食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 家庭でのDNA検査のユーザーは人種バイアスに基づき結果の都合の良いところだけつまみ食いをしている、研究が言う

Users of home DNA tests 'cherry pick' results based on race biases, study says
Sun 1 Jul 2018
https://www.theguardian.com/science/2018/jul/01/home-dna-test-kits-race-ethnicity-dna-ancestry
American Journal of Sociologyに発表されたブリティッシュコロンビアバンクーバー大学の研究者らによる研究。多様な人種の100人のアメリカ人に、遺伝子検査を受けて人種や民族性についての認識にどう影響したかをインタビューした。検査の結果新しい情報を受け取っても59%は自分のアイデンティティに変化はなかった。遺伝子検査の結果を決定的だとは思わず、気に入らない結果は時に無視されている

  • 大規模研究で、大麻は慢性痛には利益がなかった

In major study, cannabis shows no benefit for chronic pain
By Liam Mannix 3 July 2018
https://www.smh.com.au/national/in-major-study-cannabis-shows-no-benefit-for-chronic-pain-20180702-p4zp0z.html
これまでで最も規模が大きく深く探った研究で、大麻は痛みを減らさず、オピオイドの代わりにならず、全体として不安が多くなるようだ。
Lancet Public Health

  • コアラの食生活ではほとんどのほ乳類は死ぬ。ゲノムが何故生きられるのかを明らかにする

Scienceニュース
A koala’s diet would kill most mammals. Their genome reveals how they survive
By Elizabeth PennisiJul. 2, 2018 ,
http://www.sciencemag.org/news/2018/07/koala-s-diet-would-kill-most-mammals-their-genome-reveals-how-they-survive
コアラのゲノム配列とその発現解析から、苦味を感じる味蕾の数が非常に多いことがわかった。Nature Geneticsに発表。さらに葉の水分評価ができる遺伝子を余分なコピー数もっていて、甘味味蕾遺伝子も多い。こうした遺伝子が食べものの栄養価を評価する能力を精細に調整している。そして葉の毒素を解毒する遺伝子も普通でない多数持っている。

A well-known animal health drug could stop outbreaks of malaria and Zika virus
2-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/sri-awa062718.php
ペットをノミ・ダニから守るために使われているイソキサゾリン類(fluralaner (Bravecto ) や afoxolaner (NexGard ))が経口でヒトにこれらの医薬品を投与することで病気を運ぶ蚊も殺せる。1/3のヒトに投与することで最大97%感染が予防できる可能性があるというPNASに発表されたモデル研究。

  • コーヒーを多く飲むことは死亡リスク低下に関連するか?

Is drinking more coffee associated with lower risk of death?
2-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/jn-idm062818.php
英国での観察研究では1日8杯以上飲むヒトも含めて、コーヒーを多く飲むことと死亡リスクの低さが関連した。カフェイン代謝の早い人でも遅い人でも、挽いたコーヒーでもインスタントでもデカフェでも。観察研究なので因果関係を証明したものではない。
JAMA Internal Medicine

  • 週に45時間以上働くことは女性の糖尿病リスクの高まりと関連

Clocking up 45+ working hours/week linked to heightened risk of diabetes in women
2-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/b-cu4062818.php
BMJ Diabetes Research & Care
(皆さん、仕事止めて早く帰りましょう)

  • モデルが食べるもの

What models eat
Daniel Engber
Nature Medicine volume 24, pages692–695 (2018)
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0055-1
半世紀過ぎても科学者はまだ実験動物を太らせるのに最良の方法について議論している
食べものでネズミを太らせることが可能だとわかったのは1955年の夏、NIHの栄養学者が成功したときである。当時の常識では健康なラットやマウス(そしてヒト以外の他の動物)は必要な量しか食べないと考えられていた。強制給餌や特殊な遺伝的変異や食欲を制御する視床下部損傷などの場合には齧歯類が太ることは知られていた。しかしNIHの研究者らは脂肪と砂糖の多い食事でネズミを太らせることが可能であることを報告した。
それから60年、この高脂肪食の改変型がいまだに広く使われている。しかしこの分野の同僚批判者によるとこのやり方が実際には代謝研究の障害になっている。例えばヒトの健康における脂肪の役割についての異論の理論を存続させる役割を果たした。さらに問題なのは研究に使われる高脂肪食がしばしばきちんと管理されていないあるいは定義さえされていない、不十分であるということである。初期の高脂肪食はカロリーの85%が脂肪由来だった。現代版は60あるいは45%であるが統一されてはいない。米国人は平均して1/3が脂肪である。そして実験に使う脂肪は様々だった。植物ショートニング、オリーブ油、ココナツ油、バターの脂肪、牛脂、魚油など。さらにかさ増しのために使われる線維(セルロースやイヌリン)も代謝に影響した可能性がある。
(対照群も含む各種餌開発の歴史略)
こうした研究から、人々があまりにも広範な、妥当ではない結論を出していることに懸念を抱く生理学者もいた。研究者が自分たちの使っている方法にもう少し気を遣うようになって欲しい。
(ラットと人間は同じではない、ことももっと強調してほしい)

  • WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization
Volume 96, Number 7, July 2018, 441-512
http://www.who.int/bulletin/volumes/96/7/en/
ニュースのコーナーで日本のプライマリー医療改革(かかりつけ医)についてYoshitake Yokokura医師会長に聞く
・中国の2015年のたばこ税増加の初期評価
2014年から2016年の間に小売価格は11%上昇、タバコの価格に占める税率は51.7%から55.7%に増加。成人喫煙率は0.2-0.6%低下し税収は14%増加。