食品安全情報blog過去記事

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アメリカの恐怖の館

The American Chamber of Horrors
Posted on June 29, 2018 by FDA Voice
https://blogs.fda.gov/fdavoice/index.php/2018/06/the-american-chamber-of-horrors/
FDAの歴史館から
20世紀初頭、アメリカ人は効果がなく危険な医薬品と異物混入されて詐欺的表示をされた食品に囲まれていた。
例えばLash Lureというアイブロウ用の色素は「パーソナリティを輝かせる」のに役立つと宣伝されていたが実際には眼球を変性させ角膜に潰瘍を作る毒を含んでいた。Banbarというエリキシル剤はインスリンの代わりに糖尿病を治療すると宣伝されていたが実際には何の役にもたたず、効果のあるインスリン治療をこれに代えた患者には害を及ぼした。食品製造業者は安価な成分に置き換えることで消費者を騙した。例えばピーナッツバターと表示されたものにはラードがほとんどでピーナッツは僅かで、「ジャム」として販売されていたものに果物は全く入っていなかった。恥知らずな業者は農家に虚偽の動物治療薬を販売し、Lee’s Gizzard カプセルと呼ばれた製品はシチメンチョウの病気を治すどころか群れを丸ごと殺した。
FDAはこうした安全でない、誤解を招く製品の排除を探ったが、1906純粋食品医薬品法ではその権限は大きく制限されていた。
危険な医薬品は特に問題だった。ラジウム水のような明らかに危険な製品であっても排除できなかった。薬品製造業者が治療効果について裁判所を信じさせることができれば勝てた。化粧品や医療機器を取り締まる権限はなく食品の基準も作れず、消費者のためにできることは少なかった。当時の人気本「1億匹のモルモット:日常の食品、医薬品、化粧品の危険性」では消費者が実験動物のように使われていてFDAが対応しないことを非難していた。しかし法律の限界を指摘していない。
法の欠陥を人々に知らしめるためにFDAの主任教育担当官Ruth deForest Lambとその主任検査官George Larrickは1933年にFDAが取り締まり権限をもたない100の危険な、詐欺的、意味のない製品を強調した移動展示を作った。それは「アメリカの恐怖の館」として各地イベントで展示された。Eleanor Roosevelt大統領夫人も見た。それは大成功で、最終的に1938食品医薬品化粧品法の立法につながった。
80 Years of the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act
https://www.fda.gov/AboutFDA/History/VirtualHistory/HistoryExhibits/ucm612270.htm