食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • カナダの病院は根拠のない幹細胞治療を宣伝・販売している

Canadian clinics are marketing unproven stem cell treatments
26-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/fsg-cca092018.php
Regenerative Medicineに発表されたカナダの市民とミネソタ大学生命倫理センターの准教授らによる報告。
再生医療最大の「成果」が詐欺師の金儲け。医療ではない「健康産業」も。)

  • ひまわりの花粉はミツバチに医学的保護作用がある

Sunflower pollen has medicinal, protective effects on bees
26-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/ncsu-sph092518.php
ミツバチにひまわり花粉を与えたら特定の病原体への感染率が劇的に下がった。マルハナバチでも同様の結果が得られた。Scientific Reports

Reclassification recommendations for drug in 'magic mushrooms'
26-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/jhm-rrf092518.php
Neuropharmacologyに発表されたJohns Hopkins 大学医学部Matthew W. Johnson博士の解析。もし第III相試験がクリアできたら、シロシビンは医学的可能性のわからないschedule I薬物から、睡眠助剤のような処方医薬品のschedule IV薬物に分類を変えるべき。

  • 糞便中微生物叢移植はがん患者の有用細菌回復に役立つ

Fecal microbiota transplantation helps restore beneficial bacteria in cancer patients
26-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/nioa-fmt092618.php
同種造血幹細胞移植時に強力な抗生物質投与が必要ながん患者での自己糞便移植が安全で有効であることを報告。Science Translational Medicine.
(糞便移植はどんどん拡大。効果があれば中身(この場合は詳細な菌の種類や数、一人一人違うだろう)がわからなくても使うのが医学であることを如実に示す。これに比べるとプロバイオティクスって全然効果がないんだなと再認識)

  • レストラン誓約にも関わらず、ほとんどの子どもはファストフードキッズのキッズメニューでは不健康なものを選んでいる

Despite restaurant pledges, most kids receive unhealthy items with fast-food kids' meals
27-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/urcf-drp092118.php
McDonald's, Burger King, Wendy's,および Subwayは子ども用メニューで健康的選択肢を用意しているが74%の子どもは健康的でないほうを選んでいる。2010、2013、2016年に約800人の2-11才の子どもの親を調査。2016年には91%の親が過去1週間に4つのファストフードチェーンのどれかに行ったことがあると回答した、2010年は79%だった。ファストフードで食事を購入した親の1/3は子どもメニューではなく普通サイズのものを子ども用に買った、2-5才でも。子どもが小さい方がより健康的選択肢を選ぶ傾向があった
コネチカット大学食品政策と肥満Ruddセンターの新しい報告。
(わざわざ外食するのに、セットの飲み物に水を選ぶことはあまりないんじゃないかな。むしろそんなに肥満対策をしたいのに、低カロリー甘味料を絶対認めようとしないマインドのほうが不思議)

UMass Amherst food scientists profile microbes at a fermented vegetable facility
25-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/uoma-uaf092518.php
Applied and Environmental Microbiologyに発表。FDAのCFSANの科学者と協力してReal Pickles社の施設内の微生物分布を作成。培養法ではなくハイスループットシークエンシングとゲノミクスを用いて種を同定
(よく協力してもらえた。結果をもとに施設の改善を図ると言っているのが素晴らしい)

The quality of protein supplements for sportspeople
25-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/uos-tqo092518.php
専門家はどんな栄養サプリメントであっても使用する前に個別に調査することの重要性を再確認
粉末プロテインサプリメント中のリジンの熱処理産物(ブロックドリジン、リジンのメイラード反応産物)を分析した研究
サプリメントの使用が消費者にとって未知の健康に有害な物質の摂取を意味する場合がますます増えているため、最初に評価が必須である
LWT - Food Science and Technology

  • 遺伝子検査:一度では終わらない

Genetic testing: Not a one-and-done deal
25-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/usmc-gtn092518.php
がん関連遺伝子変異は頻繁に分類が変わる
JAMA。145万人の遺伝子検査の結果をレビューした研究で、約25%の「重要度不明な変異」はその後時にはがんとの関連の可能性が少ない、あるいは強いに分類が変更されていることを発見した。

  • 母乳を与えることと乳児の健康の関連は簡単ではないことを研究が示す

Study shows link between breastfeeding and infant health is not straight-forward
25-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/uab-ssl092518.php
母乳を与えることは健康にとってポジティブな結果と関連するが、それは因果関係ではないだろう、バッファロー大学の社会学者がいう。他の要因も働いている可能性がある
乳児の栄養源としての母乳の価値に疑いの余地はないが、バッファロー大学の新しい研究は母乳と乳児の健康の間の関連に批判的ニュアンスを加えた。
妊娠中に母乳のみで育てるつもりと言っていた母親が一旦子どもが生まれるとミルクを使った場合、子どもの健康は母乳のみで育てた場合と同程度であった。母乳で育てるつもりと言っていた母親のうちそうできたのはわずか半分で、しばしば授乳できるかどうかはコントロールできず実際に子どもが生まれるまでわからない。
この知見はこれまでの研究で報告されてきた母乳の利点は、健康と栄養について知っていることなどの母親の特徴に影響を受けている可能性を示唆する。「我々が発見したことは、母乳を与える意志がある母親は、そうでない母親より栄養や食事について情報が多く医師への相談回数も多く乳児の健康に関する情報へのアクセスも良いということである。この医療へのアクセスが重要な焦点になる。母乳を与えることだけにエネルギーを注ぐことで、医療へのアクセスのような重要なことを失念してしまう」とKerri Raissianは言う
Social Science & Medicine: Population Health
母乳は常に与えられるわけではなく母親が望む健康上の利点もないかもしれないのに、「母乳がベスト」というメッセージはあまりにも強く、母乳を与えられない母親に過度なストレスを与える可能性がある。このメッセージのコストは高い、特に母乳の利点が誇大宣伝される場合には。強力な母乳推進と多くの母親が直面する現実的困難を考えると、母乳とミルクのトレードオフはもっと慎重に定量化することが重要である。