食品安全情報blog過去記事

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その他

OMG, Gluten-Free and Non-GMO?! Smirnoff™ Collaborates with Ted Danson, Jenna Fischer and Jonathan Van Ness to Announce Smirnoff No. 21 Vodka is Now Non-GMO
October 9, 2018
https://www.multivu.com/players/English/8419651-smirnoff-no-21-gluten-free-non-gmo-vodka/
ウォッカグルテンフリーでノンGMOという宣伝
(健康のためならウォッカが一番問題だけど、そういうのを誤魔化したいのかなぁ?)

THC amounts identical in most cannabis strains, UBC study finds
10-Oct-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-10/uobc-tai100918.php
しかし新しく見つかった化合物が異なる薬理作用を説明できるかもしれない
どんな名前のバラでもバラである。大麻でもそうである。新しくScientific Reportsに発表されたカナダの研究は、特有のストリートネームに関わらず、多くの大麻THCとCBD濃度は同程度であることを同定した。現在栽培されている大麻の品種は数百から数千と考えられている。大麻の交配は非公式に行われているため多くの系統の化学組成については良くわかっていない。この研究では5つの許可を得ている生産者からの33の大麻系統について調べた。その結果多くの系統ではTHCとCBD濃度は同程度であるがこれまで知られていない多数のカンナビノイドを発見した。現在許可を受けている栽培業者はTHCとCBDについてのみ報告義務があるがそれでは不十分かもしれない

  • ゲノミクス研究を嵐に巻き込んでいる予防医学アプローチ

Natureニュース特集
The approach to predictive medicine that is taking genomics research by storm
10 October 2018  Matthew Warren
https://www.nature.com/articles/d41586-018-06956-3
多遺伝子性のリスクスコアは遺伝子に基づく診断検査とは大きくかけ離れている。ここに何故そんなに議論が多いのかを記す
(図は多遺伝子性リスクスコアによる心血管系疾患の予想と学歴の予想。でもこれ家族歴だけでも相当程度予想できたりする)

  • 心配を止めて根拠を信頼しよう:ラウンドアップががんの原因になることは極めてありそうにない

Stop worrying and trust the evidence: it’s very unlikely Roundup causes cancer
October 8, 2018
Ian Musgrave
Senior lecturer in Pharmacology, University of Adelaide
https://theconversation.com/stop-worrying-and-trust-the-evidence-its-very-unlikely-roundup-causes-cancer-104554
米国の裁判所の判断を受けて、よく使われる除草剤ラウンドアップが再びニュースになっている。一人の男性の非ホジキンリンパ腫ラウンドアップが寄与していると判断してモンサント社に2億8900万ドルの支払いを命令し、9000人以上が同様の訴えを起こしていると報道されている。これを受けてオーストラリアのがん評議会がオーストラリアでのグリホサートの安全性評価を要請している。そして今夜の「Four Corners」の報道はモンサントがグリホサートとがんの関連についての根拠を隠蔽した可能性があるというものだった。裁判所が科学を決めるわけではなく、最新の判決が新しいデータを作ったわけでもない。グリホサートが発がん性だと信じている人たちは2015年のIARC報告を引用するが、その結論は他の政府機関のレビューや最新論文より狭い根拠を用いている。オーストラリアの規制機関であるAPVMAはIARCの決定の後にグリホサートの安全性をレビューして現状の全てのグリホサート製品は使用方法に従って使えば適切な消費者保護を提供すると結論している。また米国の5万人以上を10年以上フォローした農業健康研究は2018年に発表されていて、この現実世界での最もグリホサート暴露量の多い集団での研究ではグリホサート製品のがんリスクはたとえあったとしても極めて小さいことを示した。また被ホジキンリンパ腫のリスクは無視できることも示した。この最新研究が裁判所で使われたかどうかはわからない。
(以下科学の世界での説明、略)

  • 遺伝子編集を用いた有機農業:矛盾か持続可能な農業の道具か?

Organic farming with gene editing: An oxymoron or a tool for sustainable agriculture?
October 10, 2018 Rebecca Mackelprang
https://theconversation.com/organic-farming-with-gene-editing-an-oxymoron-or-a-tool-for-sustainable-agriculture-101585
カリフォルニア大学バークレー校の教授が有機農業提唱者を前にして遺伝子組換え技術の可能性について語る。聴衆は落ち着かなそうにしている。有機農業の推進者の多くは遺伝子組換え作物はヒト健康と環境とそれを育てている農家に有害であると主張している。バイテク推進者は反論する。そして今回は新たな遺伝子編集技術について、である。
(技術の説明略)
放射線や変異原性物質を使った突然変異誘発による交配は既に有機栽培で使われている。米国の有機農業では排除されていない。CRISPRを使うのも同じことだろう。規制のハードルがなければ農家でも新品種が開発でき巨大農業ビジネス支配から逃れられる。持続可能な農業のためにCRISPRを使うのは共通の目標になりうる。
米国有機基準委員会は全てのゲノム編集作物を有機認証しないと2016年と2017年に投票で決めたが私はそれを再考すべきと考える。
議論の両側の全ての人が人と環境への最大の利益を望んでいる。協力して問題を解決した方が進歩が見込める。
(遺伝子導入を伴わないゲノム編集に関してはオーガニック団体のこれまでの主張が悉く無効でもとにかく反対、ということはもともと人や環境のためではなく自分たちの利益しか考えていないということの告白)

  • グリホサートの議論が盛んになり農家が口を開く

Glyphosate debate ramps up as farmers speak out
ANDREA DAVY , Rural Weekly
October 11, 2018
https://www.weeklytimesnow.com.au/news/rural-weekly/glyphosate-debate-ramps-up-as-farmers-speak-out/news-story/450beb793975bb0f71b952890b600de4
ABCのFour Cornersで「モンサントペーパー」が放送されてがん評議会がレビューを要請するなどグリホサートを巡る議論が過熱している。APVMAは確固とした姿勢を崩さず「メディアは必ずしも事実を伝えたり科学を正確に伝えたりしない」と言っている。そんな中で南オーストラリアのユーカリ栽培者John GladigauがSNSを使って議論に参入した。
以下彼の投稿である
(一部抜粋)
我々農家はグリホサートが大好きなわけではない。実際のところ好きで使っているわけではない。農薬は値段が高く取り扱いに注意が必要で有効に使うためにはたくさんの努力が必要である、でも必要だから使っている。我々にとってのフラストレーションは、もしグリホサートが使えなくなったら、それはもっと有害で環境に悪い代用品を使うことになるということである。それは望んでいない。一般の人だってそんなことは望んでいないと確信する。
昨夜のFour Cornersの番組でいらいらさせられたのは農家や園芸家が農薬を使うときに農薬でずぶぬれになって健康被害が出ると主張していたことである。誰もどんな化合物にも、それが安全か有害かに関わりなく、どっぷり浸かることなどあってはならない。それは製品の製造業者のせいではなく、使用者の失態で単なる愚か者である。
今年オーストラリアは雨が少なく農家は非常に苦労した。もし20年前にこのような天候だったらオーストラリアは大惨事だっただろう、しかしそうならなかった理由の一つはグリホサートのおかげである。土を耕すことなく雑草を管理できた。もしグリホサートがなかったら砂嵐が増え土壌はさらに破壊され生産性も下がり食糧はもっと高価になっただろう