- オランダ―農薬の持続可能な使用
2017-6012 - Sustainable use of pesticides - Netherlands NL
11 November 2017
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3895
2017年3月27〜31日にオランダで実施した事実確認調査。農薬の持続可能な利用を実現するための手段の進捗状況を調査し、良好な実践例や直面した主な障害ならびに困難を確認することを目的とした。
国家行動計画(NAP)には量的目標、対象、手段、期限が設定されていないが、これらは持続可能な農薬に関する高位の政策文書に組み込まれている。こうした政策文書を採用しながら、オランダは25年以上前に、植物保護対策や植物保護製品(PPPs)の使用なども含め、持続可能な農業生産の達成に向けた作業を開始している。
水路が高密度に張り巡らされているという独自性から、オランダが優先する事項は、PPP使用による水質への影響を低減することである。PPPsの「持続可能な使用に関する指令」は、あらゆる面で良好に進捗している。良好な実践例としては、低リスクのPPPsを認可するために取られている手法、様々な種類の農薬散布器の試験に対応したプロトコルの導入、および水の管理のために整備された包括的システムが挙げられ、これらには関係機関すべてが役割を果たしていた。ただし、NAPの全体的な履行状況については、オランダは2018年まで正式に評価しない予定である。
総合的有害生物管理(IPM)のための広範な手段の開発と実行は、顕著に進展している。採用する手段の決定を支援する一連の様々な公的および私的ツールが利用可能となっている。これらのツールは、農業従事者が、PPPsの環境への影響に特に注意を払いながら、PPPを容易に選択できるようにすることにも役立つ。社会共同体の中でIPM実施のさらなる進捗を図ろうという共通認識があり、より制度に基づいた手法で作物の活力や作付け体系を向上させるための作業が進められている。
- ドイツ―農薬の持続可能な使用
2017-6013 - Sustainable use of pesticides - Germany DE
11 November 2017
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3896
2017年3月6〜15日にドイツで実施した事実確認調査。農薬の持続可能な利用を実現するための手段の進捗状況を調査し、良好な実践例や直面した主な障害ならびに困難を確認することを目的とした。
ドイツの国家行動計画は、農薬で生じるリスクを低減する30年計画の最新の方向を示すものであり、それを、植物や植物製品の保護のために持続可能に農薬を使用することを促進しながら実現しようとしている。機器の試験や教育などの幅広い活動を通して、この分野におけるEU規則の導入に先立って、農薬で生じるリスクはすでにかなり低減されている。
現行の国家行動計画は、対象と期限を明確に設定して、農薬のリスクおよび影響をさらに低減し、また高品質で安全な食品を生産するのに必要なツールを生産者に提供しようとしている。この計画の中で注目すべき進捗を見せたのは、農薬で生じる環境リスクの持続的な低減である。この計画の最初の正式な全般的レビューは2018年となる予定である。
この報告書では、公的資金による助言サービスなど、多くの良好な実践例を特記している。農薬の販売や使用チェーン全体にわたって、規則順守率は非常に高く、また、目に見えたリスク削減を果たすことに成功したことは、農薬の持続可能な使用に向けたドイツの全体的なアプローチが農薬製品で生じるリスクの有意な削減を達成したことを証明している。しかし、有害生物を退治するための効果的で経済的に実現可能な代替管理手段がないため、ドイツの農作物生産は農薬に頼り続けている。
- デンマーク―農薬の持続可能な使用
2017-6007 - Sustainable use of pesticides - Denmark DK
11 November 2017
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3897
2017年5月3〜10日にデンマークで実施した事実確認調査。農薬の持続可能な利用を実現するための手段の進捗状況を調査し、良好な実践例や直面した主な障害ならびに困難を確認することを目的とした。
農薬によるリスクの削減はデンマークの優先政策で、1986年以降、農薬の使用や農薬によるヒトの健康や環境へのリスクを削減するために、一連の5つの行動計画を取り入れている。1996年、農薬の使用を減らすために、農薬に対し従価税が初めて導入された。現在の国家行動計画が2013年2月に採択され、2015年末までにヒトと環境への農薬負荷を2011年と比較して40%削減する目標を立てた。この行動計画の初期の政策ツールは、特にリスク高い農薬の使用削減を促進するために2013年に導入された農薬に対する差別的負荷税である。この施策は、ゴルフコースや個人の庭など、特定の場所での農薬の使用を削減するための様々な具体的取り組みによって補完されている。
管轄機関は、職業上使用する者や販売業者を教育し、散布機材を検査するために種々の制度を設けた。空中散布は禁止されており、特例が認められたことは無い。相当の努力を尽くして、非化学的農薬の適用を拡大し、総合的有害生物管理を促進するために様々な形の助言サービスを生産者に提供する活動を展開してきた。2015年までにヒトの健康と環境への農薬負荷を40%削減するという初期の目標は達成された。さらに、監視データから、現在認可されている製品に関して、地下水と飲料水の両方が品質基準を満たしていることが明示された。ゴルフ場や公共の場で使用される農薬の量も、国家行動計画の基準に沿うかたちで明らかに減少している。現在の計画のレビューは2015年に行われ、新しい国家行動計画が2017年半ばまでに実行に移されることが予定されている。
この報告書では、鉄道路線に沿った正確な農薬散布、非化学的農薬の適用を拡大するための様々な報奨制度など、多くの良好な実践例を特記している。さらに管轄機関は、農薬の持続可能な使用を遮る要因を確認している。それは例えば、生産者が総合的有害生物管理ツールのいくつかを限定的にしか採用しないなどである。なお、個々の生産者のレベルでも国家レベルでも、指令2009/128/ECの附属書IIIに記載の総合的有害生物管理の8原則への順守状況を監視したり管理したりする体制は設けられていない。