食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • 炭水化物摂取と健康をしらべた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at carbohydrate intake and health
August 16, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-carbohydrate-intake-and-health/
Lancet Public Healthに発表された研究が炭水化物摂取量と健康と寿命について調べた
NHS栄養士Catherine Collins RD FBDA
ソーシャルメディアでは炭水化物対脂肪の議論が熱い。低炭水化物高脂肪(LCHF)カルト支持者はこの最新の研究には合意しないだろう。WHOや英国を含む世界中の保健機関が炭水化物の摂取量は一日のカロリーの約半分、を薦めている。このARICの研究で、これまで通り「平均的炭水化物摂取」の死亡率減少が発見されたことは驚きではない。この研究では低炭水化物(炭水化物由来のカロリーが40%未満)と高炭水化物(70%より多い)の両方で死亡率の増加に関連があった
Cambridge,大学MRC疫学ユニットNita Forouhi教授
この研究は現在のPHEの食事ガイドラインに沿った、総エネルギーの50-55%のほどほどの炭水化物摂取が長寿に最適であるという明確なメッセージである。現在のガイドラインは短期的研究から低炭水化物提唱者によりしばしば批判されてきたが長期影響を考えることが必須である。アジアのような炭水化物摂取量が多い集団に対しては、U字型の関連があって炭水化物摂取量が多すぎるのも有害影響がある。これは臨床試験ではなく観察試験であるという批判もあるが、長期の食生活の臨床試験は現実的ではない
Quadram生命科学研究所栄養研究者で名誉フェローIan Johnson博士
これは大規模で質の高い研究である。もちろん欠点もある。それでも約半分のエネルギーを炭水化物から摂取している集団の死亡率が最も低いことを説得力をもって示す。低炭水化物食の人たちは動物由来のタンパク質や脂肪に置き換える傾向がある。そしてこれまでの多数の研究と一貫している。英国の食事ガイドラインも総エネルギーの50%程度を炭水化物からとるように薦めていて、この数字は実際の英国人の摂取量に近い。
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
英国を含む多くの西洋諸国では炭水化物は通常エネルギーの45-50%を占める。この研究では最もリスクが低いのは46%としほとんどの食事ガイドラインは少なくとも50%としている。肉や動物脂肪が多く炭水化物が少ない食事は死亡リスクが高いことを発見している。しかし炭水化物の区別(砂糖、精製あるいは精製されていないなど)はできていない。この研究の大きな欠点は食品頻度質問票を使ったことで、この方法はエネルギーと脂肪の摂取量を過小に推定する。過体重と肥満の人は誤報告する。この知見の説明として良くあるダイエット法をしがちな肥満/過体重の人たちが両極端にいることを反映している可能性がある。エディトリアルでは米国の食事ガイドラインを批判しているが多くのアメリカ人が従っていないことを考えると当惑させられる。しかし主論文でもエディトリアルでも、極端なものは望ましくなく、健康のためには約半分が炭水化物のバランスのとれた食事がベストであろうという基本は共通である
(いろいろ略。日本は根拠無く60%と言っている。何が問題かって根拠がないことを疑問にも思わないところ)

  • 科学技術委員会の新しい電子タバコ報告書への専門家の反応

expert reaction to the Science and Technology Committee’s new report on e-cigarettes
August 17, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-the-science-and-technology-committees-new-report-on-e-cigarettes/
Norman Lamb議長の下院科学技術委員会が新しい電子タバコ報告書を発表した
Stirling大学保健政策教授Linda Bauld教授
この報告書は歓迎できるもので根拠に基づいたものである。科学技術委員会の助言は政府や他の人たちにタバコを電子タバコに切り替えることを支援するためにもっとやるべきであるということである
UCLタバコ研究部長健康心理学教授Robert West教授
この報告書は一部の人にとっては電子タバコを勧める過激なものに見えるかもしれないが、この分野で働いている科学者の視点からは、根拠を行動計画にうつす常識的な、歓迎できるものである。政策を作るのに大きな影響を与えることを期待する。