食品安全情報blog過去記事

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論文

  • YouTubeは整形外科手術についての間違った情報源である、Rutgersの研究が発見

YouTube is source of misinformation on plastic surgery, Rutgers study finds
16-Aug-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/ru-yis081518.php
JAMA Facial Plastic Surgeryに発表。YouTubeには質を保障されていない医者が宣伝で投稿した誤解を招く動画がほとんどである。

  • 食事からの炭水化物摂取と死亡率:前向きコホート研究とメタ解析

Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis
Sara B Seidelmann, et al.,
Published:August 16, 2018•DOI:https://doi.org/10.1016/S2468-2667(18)30135-X•
https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(18)30135-X/fulltext
オープンアクセス
米国ARIC研究参加者の食事データを使ったもの。フォローアップ期間は中央値で25年。
炭水化物の摂取割合と死亡率の関係はU型のカーブになり、最も死亡率が少ないのはエネルギーの50-55%が炭水化物の場合(グラフを見た方が早い)
低炭水化物を心がけると野菜や果物、食物繊維の摂取量が減るので死亡率が上がるのでは、といった考察あり
(なにごともほどほどに、といういつもの)

  • 自閉症DDT:百万人の妊娠が明らかにできることとできないこと

Natureニュース
Autism and DDT: What one million pregnancies can — and can’t — reveal
16 August 2018  Sara Reardon
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05994-1
解析でこの農薬の周産期暴露と知能障害を伴う重症自閉症リスクの高さが関連することがわかった
フィンランドの100万人以上の妊婦の血液検体の研究によると、妊娠中の血中DDT濃度の高い母親は自閉症の子どもを産む可能性が高い。WHOによると世界では160人中1人の子どもが自閉症である。どんな場合でも自閉症には遺伝や環境暴露などの多数の要因による可能性が高い。
著者らはこの知見がDDT自閉症の原因であることの証明ではないと強調しているものの、直接の暴露を測定してそのような関連を示した初めてのものである。DDTはもう何十年も多くの国で野生生物への懸念から使用が禁止されている。環境と疾患の関連を研究している研究者らは、もしDDT自閉症の引き金を引く可能性があるのならメカニズムについてのさらなる研究が必要だと言う。
この研究は8月16日にAmerican Journal of Psychiatryに発表された。同時にPCBとして知られる一連の化合物も測定しているが、これらは自閉症と関連しなかった。このことがDDT自閉症の関連についての疑問を深める。
DDTは今でもアフリカでは蚊のコントロールに使われていて、土壌や水に何十年も残り植物とそれを食べる動物に蓄積する。PCBは建築材や電子機器に使われたがある種の魚に高濃度に蓄積する傾向がある。
これまでのPCBやDDTの研究はがんとの関連を示唆し、子どもの早期の脳の発達や認知に影響するかもしれないと示唆してきた。しかしながらそれらの研究のほとんどは汚染地域への近さなどに基づいて暴露を推定していて直接妊娠中の母親の血中濃度を測ったものではなかった。
直接暴露をより良く知るため、ニューヨーク市コロンビア大学精神科医で疫学者のAlan Brownはフィンランドの生物学的データベースを探った。それは1983年から妊娠女性の血清を集めている。Brownとフィンランドの共同研究者らは1987年から2005年の間に出産した100万人以上の女性の血清検体を集めたコホートと子どもの健康記録を比較した。彼らは自閉症と診断されたのが約1300人の子どもであることを発見し、そのうち778人とその母親、それから自閉症ではない778人の子どもと母親のペアを、出産日や性や住居など注意深くマッチさせた。母親の血清検体はDDTあるいはPCBの代謝物濃度を測定した。彼らはPCB副産物と自閉症には関連がないことを発見した。しかしDDT代謝物については、上位1/4は低い集団より32%自閉症の子どもを産む可能性が高かった。知能障害を伴う自閉症の子どもを産む可能性は2倍だった
(以下略)

  • 広く使われている「同一の」細胞株でも実際には株間に大きな差異があることが明らかになり、これが生物学研究の再現性問題の一因になっている可能性がある。

Nature 16 August 2018 (Vol. 510 No. 7718)
Reading between the lines
An in-depth analysis reveals the scale of differences among strains of common cell lines.
doi: 10.1038/d41586-018-05935-y
http://www.nature.com/articles/d41586-018-05935-y
Genetic and transcriptional evolution alters cancer cell line drug response
Uri Ben-David et al.,
http://www.nature.com/articles/s41586-018-0409-3
27系統のMCF細胞の321の抗がん化合物への応答を調べた。少なくとも75%の化合物がある系統は完全に抑制するのに他の細胞では全く活性がなかった。遺伝子も発現も相当違っていた