食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ベンゼンが食品中の安息香酸からできるか?

Is benzene formed from benzoic acid in foods?
http://www.bfr.bund.de/cd/template/index_en
ベンゼンは食品中にも存在する環境汚染物質である。ベンゼンは発がん性があり生殖細胞にも悪影響がある。入手できるデータからは安全域は設定できない。そのためベンゼンの摂取量は消費者保護のためできる限り低くすべきである。ソフトドリンクに安息香酸とアスコルビン酸が同時に加えられている場合ベンゼンが生じる可能性があるとの情報があり、BfRは調査を行った。安息香酸もアスコルビン酸も認可された添加物で表示されている。天然にも存在する。化学分析データからはBfRはソフトドリンク中で実際にベンゼンができているのかどうか、これがヒトのベンゼン総摂取量に寄与するのかを評価できない。もしさらなるデータが疑惑を確認する形で提供されればBfRは安息香酸とアスコルビン酸の同時使用に関する規制改定の必要性について評価するであろう。
http://www.bfr.bund.de/cm/245/indications_of_the_possible_formation_of_benzene_from_benzoic_acid_in_foods.pdf
1993年のGardnerとLawrenceの報告では6.25 mmol/l 安息香酸ナトリウムと8 mmol/lアスコルビン酸で15分25℃の反応で1 ppb未満のベンゼンができた。6.25 mmol/l 安息香酸ナトリウムを含む反応液ではアスコルビン酸の添加量が多くなるほど(最大8mmol/l)ベンゼンの生成量は増加した。さらに高濃度になると逆に減少した。飲料のpHは2でベンゼン生成が最大で、高くなると減少した。また硫酸銅や硫酸鉄の影響もあった。
またMcNealらの報告では2.8 mmol/l安息香酸ナトリウムと1.4 mmol/lアスコルビン酸で紫外線に20時間当てるか45℃に加熱した場合約300 μg /kgのベンゼンができた。暗所で室温の場合には4μg /kgであったが8日後には266μg /kgに増加している。天然に安息香酸とアスコルビン酸を含む各種食品中には1 μg/kg未満検出されている。また添加された安息香酸とアスコルビン酸を含む各種食品のベンゼン含量は 1未満から38 μg/kgで、ソフトドリンクは2 μg/kg以下であった
Fleming-Jones とSmithの2003年の報告ではコーラ飲料中のベンゼンは1 − 138 μg/kgの範囲であった。
一方大気中から吸入するベンゼンの量は、多様であるが、1人1日あたり数百μgである。
ヒトのベンゼン暴露量の96-99%以上が吸入により、飲料水や食品の寄与率は低い。飲料水基準は1 μg/lである。
BfRはリスク評価にはさらなるデータが必要であるとしてデータ提出を要請するよう食品・農業・消費者保護省BMELVに助言を行っている。



Committee on Carcinogenicity 英国