食品安全情報blog過去記事

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その他

  • EDCsについてのリスクコミュニケーション

Risk Communication About EDCs
By Gregory Bond | June 1st 2018
http://www.science20.com/gregory_bond/risk_communication_about_edcs-232750
内分泌撹乱物質(EDCs)についてのリスクコミュニケーションに注目が高まっている。そこでこの問題について探ってみよう
・EDCsはリスクコミュニケーションにとって特別な課題か?
ノー。環境中の健康上の脅威はほとんど全てが複雑で、要因が多数あってわかっていることは一部だけである。一部の人にとってはEDCsは歴史的展望を忘れさせる新しいピカピカのおもちゃである
・リスクコミュニケーションにはバランスが必要
メディアはあまりにも多くの場合人々を恐がらせる話に簡単に飛びつく。不完全でバランスを欠く警鐘は有害な決定をさせることがある。水銀が怖くて妊婦が魚を避けたり。
・科学者は謙虚さが必要
2005年の論文でJohn Ioannidis博士はピアレビューのある雑誌に発表された知見のほとんどは後で間違いだったことがわかったことを示した。研究上の発見という主張のほとんどが間違っている可能性がある
・不確実性と異なる視点を伝えよ
科学には不確実性がある。一般向けにリスクコミュニケーションを行う科学者や規制担当者は:
→自分の専門分野についてのみ語れ
→正確に明確に理解できる用語でプレゼンする
→関係する利益相反は開示しり
→研究や意見の弱点や限界を語る
→不確実性と反対意見を紹介する
・EDCの国際的に合意された定義を使うこと
・単なるハザードだけではなくリスクについて語ること
・相対リスクに加えて絶対リスクを語ること
・報告/出版バイアスについて注意する
・「運動Activism」は科学の誠実性とリスクコミュニケーションを危うくする
公衆衛生活動や環境運動がますます増加し科学研究のデザインや解析に影響を与えるようになっていて、それがリスクコミュニケーションの誠実性や信頼性を危機に晒している。
EDCでもそれは明確で、米国の科学者グループが欧州委員会に積極的にロビー活動をしてEDCの影響を大きく誇張した研究を行ったりしている。科学者が活動家になるのは問題である。科学者が政策議論に加わるべきではないという意味ではなく、科学の誠実性を確保して意見を生かすべきである

  • ネオニコ禁止:如何にして科学的詐欺がEU規制法で奉られたか

The Neonic Ban: A Scientific Fraud Becomes Enshrined In EU Regulatory Law
By Henry I. Miller | May 15th 2018
http://www.science20.com/henry_i_miller/the_neonic_ban_a_scientific_fraud_becomes_enshrined_in_eu_regulatory_law-232399
EUネオニコチノイドを暫定禁止して5年、加盟国の「専門委員会」がついに永久に禁止することを投票で決定した。これは驚くべきことではない。この投票はEFSAがネオニコは「ミツバチや野生のハチにリスクになる」という意見を発表して間もなく行われた。この知見は全欧州や米国に広く報道されたが、レポーターは誰も内容を読んでいない。実際には「リスクが低いということを確認できなかった」という文言が繰り返されている。
何かが「リスクとなる」と言うことと「リスクが低いということを確認できなかった」との間は相当広い。もともとの「ミツバチの絶滅」が虚構だった事実−実際には世界中でミツバチは増えていることは簡単に確認できる−やミツバチの健康問題にダニが関係する事実などはEUのネオニコ禁止の意向を止めることはできなかった。
EFSAの報告を歪めたBee Guidance Document、ミツバチの絶滅というフィクション、EFSAの報告よりずっと前に禁止は決まっていたというリーク文書、「ビーゲートスキャンダル」、そして欧州委員会による自分たちの行ったJRCの報告の無視。EUの科学と規制の誤魔化しはEUや世界中の活動家に勢いを与えるだろう。彼らは今や明確に、政府の評価は簡単に操作できる、自分たちが優勢だと確信している。
ミツバチは生き残るだろう、危機に瀕しているのは欧州のレギュラトリーサイエンスの誠実性integrityである

  • 世界最大のGMO研究が2014年にロシア人により開始された。そして消えた

The World’s Largest GMO Study Was Launched By Russians In 2014. Then It Disappeared.
June 2, 2018
https://www.buzzfeed.com/danvergano/factor-gmo-fake-science-russia?utm_term=.ggdbdAva8#.evyNmBMdg
2014年後半にロシアのグループがロンドンで記者会見をして「世界最大のGMO研究、3年間で2500万ドルの実験をする」と発表した。このFactor GMOプロジェクトでは何千匹ものラットにラウンドアップを使って育てたGMトウモロコシを食べさせるという。
このニュースは広く報道され、プロジェクトの助言委員だったカリフォルニア大学のBruce Blumbergは「これが決定的研究になるだろう」と語った。しかしその後Blumbergにロシア人からの連絡はない、とBlumbergがBuzzFeed Newsに語った
モスクワにあるというFactor GMOにメール取材しても返事はない。ウェブサイトの寄付ボタンは生きているがどのくらい集まったのかわからない。
アイオワ州社会学者Shawn DoriusはBuzzFeed Newsに対して「Factor GMOはロシアの反GMOプロパガンダの特徴を多数もっている」という。
ロシアの情報歪曲戦略の専門家であるNina Jankowiczによると「基本的な考えは人々の心に疑いを抱かせることである」という
(いろいろ略)

  • 殺虫剤はミツバチに害があるので段階的に使用をやめるべきとヘルスカナダは言う

Pesticides do harm to bees and should be phased out, Health Canada says
Thursday, May 31, 2018 Mia Rabson, The Canadian Press
https://www.ctvnews.ca/politics/pesticides-do-harm-to-bees-and-should-be-phased-out-health-canada-says-1.3954008
ヘルスカナダはよく使われている殺虫剤のほとんどの戸外使用を段階的に止める提案に固執している−最近の研究でミツバチへの影響は特定の状況に限られることが示されているにもかかわらず。
この提案は200人以上の科学者が、国際的にネオニコチノイドを使わないこと、将来同様の殺虫剤を開発し使用することを予防する合意を呼びかける公開文書をScienceに発表したのと同じ日に発表された。
2012年にカナダのPMRAはミツバチの死亡に関連するという報告があってネオニコチノイドの研究を開始した。PMRAは3つの異なるネオニコチノイドについて複数の異なる評価を行った。2016年にPMRAはイミダクロプリドが水棲昆虫に有害であると結論し、イミダクロプリドについてはほとんどの戸外使用を禁止する助言を行った。しかしこれはミツバチへの影響を調べたものではない。PMRAは別に授粉媒介者への影響を評価していて、特定の方法でのみミツバチへの影響があるとしてミツバチにとって魅力的な作物への使用を禁止すればそのリスクは許容できると結論した。しかしながら最初の禁止助言のとおりにするとヘルスカナダは木曜日に発表した。
(以下環境団体と養蜂家の意見等)

  • 「やってみる権利」として知られる詐欺の最悪バージョンが法律になる

The very worst version of the sham known as “right-to-try” is poised to become law
David Gorski on May 21, 2018
https://sciencebasedmedicine.org/the-very-worst-version-of-the-sham-known-as-right-to-try-is-poised-to-become-law/
末期患者にFDAの認めていない実験的治療法を販売できるようにする法律
州レベルで次々ロビー活動に成功してきたがとうとう連邦法に
患者の保護手段はなく、販売者は高額な費用を患者に請求できる

Trickett Wendler, Frank Mongiello, Jordan McLinn, and Matthew Bellina Right to Try Act (S.204).への強い反対表明
https://www.acscan.org/sites/default/files/National%20Documents/Senate%20Right%20to%20Try%20(S.204)%20Coalition%20Opposition%20Letter%205.21.2018.pdf

Montreal naturopath found guilty of manslaughter after acquittal overturned
Friday, June 1, 2018
https://www.ctvnews.ca/canada/montreal-naturopath-found-guilty-of-manslaughter-after-acquittal-overturned-1.3955248
2008年に84才のRoger Maternが心臓の問題でナチュロパスのMitra Javanmardiのクリニックに行きマグネシウムを注射されて病気になり1時間後に病院に搬送され次の日に死亡した。注射は医師と看護師にしかできない。この裁判で2015年に裁判所は注射は違法だが勤勉diligenceにより行ったことであり無罪と結論していた。しかし上訴審ではその判断は間違いであると判定した。
(裁判官の判断に見られるおそろしいまでのバイアスがナチュロパスの流行する土壌)