化合物としてミトラギニンと7-ヒドロキシミトラギニンを含んでいる。クラトムに関してFDAが認可した用途は無く、FDAにはクラトムの安全性を懸念する報告書が寄せられている。
米国には、2百万人を超えるオピオイド使用障害患者がいる。そのような患者がクラトム製品を信頼することは、回復への道を遅らせ、依存、過剰摂取、死亡といったより深刻なリスクを生じる。FDAが認可した治療法があり、それによれば死亡のリスクが半減したというデータが得られている。
FDAは、積極的にクラトムに関する科学的な情報を収集・評価し、クラトムを他の薬物と組み合わせて使用した場合を含め、クラトムの安全性プロファイルをより良く理解するための研究を促進している。
FDA長官Scott Gottlieb博士は、次のように述べている。「クラトム製品に安全なものなど無い。クラトムは、薬物依存を治療するどころかオピオイド類縁体であり、オピオイドの濫用の一因となり、患者に深刻な副作用のリスクをもたらす。」
なお、Revibe社は、以前にサルモネラに汚染されたクラトム製品を販売し、リコール措置が講じられている(https://www.fda.gov/Food/RecallsOutbreaksEmergencies/Outbreaks/ucm597265.htm#table参照)。