食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 伝染性のがんがアメリカの最初の犬を全滅させた可能性がある

Nature
Contagious cancer could have wiped out America's first dogs
05 July 2018 Colin Barras
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05645-5
古代ゲノム研究が北米と南米の原産の犬は他の家畜犬から約15000年前に分かれたことを発見
Scienceに発表されたこれまでで最大の研究のひとつは、かつてアメリカにいた原産家畜犬の痕跡は、奇妙な伝染性のがん以外は何も残っていないと報告している。

  • 新しい研究が食品と栄養の研究の質を改善する方法を指摘

New study pinpoints ways to improve quality of food & nutrition research
5-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/fl-nsp070318.php
詳細な統計解析は2000年以降研究の質が改善していることを発見、著者らは人々の信頼を増すための新しい戦略を要請
PLOS ONE。研究発表に関する詳細なガイドラインを採用し始めた2000年以降、コクランの定義した「バイアスリスク(ROB)ドメイン」に意味のある改善が確認された。
この結果に基づき、さらなる改善のために、研究者に訓練をする、バイアスのもとになる可能性に対処するための栄養専用報告ガイドラインを発表する、改善状況を継続的にモニターする、透明性を改善する、を提案。
研究の質の予想因子は企業がお金を出しているかどうかではなく論文の出版年数と研究デザイン。官民協力のような出資者が複数のもののほうが質が高い。ILSI北米。
各種ガイドライン
EQUATORネットワーク
http://www.equator-network.org/

  • てんかんのこどもの治療に使われた違法大麻抽出物の中身がわかった

Content of illicit cannabis extracts used to treat children with epilepsy revealed
5-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/uos-coi070518.php
子どものてんかんを治療するために医療用大麻を使ったオーストラリアの両親は圧倒的に(75%)その抽出物に効果があったと考えている。しかし両親の期待とは裏腹に、それら抽出物にカンナビジオールは少ししか含まれていない。含まれていたのはテトラヒドロカンナビジオール(THC)とその類似化合物THCAで、量は中毒量以下である。Scientific Reports。また「有効」と評価されたものと「無効」と評価されたもののTHC濃度に差はなかった。大麻抽出物の使用は医者から処方されている薬の服用低下に関連した。

  • データ共有ウェブサイトは新規違法薬物への対応を加速するかもしれない

Data-sharing website may speed the response to new illegal drugs
5-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/nios-dwm070518.php
法化学者の新規薬物同定に'NPS Data Hub'が役立つかもしれない
Forensic Chemistryに発表
Novel Psychoactive Substance (NPS) Data Hub
https://www.nist.gov/programs-projects/novel-psychoactive-substance-nps-data-hub

  • 世界で最も貧しい人たちの一部に熱帯林の保全の負担がかかっている

Some of the world's poorest people are bearing the costs of tropical forest conservation
5-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/p-sot062918.php
世界の保全目標は最も貧しい人たちの犠牲の上に行うべきではない。保全のためのコストの保障政策を評価した最初の研究が、善意にもかかわらず貧しい人が大損していることを明らかにする。PeerJ。

  • グリズリー熊のサケ中毒

Study examines salmon poisoning disease in grizzly bears
5-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/w-ses070418.php
米国北西のサーモンはしばしば熊にサケ中毒salmon poisoning disease (SPD)という恐ろしい病気をひきおこす細菌を含む吸虫をもっている。現在感染サケのいる地域での熊の保全で内地の熊を使うことが提案されているがSPD感染経験のない熊はSPDにかかりやすい可能性がある。The Journal of Wildlife Managementに発表された知見によるとSPD耐性熊を探すのは困難だろう
(熊も生魚で食中毒になるんだな)

  • 乳がんリスクの低い女性はがん検診をしない方がよい、研究が発見

No screening is better for women with low breast cancer risk, finds study
Sarah Boseley Thu 5 Jul 2018 17.29 BST
https://www.theguardian.com/society/2018/jul/05/no-screening-better-for-women-with-low-breast-cancer-risk-finds-study
JAMA Oncology
過剰診断の害があるので個人のリスクに応じて対応する方向に。