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  • Nature書評

フリントの水危機:如何にして市民科学者が害のある政治を暴露したか
The Flint water crisis: how citizen scientists exposed poisonous politics
06 July 2018  Mark Peplow
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05651-7
Mark Peplowが壊れたパイプとミシガンの約束についての二冊の本を激賞する
Anna Clark著「毒された都市:フリントの水とアメリカの都会の悲劇The Poisoned City: Flint’s Water and the American Urban Tragedy」とMona Hanna-Attisha著「見えていないもの:アメリカの都市の危機と抵抗と希望の物語What the Eyes Don’t See: A Story of Crisis, Resistance, and Hope in an American City」
2014年半ばにLeeAnne Waltersの家族は何ヶ月も健康状態の悪化に悩まされ3才の双子の一人は成長が止まった。2015年1月までにフリントにある彼女の家の水道水は茶色に変色した。彼女が水の入ったボトルを役人に見せたところ、彼らはそれがキッチンの水道水だとは信じなかった。(写真有り)
フリントの水は鉛に汚染されていた。当局は否定し嘘を言ったが科学者と医者と技術者がスキャンダルを暴いた。しかし最終的に潮目を変えたのは重要な水質データを作ったフリントの住人である。この二冊の本はこの危機について記述している。
1960年代からフリントの水はデトロイト上下水局(DWSD)経由でHuron湖から来ていた。しかし水道料金が高く、お金に困った市は自分で給水することにした。2014年4月にDayne Walling市長が切り替え、鉛の水道管から鉛が溶出し始めることになる
(経緯いろいろ略)
フリントの危機を役人のせいだと非難するのは簡単である。しかしどちらの本の著者もより深いところにある要因を指摘する。フリントは典型的なラストベルトの都市である:工場が閉鎖するとともに人口が減った。納税者が減り個人の負担が大きくなった。フリントの水道ネットワークはもっと大きな人口のためにデザインされていたので維持費がかかる。2011年に財政難で「緊急管理者」を置いた。その結果説明されない決定が多数なされ予算削減で環境保護は対応できなくなった。そして最も影響が大きかったのは貧しい地域だった。
(お金がないと健康や環境は守れないというのはどこでも一緒。)