食品安全情報blog過去記事

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アルツハイマー患者にとっての「打開策」だという主張は評価に値しない

Claims of a 'breakthrough' for Alzheimer's patients lack merit
Thursday June 21 2018
https://www.nhs.uk/news/neurology/claims-breakthrough-alzheimers-patients-lack-merit/
「これはアルツハイマー病の解決策なのか?」とMail Onlineは問いかける。悲しいことにその見出しは、小規模で質が悪く、かつ間違いなく過剰宣伝である研究にする度を過ぎた反応である。
研究者は、アルツハイマー病患の患者25人に、栄養サプリメントを混合した2種類の調製物を試した。プラセボサプリメントを摂取したり別の治療法を受けたりする比較グループは設けられなかった。
効果の可能性については、検証された精神衛生評価法に基づいたものではなく、患者の介護者の幾人かが、患者の記憶、意識及び情調が改善されたと看護師に伝えたという報告に基づいていると思われる。
研究報告書を読むと、この研究がアルツハイマー病の症状に対するサプリメントの効果を測定することを目的としたものではなく、サプリメントが患者の血中栄養素の濃度にどのような影響を与えるか調べることを目的としたものであることが明確となる。
サプリメントは、野菜や魚に見られるキサントフィルカロチノイドやオメガ-3脂肪酸などであった。
当然だが、サプリメントの摂取によって、これらの栄養素の血中濃度は上昇することが示された。
研究者は、一方の混合サプリメント調製物を飲んでいた患者おいて、「非常に顕著な違い」が認められたため、研究報告書にこれらの知見を含めることにした。
他の認知症の専門家はこの研究を「低級で裏付けに乏しいエビデンスにすぎない」とし、さらにこの研究に関連した自己宣伝について、「認識が甘いあるいは全く冷笑に付される」と評している。