食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

FDAは7種類の合成香料を食品添加物リストから削除する

FDA Removes 7 Synthetic Flavoring Substances from Food Additives List
October 5, 2018
https://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm622475.htm
FDAは、2つの食品添加物申請に応じ、今後、合計7種類の合成香料および風味増強剤の使用を認めないとする食品添加物規制の改正を行う。FDAは、乳がん基金、環境衛生センター、食品安全センター、公益科学センター、消費者組合、環境防衛基金環境保護団体EWG、Improving Kids’ Environment、天然資源保護協議会、WE ACT for Environmental Justice、及びジェームス・ハフ氏によってFDAに提出された申請書に提示されたデータが、 これら合成物質のうち6つが、実験条件下において実験動物でがんを引き起こしたことを示していると認定した。7つ目の合成香料は、業界ではすでに使用されていないため、リストから除外される。
6つの香料には、合成由来のベンゾフェノン、エチルアクリレート、オイゲニルメチルエーテル(メチルオイゲノール)、ミルセン、プレゴン、およびピリジンが含まれる。 これらの物質は、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)のデラニー条項(FD&C法のセクション409(c)(3))に基づき、食品添加物規制から除外される。1958年に制定されたこの条項は、用量の程度に関わらずヒトまたは動物においてがんを誘発することが判明している食品添加物の使用について、FDAは安全であると認めることはできない、つまり許可できないと定めている。
ラニー条項に従いこれらの合成香料について食品添加物規制を改正するが、FDAによる綿密な科学的分析により、意図された使用条件下での公衆衛生上のリスクはないと判断している。この申請で取り上げられた合成香料は、通常、米国市場に流通する食品中で使用される量はとても少なく、その使用による暴露レベル及びリスクは非常に低い。FDAによる最近の暴露評価で、これらの物質は意図された使用条件下で公衆衛生上のリスクがあると示されていないが、申請者らははるかに高用量で暴露された動物においてこれらの物質ががんを引き起こしたという根拠を示した。したがって、FDAは法律上の問題としてこれら6つの合成香料をリストから削除するのであり、それ以外ではこれらの物質は安全であると結論づけている。
食品または香料として使用される天然物質の中には、これらの合成物質それぞれに相当する天然物質が存在する。FDAによるこれらの合成香料及び風味増強剤の使用取り消しは、天然の対応物質を含む食品またはこうした食品から抽出されしばしば“天然香料”と表記される香料の法的状態には影響しない。
ベンゾフェノンが動物にがんを引き起こすという申請者らによって提出された根拠に基づき、FDA食品添加物規制を改正し、ベンゾフェノンについては食品と接触して繰り返し使用するゴム製品の可塑剤としての使用も今後は認めない。
スチレン情報研究センターからの別の食品添加物申請に応じて、FDA食品添加物規制を改正し、スチレンの合成香料または風味増強剤としての使用を今後は認めない。これは産業界がすでにスチレンの使用を中止しているためである。その他の(発がん根拠のため削除される)6種類の合成香料については、企業が適切な代替成分を特定し製品成分を再調整する時間として、連邦公報への規則の交付から24か月の猶予を与える予定。