食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

クルミが糖尿病を予防するという根拠はない

Behind the headlines
No proof walnuts prevent diabetes
Monday July 2 2018
https://www.nhs.uk/news/diabetes/no-proof-walnuts-prevent-diabetes/
「1日大匙3杯のクルミを食べると2型糖尿病の発症する可能性が半分になる」とMail Onlineは報じている。この記事は、カリフォルニアクルミ協会から一部資金提供を受けて実施された研究に関するものである。
研究者は、大規模な米国の健康・栄養調査に由来する既存データを検討した。彼らは、1999年から2014年に行われた8つの調査の結果を集め、3万4千人におけるナッツ類の食習慣を調べた。彼らはまた、この同じ集団の人が糖尿病を罹患しているかどうかも調べた。
過去24時間にナッツ類を食べたと答えた人は、ナッツ類を全く食べなかったと報告した人に比べると、糖尿病の罹患率が約半分であったということが判明した。
しかしこの研究にはいくつかの欠点がある。被検者の分析は一時点だけでしか行われておらず、クルミの摂取と糖尿病との間に関連性があるとしても、それがどのような方向のものなのかを決定するのは難しい。例えば研究では、クルミを食べることが糖尿病の予防になっているのか、あるいは糖尿病の患者ではクルミの摂取がより少なくなっているのかが判然としない。
多くの健康要因やライフスタイル要因が全体像を複雑にしていると考えられる。クルミを食べる人は全般的により健康的な食事をするだろうし、そのため糖尿病になる可能性も低くなるであろう。しかし、研究者は他の食事要因を考慮していないので、これが当てはまるかどうかは判らない。
全体としてこの研究は、糖尿病がクルミを食べることで予防できるという十分なエビデンスを示しているわけではない。しかしながら、ナッツ類はいずれの種類でも、健康的でバランスの取れた食生活の一部を形成する可能性がある。