食品安全情報blog過去記事

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意見等

  • ナプロパミドの既存最大残留基準レビュー

Review of the existing maximum residue levels for napropamide according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2018;16(8):5394 24 August 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5394
入手されたデータに基づき最大残留基準(MRLs)案の導出と消費者リスク評価が実施された。消費者における明確なリスクは特定されなかったが、規制の枠組みにおいて求められる情報がいくつか欠落していた。そのため、前述の消費者リスク評価は示唆的なものとしかみなされず、EFSAが導出されたMRL案も、リスク管理者による更なる検討が必要とされる。

  • 水生生物に関連した農薬の規制リスク評価用トキシコキネティクス/トキシコダイナミクス(TKTD)影響モデルの技術水準に関する科学的意見

Scientific Opinion on the state of the art of Toxicokinetic/Toxicodynamic (TKTD) effect models for regulatory risk assessment of pesticides for aquatic organisms
EFSA Journal 2018;16(8):5377 23 August 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5377
TKTDモデルは、生物種および化合物特異的であり、実際に試験されていない(時間を変数とする)暴露条件下での、農薬の(亜)致死影響を予測するのに使える可能性がある。ここでは3種類のTKTDモデルが扱われている。すなわち、(i) 生存閾値に関する一般統合モデル(GUTS)、(ii) 動的エネルギー収支理論に基づくモデル(DEBtoxモデル)、(iii) 一次生産者に関するモデルである。これらのTKTDモデルは全て、生物の内部暴露に影響を与えるプロセス(TK)は、損傷や影響/死亡につながるプロセス(TD)とは独立しているという原則に従っている。GUTSモデルは実際に試験していない暴露条件下での生存率を予測するのに使える可能性がある。DEBtoxモデルは、毒性物質の成長や生殖への影響を経時的に、ひいては生物の生涯にわたって探求するのに使われる。一次生産者と農薬に関するTKTDモデルは、藻類、ウキクサないしはフサモを用いたものに関して既に開発されている。いずれのTKTDモデルにおいても較正には、標準的な生物種を用い毒性試験のデータと追加の生物種を用いた毒性試験のデータの両方が用いられる。妥当性の検証には、独立した詳細暴露試験で得られた化学物質固有および生物種固有のデータセットが求められる。Based on the current state of the art (e.g. lack of documented and evaluated examples), the DEBtox modelling approach is currently limited to research applications. 現在の技術水準(文書化され評価をうけた事例不足している状態など)に基づき、DEBtoxモデルによるアプローチは今のところ研究での利用に限定されている。しかし、農薬の前向き環境リスク評価において将来的に利用される大きな可能性は認識されている。GUTSモデルとウキクサのモデルはリスク評価にすぐに利用できると考えられる。