食品安全情報blog過去記事

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その他

  • インドは大学での剽窃を取り締まる

Natureニュース
India cracks down on plagiarism at universities
09 August 2018 Shekhar Chandra
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05924-1
しかし一部の研究者らは新しい規則は十分ではないという
学生のレポートなどに剽窃検出ソフトウエアの使用を義務づけたりする
しかし定義が狭すぎて、学問における不正にはもっと多くのパターンがあるという意見もある

  • 日本の医科大学が女性の受験者を差別していたことを認める

Scienceニュース
Japanese medical university admits to discriminating against female applicants
By Dennis Normile Aug. 8, 2018
別の分野の女性科学者にインタビューして、入試の不正はないだろうけれど女性差別はある、と

  • ペルーの葬儀で汚染肉シチューを食べて10人死亡

Ten dead after eating contaminated meat stew at funeral in Peru
https://www.independent.co.uk/news/world/americas/peru-funeral-food-contaminated-dead-deaths-san-jose-ushua-meat-stew-a8483441.html
有機リンが含まれていたようだ
月曜日にSan Jose de Ushuaの村で50人ほどが病気になった。犠牲者は肉料理とchichaと呼ばれる発酵トウモロコシ飲料を飲んでいた。保健大臣Silvia Pessahが食品に有機リンが含まれていたようだという。食品と飲料が検査されている
ここ数ヶ月で同じ地域で有機リン中毒が2件おこっているとPessah氏は言う

  • SMC UK

塩と健康リスクを調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at salt consumption and health risks
August 9, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-salt-consumption-and-health-risks/
The Lancetに発表された研究が塩と健康リスクを検討している
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
これは心血管系疾患が比較的少ない平均年齢50才の男女の大規模観察研究である。塩の摂取量を食事記録から調べるのは困難なので、この研究では朝の尿を24時間の推定に用いている。塩の摂取量は24時間尿で推定できるが、汗から排出される暑い気候の場合には限界がある。この研究に参加した国は気候が大きく異なり血圧も塩や液体の摂取量も異なる(血圧は通常気温が高いと低い)
この研究は、ナトリウムの排出量の多さが血圧の高さと関連することと1日12g以上の塩の摂取で心血管系疾患、特に脳卒中のリスクが増加することを確認したがそれより少ない摂取量ではそうではなかった。この論文で議論になるのはWHOのガイドラインに薦めるような少ない摂取量まで下げるのは害があるかもしれずその必要はないという提案である。ナトリウム排泄量が最も少なかった集団で観察された心疾患リスクの増加は因果関係である可能性は低い。
これまでの研究が示してきたのは減塩のメリットが最も大きいのは50才以上の血圧の高い人たちであるということである。英国や他の多くの国では50才以上の成人の多くが血圧が高い。英国の塩の摂取量は過去30年で1日12gから7-8gまで下がり、血圧も下がっている。日本は高血圧が非常に多く脳卒中も多かったが1970年代に減塩を始めて今は昔より減った。塩の摂取量の多い中国でも脳卒中が主要な死因のままである
英国のような高齢化の進む国で食品に塩を加えることを制限するよう助言するのは賢明である
Reading大学栄養と健康准教授Gunter Kuhnle博士
この大規模観察研究は既にわかっていることを確認した:塩の摂取量が多いと高血圧になり心血管系疾患リスクがあがる。また多くの栄養素がそうであるようにあまりに少ない摂取量は健康に悪い可能性がある。主な限界は摂取量の測定方法で、この方法は信頼できる測定方法ではない。従って至適範囲はこのデータからは提示できない。
自由に生活している人たちの正確な塩の摂取量の測定は極めて難しい。スポット尿や朝の尿は信頼できないことが知られている。集団の分類には十分だが実際にどのくらい摂取しているかは推定できない。
Warwick大学疫学と心血管医学部長Francesco Cappuccio教授
この研究は新しい知見を加えない、さらに重要なことは塩の摂取量を減らすことが有害であるという根拠は何も提示していない。
Exeter医科大学臨床試験ユニット部長でNIHR上級研究者、医療研究部長Rod Taylor教授
この興味深い観察研究はナトリウム摂取の有害影響は世襲量が多い人に限られることを示唆する。その値は現在の公衆衛生ガイドラインより遥かに上である。この結果を24時間尿で再現できたらもっと説得力があるだろう。
私はエディトリアルが上手に解釈していると思う。これは観察研究で因果関係は主張できない。RCTのレビューでは減塩の食事助言は心血管系死亡率に重要な臨床的影響を確認できるほど強くはない。従ってこの分野では決定的なRCTが必要であろうが倫理的に困難である。
Queen Mary University of London心血管系医学教授Graham MacGregor教授
これは2016年に著者らが発表した研究の単純な繰り返しである。解析方法が少し変わったが、先に示された批判にほとんど答えていない
Imperial College London臨床薬理学と治療薬教授Peter Sever教授
この研究デザインには重大な欠陥がある。早朝尿やスポット尿は信頼できる塩の摂取量測定法ではない。観察研究についてのいつもの問題がある。
(PURE studyはいつも物議を醸す)