食品安全情報blog過去記事

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乳幼児用食品中の農薬に関する科学的意見

Scientific opinion on pesticides in foods for infants and young children
EFSA Journal 2018;16(6):528 28 June 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5286
EUの食品科学委員会は、乳幼児用食品中の農薬残留物の最大残留基準値(MRL)をデフォルト値の0.01 mg/kgに設定していたが、EFSAのPPRパネルは、健康影響に基づく指標値(HBGV)が0.0026 mg/kg体重/日以上である有効成分に関しては、そのデフォルト値の0.01 mg/kgでは、生後16週間以内の乳児において、容認できない暴露が生じる可能性は低いと結論付けた。
HBGVsがこの値以下である有効成分に対しては、さらに低いMRLsが推奨される。生後16週間以降のの乳幼児には、HBGVs設定のために確立された手法を取ることが適切であると判断される。生後16週間以内の乳児に対しては、そうした手法は適切でない可能性があり、生後16週間以内の乳児用食品に存在する化学物質のリスク評価に関するEFSAのガイダンスを適用することが推奨される。
農薬残留物への総暴露量に対する通常食品の寄与は、乳幼児用食品によるものよりはるかに高い。幼児では通常食品の摂取が増えるため、農薬残留物へのて暴露量が最大となるのに対し、生後3〜6か月の乳児では一般的に暴露量は低目である。乳幼児における農薬残留物への累積暴露の影響は、一般人のものと変わりなく、EFSAの累積リスク評価方法論はこれらの年齢集団にも適用することができる。規則(EC)No 396/2005に基づいて設定される残留物定義は、一般に乳幼児用食品においても適切であると判断される。しかしながら、農薬の加水分解の可能性を処理過程を模してtier 1分析した結果に基づくと、加工食品を対象としたモニタリングのための既存の残留物定義は、乳幼児用食品についても通常食品についても、それほどまで適切であるかどうかは疑義が残る。