食品安全情報blog過去記事

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論文

  • スマートドラッグの使用増加

Natureニュース
Use of ‘smart drugs’ on the rise
05 July 2018 Arran Frood
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05599-8
欧州諸国は脳を活性化する効果を求めてリタリンのような興奮薬の使用が最大の増加
これまでで最大規模の研究により、メンタルパフォーマンス向上を期待する薬物の使用が世界中で増加していることがわかった。何万人もの調査で、2017年に過去12か月以内に少なくとも1回刺激剤を使ったと報告したのは14%で、2015年の5%から増加している。
しばしばスマートドラッグと言われる記憶力や集中力を増やすための医学的目的ではない医薬品の使用は調査した15ヶ国すべてで増加している。この調査ではAdderall や RitalinのようなADHD治療薬、睡眠障害治療薬モダフィニル、そしてコカインのような違法興奮剤も含まれる。
International Journal of Drug Policyに発表。
使用率が最大なのは米国で約30%、しかし増加率が最大なのは欧州でフランスは3%から16%、英国は5%から23%。
処方薬の治療目的ではない使用が脳のパフォーマンスを高めるかどうかについては議論が続いている
(この15ヶ国に日本は入っていない)

  • 美味しい食品は脳への影響を介して健康的な食事を促進するかもしれない

Savory foods may promote healthy eating through effects on the brain
6-Jul-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-07/bidm-sfm070618.php
Neuropsychopharmacologyに発表されたうまみ(MSG)による食欲抑制研究。味の素からの研究費助成。

  • 死亡アウトブレイクに関連するアフリカ伝統飲料に毒素ボンクレキン酸の同定

Identification of the potent toxin bongkrekic acid in a traditional African beverage linked to a fatal outbreak.
Falconer TM, et al.,(米国FDAの人たち)
Forensic Sci Int. 2017 Jan;270:e5-e11.
2015年1月、モザンビークの村で葬儀に参加した後、75人が死亡し177人が入院した。死亡はpombeという伝統的飲料摂取に関連する。問題のPombe検体をいろいろ分析し、最終的にLC-MSでボンクレキン酸とイソボンクレキン酸を同定した。定量分析では致死量が検出された。ボンクレキン酸は細菌Burkholderia gladioli pv. Cocovenenansが作る。Pombeからこの細菌は検出されなかったが原料となるトウモロコシ粉からは分離された。この細菌を同じくコーンフラワーから検出されたRhizopus oryzae(クモノスカビ)と一緒にプレートに撒くとボンクレキン酸の相乗的産生が観察された。

  • アロエベラによる急性肝障害:症例報告と文献レビュー

Aloe vera-induced acute liver injury: A case report and literature review.
Parlati L , et al.,
Clin Res Hepatol Gastroenterol. 2017 Sep;41(4):e39-e42.
フランスの68才女性の症例。最近のデータによると肝障害の原因として二番目に多いのがハーブやダイエタリーサプリメント

  • 乳酸菌:そんなに優しくない細菌

Lactobacillus: the not so friendly bacteria.
Pararajasingam A, Uwagwu J.
BMJ Case Rep. 2017 Sep 13;2017
Lactobacillus paracaseiの肝膿瘍と菌血症になった65才の糖尿病患者の症例報告

  • ケニアにおけるアフリカの自然に発酵した乳製品、便中Streptococcus infantarius subsp. Infantarius、直腸結腸腺がん

Investigating the association between African spontaneously fermented dairy products, faecal carriage of Streptococcus infantarius subsp. infantarius and colorectal adenocarcinoma in Kenya.
Kaindi DWM, et al.,
Acta Trop. 2018 Feb;178:10-18.
アフリカの伝統的発酵乳製品(tFDP)は1mLあたり10^8個のStreptococcus infantarius subspecies infantarius (Sii)を摂取する。ケニアの病院で直腸内視鏡検査を行った患者から選んだ病院ベースの調整しない症例対照研究。便中Siiの検出は大腸腫瘍とポリープのある患者で有意に多い(8.4% vs 21.6%: OR: 4.6; CI 1.3–15.9)。tFDP摂取は直腸結腸がんのリスク要因ではないがSiiは関連する
(伝統的発酵食品ががんに関連、というのは「発酵食品万歳」な人たちには都合が悪いだろう。)

  • 母乳に優しく、でもミルクを拒否しない

Breast-Feeding Friendly, but Not Formula Averse.
Lewis J.
Pediatr Ann. 2017 Nov 1;46(11):e402-e408.
母乳は新生児に最適であるが一部の母親には困難で新生児の栄養不良を招くことがあり時に長期にわたって重大な悪影響を及ぼす。適切な時期にミルクの賢明な補充を検討

  • プロバイオティクス治療後の小児科患者の酵母真菌血症

SACCHAROMYCES CEREVISIAE FUNGEMIA IN A PEDIATRIC PATIENT AFTER TREATMENT WITH PROBIOTICS.
Romanio MR, et al.,
Rev Paul Pediatr. 2017 Jul-Sep;35(3):361-364.
1才のダウン症患者、栄養不良で小児ICUに入院していて抗生物質の使用後の下痢があったためプロバイオティクスを使用したところ敗血症ショック

  • Ocimum basilicum(バジル)の健康への影響:薬理学的および毒性学的研究のレビュー

The potential effects of Ocimum basilicum on health: a review of pharmacological and toxicological studies.
Sestili P, et al.,
Expert Opin Drug Metab Toxicol. 2018 Jul;14(7):679-692.
安全上の懸念はアルキルベンゼン類の変異原性と発がん性。食品として料理に使うのは安全だろうがエッセンシャルオイルにはアルキルベンゼン類の上限を設定すべきだろう

  • 脂質低下治療の紅麹による勃起不全の症例

A case of erectile dysfunction induced by red yeast rice in lipid-lowering therapy.
Liu Z, Chen P.
Phytother Res. 2018 May;32(5):953-954.
自分で紅麹を3週間使用していた39才男性の症例報告。使用中止して5週間以内に回復

An (Un)Fortune Cookie: A 2-Year-Old With Altered Mental Status.
Friedman N, et al.,
Pediatr Emerg Care. 2017 Dec;33(12):811-814.
カナダの症例。ナロキソン投与されている。親の友人が車においていったフォーチュンクッキーを食べたらしい
(よくある大麻入りクッキーかな?)

  • タバコの無い世界に向けて前進

The Lancet エディトリアル
Progress towards a tobacco-free world
Volume 392, No. 10141, p1, 7 July 2018
先週世界のタバコ対策の努力が前進した。豪州でプレーン包装への異議申し立てに勝利、FCTCのタバコ製品の違法取引排除計画の発効、中国が列車の喫煙車両を無くす判決、日本の東京で国より厳しい喫煙対策が採択された。
Lancetは2040年までにタバコの無い世界キャンペーンを支持している

  • 中国の減塩

Action on Salt China
Feng J He et al.,
Volume 392, No. 10141, p7–9, 7 July 2018
中国は2017年にAction on Salt Chinaの活動開始
https://www.georgeinstitute.org/projects/action-on-salt-china