食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 日本は男女平等が必要

Japan needs gender equality
Yumiko Murakami, Francesca Borgonovi
Science 12 Oct 2018:Vol. 362, Issue 6411, pp. 133
Scienceのエディトリアルに東京医大の事例を引いて日本の不平等が指摘されている

  • ニュースから

でっちあげ論文が騒動を呼ぶ
Hoax papers spur uproar
Science 12 Oct 2018:Vol. 362, Issue 6411, pp. 134-136
先週3人の学者がジェンダーと性志向に関するインチキ論文を雑誌が発表したと暴露して騒動になっている。雑誌の査読者が明らかな欠陥を、学者が「grievance」(不当な扱いを受けたことへの抗議)研究と呼ぶものを好む左翼のイデオロギーバイアスのせいで見過ごした。20のデタラメ論文中7論文が受理され発表された。例えばドッグパークでの犬の「レイプ文化」の研究といったもの。この件は1996年のソーカル事件を思い出させる
(学問に擬態した政治活動、はこのあたりが発祥なんだろうか)

  • 乳脂肪摂取の指標と2型糖尿病を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at markers of dairy fat consumption and type 2 diabetes
October 11, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-markers-of-dairy-fat-consumption-and-type-2-diabetes/
PLOS Medicineに発表された研究が、血中及び組織中の乳製品摂取に関連する脂肪濃度の高さが2型糖尿病リスクの低さに関連することを示した
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
ここで使用されているバイオマーカーは乳製品に特有ではなく、魚にも含まれる。一般的に、全体的な根拠としては乳製品はメタボリック症候群や2型糖尿病に予防的である可能性があるがバターは違う。このレビューはバターを食べることを薦めるために使われるべきではない
King’s College London栄養科学部講師Nicola Guess博士
これらの知見はこれまでの観察研究と同様である。自己申告による乳製品摂取量データに比べるとバイオマーカーを使ったことは強みであるものの注意は必要である。一部のマーカーは乳製品特異的ではなくどのくらいが摂取由来かはわからない。これまで発表された研究では乳製品は各種メカニズムで2型糖尿病リスクを減らすのに役立つ可能性が示唆されているが、いまのところ低脂肪と全脂肪で差があるのかどうかはわかっていない。私の助言は好きなものを選べばいい、というものである。乳製品には健康にとって重要な栄養が豊富である。

  • オプラの最近の病気騒動が教えたこと

What Oprah's Recent Medical Scare Taught Her
By Oprah Winfrey Oct 9, 2018
https://www.oprahmag.com/life/health/a23566249/oprah-health-scare-wikfs/
一番大事なことは?あなたの症状をgoogleで検索しないこと
(いつもヘンなこと言ってるオプラがまともなこと言ってる!と驚かれている記事)
ある日あごの左側が腫れて、「リンパ節が腫れる原因」でインターネットを検索したら恐ろしい記事ばかりだった。医者に電話したら予約を入れてくれた。約束の時間まで、最悪のことばかり考えた。医者は恐ろしい病名を告げるだろうと予想していたが実際に言ったのは「唾液腺が詰まっていると思う。家に帰って水をたくさん飲んで唾液腺を刺激するためにレモンを吸ってみて」だった。信じられなかったので別の医者に電話して写真を送った。彼もまた唾液腺が炎症で詰まっている、水をたくさん飲んでレモンかレモンキャンディを舐めて、と言った。それでそのとおりにやってみたら次の日には明らかに腫れが引いて2日以内で完全に無くなった。人体は不思議だ。

CSPI
FDAは7つの発がん性香料を認可食品添加物リストから除外
FDA Removes 7 Carcinogenic Flavorings from Approved Food Additives List
October 5, 2018
https://cspinet.org/news/fda-removes-7-carcinogenic-flavorings-approved-food-additives-list-20181005
FDAが7つの合成香料を認可食品添加物リストから除外すると決定した。これは2016年にCSPI等の団体が申請を届け出、その後裁判に訴えたことでFDAが対応したものである。
これらの香料は1960年代にFDAが当時の科学に基づき食品に使っても安全としてリストに掲載したものである。それからNTPの発がん性試験などが行われた。法により、FDAは発がん性の根拠があるものは認可を取り消さなければならない

ACSH
FDA食品添加物禁止は非科学的で不合理
FDA Food Additive Ban Is Unscientific And Irrational
By Josh Bloom — October 9, 2018
https://www.acsh.org/news/2018/10/09/fda-food-additive-ban-unscientific-and-crazy-13488
Scott Gottlieb長官はもっとうまくやってくれると思っていた。彼のもとで7つの合成香料が禁止されるなんて。私はこれがアメリカの人々に間違った科学を宣伝する可能性を心配する。植物由来だろうと合成だろうと、同じ化合物は同じで区別できない。何が問題か?
例えばミルセンはマンゴ、ショウガ、レモングラス、バジル、大麻に含まれる。天然の食品でも合成でも差はないが、FDAは化学物質については厳しく規制すべきと主張する団体の要求に対応した。

FDAはスーパーでよく見る食品中の7つの化合物を禁止した
The FDA Just Banned 7 Chemicals in These Common Supermarket Foods
By Peter Hess on October 8, 2018
https://www.inverse.com/article/49681-which-artificial-flavors-cause-cancer
これら化合物の名前はあまり聞いたことがないかもしれないが(通常「合成香料」としか表示されず個別の名前は表示されないので)どんなものに含まれるか例を見てみよう
ベンゾフェノン
香料成分で食品包装材の添加物でもある。香料としては薔薇のような芳香で食品を紫外線から守る作用がある。ブドウなどの果物に含まれる
アクリル酸エチル
パッションフルーツに含まれる。香料よりは錠剤のコーティングや封筒の結着剤として多く使われている。
メチルオイゲノール
丁子の香りでローズオイルやバジル、紅玉リンゴに含まれる
ミルセン
大麻やマンゴ、カルダモンに含まれる土臭い香りであまり食品に香料として使われることはない
プレゴン
ミントの仲間の植物に含まれる
ピリジン
加熱したベーコンやフライドチキン、タバコの煙に含まれ、合成香料として微量使われると少し苦い風味を出す
スチレン
スチレンは普通は食品の包装に使われるので食品中に検出されるのは溶出の結果である