食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

意見等

  • AB Vista社の提出文書に基づく全動物種向け無水ベタインの安全性と有効性

Safety and efficacy of betaine anhydrous for food-producing animal species based on a dossier submitted by AB Vista First published in the EFSA Journal: 12 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5335
ベタイン(トリメチルグリシン)は、生物中で起きるメチル基転移反応においてメチル基を提供する。脊椎動物の様々な組織に存在し、浸透圧保護を担う浸透圧調節物質である。
投与対象動物において無水ベタイン(97%, 96%ないしは91%)は、飼料1 kg当たりベタインとして2,000 mgまで安全であるとみなされる。
消費者においても、動物に対して飼料1 kg当たり2,000 mgの飼料添加で安全上の懸念を生じない。
ベタインの液状製品には高い割合で未知の物質(乾総物質で約30%)を含んでおり、FEEDAPパネルは液状製品については対象動物や消費者における安全性について結論を導出できない。
使用者の安全についてはデータが無く、結論を導出できない。
環境に対しては、飼料添加によりリスクを生じることは無い。
有効性に関しては、特にメチオニンやコリンからメチル基の供給ができない場合、飼料に添加することにより食品生産動物の飼養に役立つ。

  • BASF SE社の提出文書に基づくAshbya gossypii ■■■■■(非公表)株が産生する全動物種向けビタミンB2 (リボフラビン)の安全性と有効性

Safety and efficacy of vitamin B2 (riboflavin) produced by Ashbya gossypii ■■■■■ for all animal species based on a dossier submitted by BASF SE
First published in the EFSA Journal: 12 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5337
遺伝子組換えAshbya gossypii非公表株が産生するリボフラビン添加物(最小含量80%, 残りは使用した培地)は、あらゆる飼養目的のあらゆる動物向けに飼料中に用いることが企図されている。この遺伝子組換えにより安全上の懸念が生じることは無い。対象動物に対しては、安全マージンも広く、安全である。この添加物を動物に使用することで消費者に安全上の懸念が生じることは無い。使用者が吸入することによるリスク、および皮膚や眼への刺激性については、FEEDAPパネルは最終的な結論を導出することはできなかった。この添加物に皮膚感作性は無いが、リボフラビンは光線感作物質であることが知られている。この添加物を動物飼料に使用しても、環境にリスクを生じることは無い。この添加物は、動物が必要とするリボフラビンの飼料を介した供給源として有効であるとみなされる。

  • 遺伝子組換えトウモロコシBt11 × MIR162 × 1507 × GA21株およびこれら組換え遺伝子の組合せから成るが組換え遺伝子の起源株とは異なる3株についての、規則(EC) No 1829/2003に基づく食品や飼料としての評価(申請番号: EFSA-GMO-DE-2010-86)

Assessment of genetically modified maize Bt11 × MIR162 × 1507 × GA21 and three subcombinations independently of their origin, for food and feed uses under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA-GMO-DE-2010-86)
First published in the EFSA Journal: 11 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5309
GMOパネルは以前、これらの組換え遺伝子の一つを持った4種類の組換え体と、それらの組換え遺伝子の組合せを持った7種類の組換え体について評価を行っているが、安全性の懸念は認められていない。その後、この結論を覆すような新しいデータは確認されていない。分子的、栽培学的、表現型的および組成的特性に基づくと、これらの4種の組換え遺伝子の組合せにより食品や飼料の安全性に問題が生じることは無いと判断された。栄養学的評価でも、これらの遺伝子組換え(GM)トウモロコシは、非GMトウモロコシと同等と考えられる。Bt11 × MIR162 × 1507 × GA21株の生きた穀粒が環境に放出されても、環境の安全に懸念は生じない。今回申請された3種類の組合せ株については、組合せ遺伝子間の相互作用の可能性が評価されたが、安全上の懸念は生じないと結論付けられた。

  • 遺伝子組換えBacillus licheniformis NZYM-AV株由来の食品酵素α-アミラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme α-amylase from a genetically modified Bacillus licheniformis (strain NZYM-AV)
First published in the EFSA Journal: 12 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5318
この食品酵素は、Novozymes A/S社が作出した遺伝子組換えBacillus licheniformis NZYM-AV株が産生するα-アミラーゼ(4-α-D-グルカン グルカノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.1)である。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素は生産菌株やそのDNAを含まず、環境にも安全上の懸念を生じない。α-アミラーゼは、デンプンに作用させてブドウ糖果糖液糖や蒸留アルコールの生産に用いられる。残留物は、総有機固形物(TOS)としては蒸留および精製工程で(99%以上)取り除かれるため、食事暴露は算出されなかった。遺伝毒性試験では安全上の懸念は認められなかった。げっ歯類における90日間経口投与毒性試験から、無毒性量(NOAEL)はTOS換算で796 mg/kg体重と算出された。アミノ酸配列の照合で、既知のアレルゲン1種類との一致をみたが、CEFパネルは、企図された使用条件下でアレルギー性感作や食事暴露による反応の発現の可能性は除外できないものの、それらの可能性は低いと判断した。これらのことから、CEFパネルは、この食品酵素が企図された使用条件下で安全上の懸念を生じることは無いと結論付けた。

  • 遺伝子組換えBacillus licheniformis (NZYM-AN株)由来食品酵素α-アミラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme alpha-amylase from a genetically modified Bacillus licheniformis (strain NZYM‐AN)
EFSA Journal 2018;16(7):5317 6 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5317
この食品酵素はNovozymes A/S社が作出した遺伝子組換えBacillus licheniformis NZYM-AN株で生産したα-アミラーゼ(4-α-D-グルカングルカノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.1)である。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素は生産菌株や組換えDNAを含まず、環境にも安全上の懸念を生じない。残留酵素は、ブドウ糖果糖液糖の生産に用いられる場合、蒸留および精製工程で(99%以上)取り除かれるため、食事暴露は算出されなかった。遺伝毒性試験では安全上の懸念は認められなかった。アミノ酸配列の照合でも既知のアレルゲンとの一致をみなかった。CEFパネルは、この食品酵素は企図された使用条件下で安全上の懸念を生じることはないと結論付けた。

  • 遺伝子組換えAspergillus oryzae (NZYM-KP株)由来食品酵素グルコースオキシダーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme glucose oxidase from a genetically modified Aspergillus oryzae (strain NZYM-KP)
EFSA Journal 2018;16(7):5319 6 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5319
この食品酵素はNovozymes A/S社が作出した遺伝子組換えAspergillus oryzae NZYM-KP株で生産したグルコースオキシダーゼ(β-D-グルコース:酸素1-オキシドレダクターゼ; EC 1.1.3.4)である。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素は、生産菌株やそのDNAを含まず、環境にも安全上の懸念を生じない。最大推奨使用量とEFSAの包括的欧州食品摂取データベースの個々の摂取データに基づき、この食品酵素への食事暴露量は、総有機固形物(TOS)換算で、欧州人では最大0.156 mg/kg体重/日になると推定された。亜慢性毒性は齧歯類の90日間反復経口投与毒性試験で評価され、無毒性量は341 mg TOS/kg体重/日と算出された。パネルはこの食品酵素は企図された使用条件下で安全上の懸念を生じることはないと結論付けた。

  • 遺伝子組換え植物の分子特性解析におけるDNAシーケンシングの品質に関する技術的注意事項

Technical Note on the quality of DNA sequencing for the molecular characterisation of genetically modified plants
EFSA Journal 2018;16(7):5345 11 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5345
遺伝子組換え(GM)植物のリスク評価(RA)のため、申請者はGM植物ゲノムに挿入されたDNA配列の分子特性解析を行うことが求められる。EFSAは、欧州委員会の要請により、そうした申請者に向けて、DNAシーケンシングの方法論、実際の分析および報告の質に関して、技術的注意事項をまとめた文書(テクニカルノート)を作成する。
このテクニカルノートには、サンガーシーケンシングや次世代シーケンシング技術を用いて、特に各挿入部位や隣接領域にある挿入遺伝物質の特性解析に関連して検出可能な全挿入物の複製数を測定する場合や、挿入物の遺伝的安定性の分析を行う場合の要件や助言がまとめられている。
このテクニカルノートは、2018年10月1日から、挿入領域や隣接領域の検証と品質評価に関連して欧州委員会共同研究センター(JRC)が2016年に発行したガイドライン(2017年4月更新)の後継となる予定である。

  • 子羊肥育用、マイナー酪農反芻動物用、馬および豚肥育用のActisaf® Sc47 (Saccharo¬myces cerevisiae CNCM I-4407株)の認可更新申請の評価

Assessment of the application for renewal of authorisation of Actisaf® Sc47 (Saccharomyces cerevisiae CNCM I-4407) for lambs for fattening, minor dairy ruminants, horses and pigs for fattening
EFSA Journal 2018;16(7):5339 11 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5339
FEEDAPパネルはActisaf Sc47について、2006年、2007 年および2008年に、子羊の肥育、マイナー酪農反芻動物の飼育、馬および豚の肥育に使用する場合の安全性と有効性を認める科学的意見を採択している。現在では、雌豚飼育用、子豚飼育用、豚肥育用、牛肥育用、子牛育成用、乳牛飼育用、酪農バッファロー飼育用、子羊肥育用、酪農羊飼育用、酪農ヤギ飼育用、馬飼育用、ウサギ肥育用および非食用ウサギ飼育用に認可されている。以前の意見の再考が必要になるような新しい証拠は見つかっていないため、添加物Actisaf SC47は消費者、使用者、環境に対し、従来通り安全であると判断される。

  • アーモンドにおけるフェナザキンの輸入トレランス設定

Setting of an import tolerance for fenazaquin in almonds
EFSA Journal 2018;16(7):5330 11 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5330
定量限界(LOQ) 0.01 mg/kgで農作物におけるフェナザキンの残留物や代謝物質を管理できる適切な分析手段が得られている。リスク評価結果に基づき、EFSAは、報告されている農法に従ってフェナザキンを使用している限りにおいては、残留物の短期および長期摂取により欧州の消費者にリスク生じる可能性は低いと結論付けた。欧州でフェナザキンの使用が認可されている作物について、代謝物質2-(4-tert-ブチルフェニル)エタノール(TBPE)の生成に関する情報が不足しているため、消費者の慢性リスク評価は、非標準的不確実性により負の影響を受けている。

  • 鶏肥育用および産卵鶏育成用COXAM® (アンプロリウム塩酸塩)の安全性と有効性

Safety and efficacy of COXAM® (amprolium hydrochloride) for chickens for fattening and chickens reared for laying
EFSA Journal 2018;16(7):5338 11 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5338
COXAM®に由来する抗コクシジウム剤アンプロリウム塩酸塩は、完全飼料1 kgあたり125 mgの濃度で肥育鶏に安全だと考えられている。安全性のマージンは少なくとも5である。この結論は、育成期の産卵鶏に拡大される。アンプロリウム塩酸塩は、問題となる抗細菌作用を何ら有していない。申請者は、吸収・分布・代謝・排泄(ADME)に関する情報や、この添加物や有効成分の毒性情報を提出していない。そこで、動物用医薬品委員会(CVMP)の1999年〜2001年の概要報告書に引用されていた試験データをアンプロリウムのMRL設定に用いた。しかし、原データは得られておらず、それ以降の期間の文献検索は行われていない。そのため、FEEDAPパネルは今回の申請に関連するすべてのデータを独自に評価できず、消費者における安全性の結論を導出できなかった。陽性結果を示した抗コクシジウム感受性試験が3件必要なところ2件しか得られておらず、FEEDAPパネルは産卵鶏育成に用いた場合の有効性に関する結論も導出できなかった。