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NZ SMC

報告書はパンへの葉酸強化義務化を要請−専門家の反応
Report calls for mandatory folic acid fortification in bread – Expert reaction
Published: 03 August 2018
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/08/03/report-calls-for-mandatory-folic-acid-fortification-in-bread-expert-reaction/
保健省の委託した共同報告書は、包装済みパンに葉酸を添加することはリスクより利益が大きい根拠が蓄積していることを発見
前主任科学アドバイザーPeter Gluckman卿とTe Apārangi王立学会の共著による報告書は葉酸強化義務化が先天異常の率を下げることに関連すること、妊婦に推奨量の葉酸サプリメントを摂取するよう助言することは子ども健康や妊娠の結果に有害影響はないことを発見した。
Massey大学公衆衛生研究センター副部長Barry Borman准教授
神経管欠損リスクを下げるための葉酸強化義務化についての根拠には説得力があるという国際的見解を確認した著者らを祝福する。ニュージーランドが義務化しない理由はない
Wellington地域病院小児科医Andrew Marshall博士
私はパンか小麦粉への葉酸強化義務化を強く支持する
AUT栄養教授Elaine Rush教授
パンへのヨウ素添加がニュージーランドヨウ素状態を改善した。しかし同時に子どもを産む年齢の女性があまりパンを食べないので他の対策も必要であることも知っている。理想的には必要な葉酸や他の栄養素は毎日の健全な食事から摂れるといい。野菜や果物への課税を廃止する、ホームレスを減らすなどの他の追加対策も望ましい
オタゴ大学医薬品とヒト栄養教授Jim Mann教授
幸い神経管欠損は希ではあるがその子どもや家族や社会への負担は大きい。サプリメントは適切な葉酸レベルを維持する可能性はあるが、妊娠がしばしば計画していないものであり多くの人が、特に社会経済的に不利な人が政府の助言に従わないため、葉酸強化義務にしている。今回の根拠をもとに政府が葉酸強化義務化に向けて前進することを期待する
オタゴ大学ヒト栄養学部長Lisa Houghton准教授
2009年にオーストラリアとニュージーランドでパンへの葉酸強化を義務化した時、期限間近になってニュージーランドは政治的及び業者からの反対で葉酸の有害影響やコストへの懸念が提示された。そしてオーストラリアは義務化を実施しニュージーランドは撤回して自主的添加になった。今となって、このアプローチは効果が無いことが明らかになった。パンの葉酸濃度は増えたが女性の葉酸状態に改善はない。そして10年近く経ったが葉酸が有害だという追加の根拠はない。実際には葉酸摂取量の上限を無くす必要性が示唆されている。