食品安全情報blog過去記事

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天然ミネラルウォーター中のタリウム

10.01.2006
http://www.bfr.bund.de/cm/208/thallium_in_natuerlichem_mineralwasser.pdf
タリウムは重金属に分類され、天然に食品や飲料水や空気中などいたるところに極微量存在する。セメント工場や金属工場近傍でタリウム含量の増加が認められる。タリウムの毒性は強く、食品中から摂取されると体内に分布して各種酵素を阻害する。
1.5mg/kg体重で食欲不振・吐き気・嘔吐・昏睡や死亡を含む末梢及び中枢神経障害などの中毒症状が出る。0.08 microg/kg体重以下では健康影響はない。
ヒトは主に食品からタリウムを摂取しており、特に野菜に多い。平均一日摂取量は2-5 microg/dayである。天然ミネラルウォーター中のタリウム濃度が最大15microg/Lであるとの報告を受けて、BfRは毒性評価を行った。
結論として、全ての摂取源からのタリウム摂取量は一日10microgを超えるべきではなく、このためには飲用ミネラルウォーターのタリウム濃度は5 microg/Lを超えてはならない。この推定は一日のミネラルウォーターの摂取量を1Lと仮定している。さらにタリウムに職業暴露のあるヒトや汚染地域に住むヒトは、タリウム含量が2microg/L以下の水のみを飲むべきである。