食品安全情報blog過去記事

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論文

  • がんと呼ばれているリスクの低い病気の名前を変えよ

Renaming low risk conditions labelled as cancer
Brooke Nickel et al.,
BMJ 2018;362:k3322
https://www.bmj.com/content/362/bmj.k3322
治療しなくても害をなすことがほとんどない低リスクの病気からがんの表示を排除することが過剰診断や過剰治療を減らすのに役立つだろうとBrooke Nickelらは言う
ある種のがんは検出しないで放置しても害をなさない。顕著な事例が甲状腺乳頭がんである。害をなさない甲状腺乳頭がんは多く、先進国での増加は検出の増加により手術をしてもしなくても進行や転移は変わらない。他に低リスク上皮内乳管がん(DCIS)、限局性前立腺がんについても過剰診断と過剰治療の根拠があるため、治療せず監視することがすすめられている。このほかにも局所悪性黒色腫、小肺がん、ある種の小さな腎臓がんも低リスクと考えられ、同様の過剰診断と過剰治療の問題がある。
がんというラベル
何十年もの間、がんは死と結びついていた。このためがん検診は命を救うと宣伝されてきた。これは善意ではあったが恐怖を利用したものである。アクティブサーベイランスのような管理方法が選択肢になってきても、積極的侵襲的治療が必要だという強い認識は残る。最初は監視を選んだ前立腺がん患者の1/4は生物学的理由では無く5年以内に治療を受ける。
対策としては不必要な検査を受けないこととがんというラベルを取り除くことである。

メディア報道
医師はマイナーな病変を「がん」と呼ぶのを避けるべきである−研究
Doctors should avoid saying ‘cancer’ for minor lesions – study
https://www.theguardian.com/society/2018/aug/13/doctors-should-avoid-saying-cancer-for-minor-lesions-study
研究者らは患者を恐がらせて害のないもののために侵襲的治療を受けさせているという

Over-the-counter drugs, dietary supplements and their effect on lab test results
10-Aug-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/dg-odd081018.php
Clinical Chemistry and Laboratory Medicine。欧州18ヶ国の患者の調査結果。OTC医薬品やダイエタリーサプリメントの使用が検査結果に影響する可能性について知らず、医師や検査室の職員に告げる必要があるとは思っていない。最も多く使っているのは中年患者、特に女性で、多いのはマルチビタミンマルチミネラルクランベリーアスピリン。いずれも血液検査の直前に使用すると検査結果に影響する可能性がある

  • あたらしい研究は途上国ではニセの、質の低い医薬品が蔓延していることを発見

New study finds fake, low-quality medicines prevalent in the developing world
10-Aug-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/uonc-nsf081018.php
North Carolina大学Chapel Hill校のJAMA Network Openに発表された新しい研究によると、世界の大部分では質の悪い、偽装された医薬品が深刻な問題である。低から中所得国では優先順位の高い医療用の必須医薬品の13%以上が問題のあるもので、アフリカ諸国では19%である
(医薬品ですらこんな状態なのに海外から個人輸入するサプリメントが表示通りだと思う?)

  • 新しいタイプの蚊帳がマラリア対策に役立つ

New type of bed net could help fight against malaria
10-Aug-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/du-nto080918.php
The Lancetに発表されたブルキナファソでの2年間の臨床試験結果。ピレスロイドとピリプロキシフェンの組み合わせ蚊帳がこれまでの蚊帳より有効だった。

  • 塩と心疾患:「悪い科学」の第二ラウンド?

Salt and heart disease: a second round of “bad science”?
Franz H Messerli  et al.,
The Lancet Volume 392, Issue 10146, 11–17 August 2018, Pages 456-458
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